BIOGRAPHY
VIVA BROTHER / ビバ・ブラザー
Sam Jackson サム・ジャクソン(G.)
Lee Newell リー・ニューウェル(G.&Vo.)
Josh Ward ジョッシュ・ウォード(B.)
Frank Colucci フランク・コルッチ(Drums)
誠に遺憾ながら皆さんに、緊急の要請をお伝えする。規則の変更により、「何もせずにじっとしていることは選択肢にない」との新たな緊急要請が発動された。
これにより、あなたは体を動かさなけければならない。 VIVA
BROTHERは、じっと座ったままで対処できるようなバンドではないからだ。
「このアルバムに収録されてるのは、別れの歌だったり、自分の暮らしてる場所から出て行く歌だったり、変化する状況についての歌だったりするんだ」と語るのは、ヴォーカルのリー・ニューウェル(Lee
Newell)だ。
アルバム『Famous First
Words(ファースト・フェイマス・ワーズ)』を、まず聴いていただきたい。これをかけながら、家で寝転がったり、猫を撫でたり、植木に水をやったりもできるだろう。だがその後は、立ち上がって外に出てほしい。彼らのライヴを観に行ってほしい。なぜならライヴこそが、VIVA
BROTHERの魅力が最大限に発揮される場所だからだ。
きっとあなたは自らそこに飛び込んで、ステージにいる彼らを見、集まった他のオーディエンス達と一緒に汗をかき、3分半の珠玉のポップの数々を体の芯まで染み込ませ、ビルの柱をガクガク揺さぶりたくなるはず
ー そここそが、VIVA BROTHERと呼ばれるバンドの本来の生息地なのだ。
彼らは立ち上がった。彼らは外に出た。彼らが生まれたのは、ロンドンの西にあるスラウという町。人口の大半が、オフィスワークに勤しむ人々とドラッグ売買とを生業とする人々とで成り立っている土地だ。つまり”抜け出さなければいけない場所”である。
「いわゆる工業都市でさ、」と語るリー。「全体的な雰囲気で言うと、『学校に行き、就職し、死ぬ』って感じでね。俺はそれをけなすつもりはないんだよ、ホント。でも俺らの音楽のテーマは、”現実逃避”であり、今いる場所から脱出して、自分で何かやってみようぜ、ってことなんだ」。
彼らのデビュー・アルバム『Famous First
Words(フェイマス・ワーズと・ワーズ)』に収録された10曲は、そういった様々なものから抜け出すための”共通チケット”だ。本作は、バンド自身にとっては、彼らを世界へと連れ出してくれるアルバムとなるはず。あなたにとっては、家から外に連れ出してくれるアルバムとなるはず。それがポップの使命なのである。ポップとは、”ポピュラー”の略だ。ポップは大衆のためにある。ポップは人々のためにある。ポップは、あなたのためにあるのだ。
先日アメリカで行われたライヴで、汗まみれになった大勢の男女が声を揃えて、シングル「Darling Buds Of
May(ダーリン・バッズ・オブ・メイ)」のサビを合唱し、初めてこの曲を聴いた他の観客が自発的にそれに加わって、「ウーウ」や「ラーラ」といったかけ声を共に上げるという現象が起きた理由を、それ以外にどう説明したらいいんだろう? 地下鉄に乗っていて、なぜだか小声で「Fly
away…fly away…(飛び去って、飛び去って行く)」と口ずさんでしまい、それが一時間前に聴いたばかりの「New
Year’s
Day(ニュー・イヤーズ・デイ)」の一節だったことを突然思い出したりした時に、そんなあなたをじっと見つめる人がいたりしたら、それは一体誰なんだろう? 「Still
Here(スティル・ヒア)」という曲の「I’ll take it one day at
time(一日一日、着実にいこう)」という一節には、どこか特別な魅力があるが、ランチタイムの散歩に出掛けた時に、実存的なプライドの表明とも言えるそのサビの部分の段々下がっていくハーモニーを聴けば、元気がわいてくるだろう。彼らの曲は、脳裏から消すことができないのだ。
