8月3日行われた、初来日公演のライヴ・レポート&写真が到着!!

2023.08.18 TOPICS

連日の猛暑の影響で、夕方になっても身体にまとわりつくじっとりした空気に包まれていた東京。フロアを埋め尽くしたオーディエンスは、暑さなど吹き飛ばすような期待に満ちた表情で、ヴァリーの登場を待ち構えているなか、開演時間ほぼぴったりの19時に、ステージに颯爽と登場した4人。初の日本でのパフォーマンスということもあってか、気合が入っている様子だ。そして、フロントマンであるロブ・ラスカの「トーキョー!!」という叫びと共に、6月にリリースされたばかりの日本デビュー盤『ロスト・イン・トランスレーション』のタイトル曲を、途中ではベーシストであるアレックス・ディマウロがヴォーカルをとる部分を交えてパフォーマンス。日本を含む世界中を廻るなど、目まぐるしい日々を過ごす彼らの戸惑いを表現した楽曲であるものの、たくさんの人々と音楽で心を通わせることができる喜びが伝わってくるようなエネルギッシュなパフォーマンスに、オーディエンスは熱狂。瞬く間に会場には、爽快な空気が流れていったのだった。

続く人気イラストレーターのともわかが手がけた日本語リリック・ヴィデオが話題になった「スローバック・ティアーズ~思い出の涙」では大合唱が巻き起こり、早くもバンドとの一体感が生まれ、デビュー盤のボーナス・トラックにも収録されている「シャンペン」ではドラムを担当するカラ・ジェームズがマイクを握り、ギターのマイケル・ブランドリーノがリズムを叩くなど、多才ぶりを発揮。途中でカラはステージから降りて、オーディエンスとハイタッチを交わすなど、会場の熱狂に興奮をおさえきれない様子がうかがえた。

「(自分たちの拠点とは)遠く離れた場所にいるのだけれど、まるでホームにいるような気分なんだ。日本は本当に街も人々もビューティフル。大好きな場所にひとつになったよ」とロブもステージ、そして日本の空気を満喫している雰囲気だった。

その後「ブレイク・フォー・ユー」や、ロブがアコースティックギターで演奏した「グッド、バット・ノット・トゥギャザー」といったメロディアスな楽曲も披露。自分の思いが届かないせつなさを繊細に表現する姿に、多くのオーディエンスが釘付けになって見つめていた。

後半に入ると「これはとってもとっても悲しい楽曲なんだ」という「イヴニングス&ウィークエンズ」や、突き抜けるようなロブのハイトーン・ヴォーカルが心地いい「イーザー・ウェイ、アイム・ゴーイング・ユア・ウェイ」、自分のいない夏を楽しんでほしいというせつない気持ちをにじませた「ハヴ・ア・グッド・サマー(ウィズアウト・ミー)」など、ダンサブルな楽曲を次々とパフォーマンス。思いを寄せる人とすれ違う心のせつなさを描いた楽曲の数々であるが、確実にこの空間にいる人々とは音楽という強い絆で結ばれていることを感じさせたのだった。

そしていよいよ本編のラストに突入。「僕らはこの楽曲のおかげでこうやって世界を旅できるようになった。数年前の自分たちにとっては信じられないことなんだけれど、実現したんだ。だから、みんなもどんな夢だって叶う可能性がある。あきらめないでほしい」とロブが熱いメッセージを伝え、彼らを一躍有名にした「ライク・1999」をパフォーマンス。これまでを上回る歓声と、そしてシングアロングが響き、さまざまなネガティヴな要素を吹き飛ばすポジティヴかつ感動的なエネルギーが充満したのだった。

その後アンコールとして「Hicup」(2020年発表曲)を披露。「近いうちに必ず戻ってくるからね!」と、ステージを去っていった彼ら。国境を超えて、多くの人と音楽を通じて交流できる喜びを身体いっぱいに吸い込んでいた様子だった。

また、その場にいた誰もが、ドラマの主人公になっているようなキラキラした表情を浮かべながら、それぞれの日常に溶け込んでいく姿も印象的だったステージ。彼らのポップで甘酸っぱいサウンドには、どんな瞬間も輝きに変えてしまう特別な魔法があることを感じさせたのだった。ぜひ、その魔法をアルバム『ロスト・イン・トランスレーション』からも感じていただきたい。


Photo by Sotaro Goto
 

Photo by Sotaro Goto


Photo by Sotaro Goto

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Photo by Sotaro Goto


Photo by Sotaro Goto


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