“アルバム”は死んだのか?ウィーザーはそれでもアルバムという形態にこだわった!
2014年現在、“音楽の表現としてのアルバムという形態はもはや廃れ、1枚を通して聴く人などいない”というのが世界の共通認識となりつつある。
これに対し、真っ向から立ち向かうバンドがいる。今年でデビュー20周年を迎えるウィーザーだ。
1992年、バンドが結成されて以来ウィーザーは数多くの大ヒット作品を作り上げ、世界で1300万枚以上の売り上げを達成している。2009年のフジロックではヘッドライナーを務めるなど、そのキャリアは多くのJ-ROCKバンドからもリスペクトされている。
さらに、ヴォーカルのリヴァースは、“スコット&リバース”名義で、全編が日本語というJ-POPアルバムをリリースする超親日家という別の一面も持っている。
アルバム軽視の最近の風潮に対しリヴァース・クオモは2通りの対処法があると考える。「人は時代の流れと共に変わることができる。つまり、今のこの風潮を受け入れ、アルバムにあまり多くを詰め込まないようにするってわけ。一方で、芸術とかクリエイティブな面から考えても、僕らが必死に頑張って、世間が聴きたいと思えるようなアルバムを作らなきゃならないともいえる。僕らは後者でいこうと決めたんだ。」
アルバムにこだわって制作する大いなる挑戦へ、プロデューサーにはバンドを象徴するザ・ブルー・アルバム、ザ・グリーン・アルバムという傑作をプロデュースしたカーズのフロントマン、リック・オケイセックを再び迎えて制作された。
はたして新作『エヴリシング・ウィル・ビー・オールライト・イン・ジ・エンド』は、デビュー当時のサウンドを2014年バージョンで表しており、まさにウィーザーの最も完成度の高く、感動的な作品になっている。それを象徴するのがファースト・シングルのギターが轟く「バック・トゥ・ザ・シャック」。もちろんシングルだけでは完結しないのがアルバム。その起承転結を楽しんでほしい。