「確かに俺たちは、恥も外聞もないほどキャッチーだよね」と、リーは胸を張って認める。「曲作りをする時は、自分達が楽しんでるってことが大事だ。でも同時に、リスナーにも喜んでもらいたいんだよね。そういうのって、ここのところ音楽に欠けていたもののような気がするんだ。俺達は大きなスタジアム仕様の曲だって書けるし、それが俺達の求めてるものなんだよ。そうすることを怖れてはいない。つまり、メインストリームの音楽は、何も酷いものである必要はないってこと。メインストリームの音楽を、俺達は価値あるものに戻したいんだ」。
本作のプロデュースを手掛けたのは、これまでザ・スミスやブラーといった、独創的かつ影響力の大きな作品を世に送り出してきた著名なプロデューサー、スティーヴン・ストリート。彼は、VIVA
BROTHERの一連の曲を聴いた後、この4人組にアプローチしてきたのだった。『Famous First
Words(フェイマス・ファースト・ワーズ)』は、スティーヴン・ストリートが手掛けてきた由緒ある英国の名盤リストに、新たな1枚として加わることになる。光り輝く簡潔な10曲が収録されたこのアルバムは、ケータイ世代のティーンに向けて放つ、ポップ・ロックのアッパーカットだ。つまり彼らが顔をケータイの画面から逸らし、みんなで大きく口を開けて、声を揃えて合唱したくなる作品なのである。
VIVA
BROTHERは、ニューヨーク・シティで人々の度肝を抜いた。「このバンドは、”ラ、ラ、ラ”の持つ新鮮なパワーや、”ウーウー”の手軽な誘惑を良く理解している……今回の会場よりも遥かに大きな場所でのプレイを熱望するするバンドだけが持つスピリットで」と、『マーキュリー・ラウンジ』での彼らライヴを評したのは、『ニューヨーク・タイムズ紙』だ。そして同紙はこうも公言している。「VIVA
BROTHERは、曲のダイレクトさと同じくらい、シャープだ」。
VIVA
BROTHERは、オースティンの観客も唸らせた。「……野外フェスで一緒に口ずさむために工場で製作したような、精巧なギター・ロック。計算され尽くされていて、何の臆面もなく、目まいがしそうなほどだ
-しかし、何てこった、それが完全に機能していたのである。私個人としては、大化けする予感がしてならない」と予言しているのは、『SPIN』誌の編集長、ダグ・ブロッドだ。
VIVA BROTHERは既に、ロンドンで名声を獲得している。VIVA
BROTHERが表紙を飾った英国の音楽専門週刊誌『NME』は彼らについて、「偉大なるブリティッシュ・ギター・バンドの帰還」と絶賛。そう、確かにプレスというものが、ホットな新人に飛びつくのが好きなのは承知している(特に英国のプレスにはその傾向がある)。
だが、今回は……。
そう、今回は……。
「彼らは全く正しいよ、今回はね」と笑うリー。「俺達は、自分達が聴きたいと思うバンドを、自分達で生み出したんだ。簡単なことさ」。
これまで述べてきたことが、自惚れだとか、分不相応な傲慢さの現れだとか、これまでに嫌というほど聞かされてきたような、英国産の次なる目玉新人の登場を告げるための虚飾のように聞こえるなら、我々はあなたを誤った方向に導いてしまったということだ。我々はただここで、事実を伝えているだけなのである。つまり、VIVA
BROTHERは、きっとビッグになる。なぜならVIVA BROTHERは、それほどまでに優れているからだ。だが、『Famous
First Words(フェイマス・ファースト・ワーズ)』の運命に関する締めの言葉は、リー・ニューウェル君に任せよう。
「誠実さというのは、途方もなく重要なものなんだ。俺達は自分達の音楽を人々に聴いてもらいたいと思ってる。でもそのために、誠実さを犠牲にしたくはない。失敗するという選択肢はないと自分で決めたなら、それは失敗できないってことだよ」。
VIVA BROTHERのメンバーは、ギター&ヴォーカル担当のリー・ニューウェル、ギター担当のサム・ジャクソン(Sam
Jackson)、ベース担当のジョシュ・ウォード(Josh
Ward)、そしてドラムス担当のフランク・コルッチ(Colucci)の4人。デビュー・アルバムのタイトルは、『Famous First
Words(フェイマス・ファースト・ワーズ)』だ。