オーストリア出身の鬼才ギタリスト、ウォルフガング・ムースピールが黄金トリオによる新作を発表!
今年4月の来日公演も全公演ソールド・アウトの大好評だったウォルフガング・ムースピールが、ベースのスコット・コリー、ドラムのブライアン・ブレイドのトリオでの新作リリースを発表、先行曲「Amelia」が配信されている。
新作『Dance of the Elders』は、米国タイムズ誌が「ムースピールの流麗でメロディアスな演奏スタイルを際立たせた静かで印象的なアルバム」と絶賛した前作『Angular Blues』以来、3年ぶりの作品。
先行曲「Amelia」は、ジョニ・ミッチェルが1976年にギタリストのラリー・カールトンと、1979年にはパット・メセニーと録音したバラード曲。過去にミッチェルと頻繁にコラボレーションしているブライアンは彼女の音楽を深く理解していており、3人の解釈もオリジナルから大きく逸脱することなく、すでにそこにあったものが生かされている。
『ダンス・オブ・ジ・エルダーズ』
輸入盤+デジタル:9月29日 / 日本盤:10月6日 リリース
品番:UCCE-1200
ムースピールのユニークな作曲の特徴は、これまで同様フォークに大きく影響を受けているが、今回はさらにクラシック音楽からもインスピレーションを受けいる。他方、トリオでの仲間たちとの生き生きとした交流もさらに活発になり、ブライアンの浮遊するようなパーカッシブ・プレイとスコットの軽快なベースが、複雑なポリリズムと冒険的なハーモニーの風景の上で、ギターのアコースティック&エレクトリック・プレイを流動的な相互作用で引き立てている。
「テクニックや楽器はもとより、ムースピールのジャズに対する深い愛情と熟練の技は、オリジナルとスタンダードの両方でブレイドやコリーとの相性と同様に輝いている」(Jazztimes誌 2021) と書かれているが、ムースピールは「私たちはお互いに絶大な信頼関係を築いています」とコメントしている。
「2022年2月、ヨーロッパ、アメリカでの大規模なツアーの後、『Dance of the Elders』がレコーディングされました。ブライアンとスコットから常に学ぶことがあります。新しい音楽を持ってきて、彼らがどうアプローチするのか見るのはいつもエキサイティングです。彼らのサウンドを思い出しながら作曲することが、最終的な音楽のインスピレーションになっているのです」
このトリオのシームレスな化学反応と自発的な創作意欲が、アルバムの冒頭を飾る「Invocation」ほど明らかなものはない。10分以上に及ぶ瞑想的な2部構成のこの曲は、抑制されながらも深く感じられる3人の会話で、アルバムのムードを優雅に盛り上げる。ムースピールは、この曲をアルバムの冒頭に置いたのはプロデューサーのマンフレート・アイヒャーの決断だったと振り返る。
「マンフレートが音楽を聴き、それぞれの曲の場所を感じるプロセスがある。彼はシークエンスを通して説得力のあるストーリーを語り、彼の選択はいつも最高の意味で私を驚かせるんだ」
ムースピールは、クインテット・レコーディング『ライジング・グレース』(2016) と『ホエア・ザ・リヴァー・ゴーズ』(2018年) に貢献したブラッド・メルドーを念頭に置いて「Cantus Bradus」を書いた。この曲は、彼がメルドーの音楽の中で繰り返し観察してきた特徴に依拠しており、それを「ある調性の中心に向かって下降する半音階的な線の束」と表現している。
「これらの線は途中でかなり変わった和音や緊張を生み出すが、最後はブルージーな中心に行き着く。ブラッドの曲やソロでよく聴く展開です」
「Folk Song」は、キース・ジャレットからインスピレーションを得たという。
「この曲を思いついたとき、キースの音楽、特に『Belonging』時代の彼のヴァンプ・インプロヴィゼーションを漠然とイメージしていたんです。ひとつのコードを長く弾き続けると、その人のハーモニーの独創性がわかるもの。キースがアッパー・ラインやミドル・ボイスで暗示していることは、彼が演奏できるすべてのコードを見せてくれています。キースのそういうところが好きなんです」
アルバム『Dance of the Elders』は、2023年3月にステュディオ・ラ・ビュイソンで、マンフレート・アイヒャーとウォルフガング・ムースピール、ジェラール・ド・ハロによるミキシングで完成された。