BIOGRAPHY
ザック・ワイルド(ヴォーカル/ギター)
ジョン・ディサルヴォ(ベース)
ダリオ・ロリーナ(ギター)
ジェフ・ファブ(ドラム)
ブラック・レーベル・ソサイアティ(BLS)のバンドリーダー、ザック・ワイルドの手にかかれば、ギターはヴァイキングが操る武器さながらに、分厚いリフの猛攻を繰り出し、表情豊かな高音を絞り出す。彼率いるベルセルク戦士団の栄光はこの音ひとつにかかっている、とばかりに。いや、正にその通りなのだが。
カリスマ性溢れる野獣にして飽くなきショウマン。BLSのザック・ワイルドは、ずっしりヘヴィなブルースロックをぶちかますときでも、この世を去った同朋をピアノ曲で偲ぶときでも、そのでっかいハートと真摯な魂を、開けっぴろげで遠慮のない動物的な情熱をもって曝け出す。アルバムはそれぞれが前作を凌駕してみせるチャンスだ。しかし、AC/DCやザ・ローリング・ストーンズがそうであるように、BLSも自らの再構築を目的にはしていない。壊れていないものを直そうとするべからず。これは信頼に足るひとつのブランドなのだ。
「Damn the Flood」、「In This River、「Stillborn」、「My Dying Time」、「Queen of Sorrow」、「Blood is Thicker Than Water」と、力作のデジタル・ダウンロード及びストリーミングは累計数百万を数える。汗まみれの狂宴や、二日酔いの朝へと落ちていく酔狂の夜や、アドレナリン駆け巡るスポーツのサウンドトラックになっている曲ばかりだ。
『グリメスト・ヒッツ』はバンドの10作目になるスタジオ・フル・アルバムで、ビルボードのトップ5にエントリーした『カタコンベ・オブ・ザ・ブラック・バチカン』(2014年)、『オーダー・オブ・ザ・ブラック』(2010年)に続いて、ラジオ・シングルの「Room of Nightmares」、ブルージーな「Seasons of Falter」、サザン・ロック調の「The Day That Heaven Had Gone Away」など、新たなアンセムを忠実なファンのために送り出す。彼らの暮らしのサウンドトラックに加わることになる、聴き始めたら止まらない12曲だ。
アリス・イン・チェインズ、メタリカ、タイプ O ネガティヴ、クラッチ、ダンジグ、メガデスと、ロック界、メタル界の錚々たるバンドのメンバーがBLSを通り過ぎていったが、ワイルドの聴きまごうはずもない声と特徴的なギター・サウンド、そしてジョン・ディサルヴォが叩き出す荒々しくも確かなベースがこのバンドの揺るぎない個性だ。現状、スタジオでもステージでもギタリストのダリオ・ロリーナ(2013年から)とパワー満載のドラマー、ジェフ・ファブ(2012年から)がBLSを固めている。