商品紹介
無限に広がる宇宙空間への憧憬!
近年はサウンドトラック・アルバムのリリースが続いており、オリジナル・アルバムとしては2001年以来のリリースとなります。
2001年にはNASAの火星探査計画の一つである2001マーズ・オデッセイのテーマ音楽を担当するなど、かねてから科学・宇宙探査に深い関心を寄せてきたヴァンゲリス。今作は欧州宇宙機関 の彗星探査機「ロゼッタ」からインスピレーションを得た作品で、壮大なるインスピレーションと無限に広がる宇宙空間が美しいコラボレーションを織りなしています。
『ロゼッタ』 ライナーノーツ------------
2012年、ロンドン滞在中のヴァンゲリスは、宇宙飛行士との交信を求められた。ヴァンゲリスは興奮しながらこれに応じ、彼のファンでもあるオランダ人宇宙飛行士アンドレ・カイパースが、地球のはるか上空に位置する国際宇宙ステーションから交信することになった。日時が決まると、クリエイティヴで実りある通信が始まった。カイパースは、ヴァンゲリスの曲をかけながら6ヶ月間滞在しているステーションの船内を、ヴァーチャル・ツアーの形でヴァンゲリスに案内した。ヴァンゲリスは交信を通じていくつか質問を投げかけ、両者はカイパースの地球帰還後に再会を約束した。
帰還後、カイパースは約束の日時に従い、ヴァンゲリスの家を訪れた。その場には欧州宇宙機関(ESA)の代表も同席し、『反射率0.35』や『螺旋』などのアルバム、カール・セーガンの『コスモス』、『ブレードランナー』やオスカー受賞作『炎のランナー』のサントラで知られる作曲家ヴァンゲリスと、ESAの歴史的なコラボレーションが始まった。
その結果生まれた『ロゼッタ』は、単なるサントラというより、2016年9月にミッション終了を迎えるロゼッタ探査機のために書かれたエレジーである。本稿執筆時点で地球から500万キロ彼方を飛行中のロゼッタ探査機は、フランス領ギアナの宇宙基地の打ち上げからすでに12年が経過し、チュリモフ・ゲラシメンコ彗星に到着してから2年が経過しているが、このまま彗星に着陸を試み、ミッション終了予定となっている。
ヴァンゲリスにとって、今回のユニークなコラボレーションは、1993年に始まったNASA火星探査機2001マーズ・ミッションとのコラボレーション、およびそこから生まれたアルバム『MYTHODEA』を発展させるプロジェクトとなった。ヴァンゲリスはESAについて深く学び、ヨーロッパ主導の宇宙探査に何らかの貢献をしたいと考えるようになった。作曲のインスピレーションを得るためにロゼッタ計画の記録映像を数時間ぶん鑑賞し、最初に書き上がった曲は2014年11月、着陸機フィラエの彗星着陸当日に、ドイツのESAコントロール・センターを含むヨーロッパ各地で同時演奏された。「映像と音楽が結びついた時、彗星をクローズアップで見るような感覚を覚えました」とESAのカール・ウォーカーは語った。「映像と一緒に聴くと、戦慄が走りました。音楽の力で感覚が強まり、記憶に強く残るのです。ロゼッタ計画を末永く記憶に留めることが、ヴァンゲリスの作曲意図なのだと思います」。
ヴァンゲリスにとって、音楽とは宇宙の根源の力であり、混沌(カオス)を調和(ハーモニー)に変えていく神聖な力である。その目的は、人類を高め、鼓舞し、癒やすことにある。「3歳か4歳の頃、家のピアノを弾いていると、『その曲はどこから来たんだ』と訊ねられた。私は天を指差し、『上から』と答えた」。この逸話が示すように、ヴァンゲリスの宇宙への大いなる好奇心と深い愛情は、現在に至るまで続いている。
ティム・クーパー (訳・編:前島秀国)
曲目
1
はじまり(探査機到着)
2
星の材料
3
無限
4
エクソジェネシス(外因説)
5
天のささやき
6
アルベド(反射能)
7
太陽光
8
ロゼッタ
9
着陸機フィラエの降下
10
任務達成(ロゼッタのワルツ)
11
近日点
12
哀歌
13
無限空間に還る