BIOGRAPHY

アーバンギャルド


200アーバンギャルドは二十一世紀東京生まれの「トラウマテクノポップ」バンド。
狂った電子音に濃厚なアンサンブル、女性・男性ツインヴォーカルがはじける唯一無二のサウンドは、病的にポップ。痛いほどガーリー。
童貞処女、オタク、サブカルチャーといったマイノリティへの愛と叱咤激励を込めた詞は、現代日本の病理とシンクロし、ネットを中心に熱狂的なファンを生んでいる。

 
09年3月6日、初のアルバム「少女は二度死ぬ」が全国発売。タワーレコード
J-Indiesウィークリーチャート初登場1位を記録。
3月13日、渋谷 club asiaでアルバムリリースパーティ「アーバンギャルドの大都会交響楽」を開催。
7月3日にも、同所にて初のツーマン「アーバンギャルド対ロマンポルシェ。」を開催。
10月9日、2ndアルバム「少女都市計画」発売。
タワーレコードJ-Indiesウィークリー・チャートで初登場1位、ディスクユニオン・週間インディーズ・チャートで初登場1位、オリコン・インディーズ週間アルバム・ランキングで初登場9位を記録。
11月14日、Unitで初のワンマンライブ「アーバンギャルドの前衛都市伝説」は動員500人の盛況となる。
2010年5月15日、自主企画イベント「アーバンギャルドの五月病総会」をUnitにて開催。500人動員。
7月9日、初の全国流通マキシシングル「傷だらけのマリア」を発売。
オリコン・インディーズ週間ランキングで初登場7位、オリコン・シングル総合・デイリー・ランキングで20位、タワーレコードJ-Indiesウィークリー・チャートで初登場2位の好成績を記録。
8月28日、渋谷 CLUB
QUATTROにて2回目のワンマンライブ「傷だらけのアーバンギャルド」を開催。600人満員となる。
10月8日、3rd アルバム「少女の証明」発売。
オリコンのインディーズアルバム週間ランキングで初登場9位、オリコンの総合アルバムデイリーランキングで初登場19位。
11月23日、赤坂BLITZにて3回目のワンマンライブ「アーバンギャルドのディストピア2010」はSOLD
OUT。780人満員の大盛況となる。
5月、初の東阪名ワンマンツアー「アーバンギャルドの独立宣言」を決行。
5月7日、名古屋HartLand STUDIO 200人満員。
5月8日、大阪RUIDO 240人 SOLD OUT。
5月15日、渋谷CLUB QUATTRO 680人 SOLD OUT。
7月、自主企画ツアー開催。東京「アーバンギャルドの春闘2011」(7/11 渋谷O-WEST550人 SOLD
OUT)。北関東「アーバンギャルドの春闘ツアー~北関東に進路を取れ!~」
(水戸LIGHT HOUSE、高崎club FLEEZ、宇都宮HEAVENS ROCK)も各地で満員盛況となる。
(4公演全て3月の振替公演)。
7月20日 ユニバーサルJよりメジャー第1弾シングル『スカート革命』発売。
8月11日&12日、自主企画イベント「アーバンギャルドの鬱フェス!」を渋谷club asiaにて開催。
9月、今年2回目の名阪ワンマンツアー「アーバンギャルドの革命ツアー」を決行。
9月6日、名古屋ell.FITS ALL 200人満員。
9月7日、大阪RUIDO 230人 SOLD OUT。
9月28日 第2弾シングル『ときめきに死す』発売。
アーバンギャルド、真の革命はここから始まる

過激派テクノポップ・ユニット、アーバンギャルドが、満を持してメジャーデビュー!このニュースを聞いた時、よくぞやってくれたという爽快さと同時に、一抹の不安がよぎったのも事実――。ライヴでの過激なMCや下ネタ、あるいは巨大キューピーとセーラー服の女子が日本刀で血まみれで戦ったり、血が垂れた日の丸の旗を振りながら「メンヘラに人権を!」と叫んでリストカット少女たちが行進したり、といった壮絶なPV映像を発信しながら、話題や注目を集めてきたバンドだけに、これから一体どうやって戦っていくのか?と気になった。
「ポップされる前にポップせよ!っていうことを最近、自戒の念を込めて言ってます。ポップっていうのは爆発っていう意味なんですけど――。今のポップ・ミュージックの多くは、表現者がリスナーからポップされちゃってる。リスナーに迎合するというか、リスナーにだまされちゃってる感じがするので、そうじゃなくて我々がだます訳だし、我々がリスナーの脳みそをポップしなきゃいけないな、と思う。そういう思いを込めて”スカート革命”を作りました」とソングライターの松永天馬(Vo)は語る。メジャーデビュー・シングル”スカート革命”は、少女たちの秘密がつまったスカートに着目し、ガーリーなときめきとシニカルな突っ込みがノイジーなテクノポップにのって爆発する、いかにもアーバンらしい1曲。過激さ、ではなく、ポップ・ミュージックとしてどうリスナーを巻き込んでいくか、に挑戦した作品だ。
「僕の頭の中にあった二次元の少女の王国みたいなものが、アーバンギャルドのライヴ会場で三次元化され始めている現実の中で、そのリアリティに対して僕らが打ちのめされてる部分もあって。それに対する返答が3rdアルバム『少女の証明』であり、この”スカート革命”なんです」(松永談)。
「歌詞に感情を込めて歌うタイプの歌手じゃないので、そういうことはあんまりしないんですけど、最近の曲は歌詞がすごく自分の中に入ってくるんです、ぐいぐいって感じで。それが実在する少女を歌ってるって言われる部分でもあるのかなって納得しました」と、浜崎容子(Vo)もこう続ける。
そもそもアーバンギャルドとは、「少女」というモチーフを通して、社会批評・時代批評をポップに行ってきたバンドだ。「渋谷109の向かいに、『STOP
AIDS』のソフト・オン・デマンドのAV女優のポスターがバーン!と貼ってあるけど、あんな感じじゃん!って気がするんですよ。常に女の子の顔があっ
て、それが資本主義において消費を高め、いろんな文化のスピードを速めていく――」(松永談)。だから浜崎が体現する「少女」には、「闇」も「病み」も剥き出しにした暴力でかつクールな批評性があり、赤裸々な心情を綴る女性シンガーとも、ロックバンドの紅一点歌姫とも、ピチカート・ファイヴのようなイコンとしての女性像とも違う、重みと攻撃性がある。《個性的なことしてみたい 個性がないから/個性的な女の子は こんな音楽 聴かない》(”傷だらけのマリア”)と自らをポップに断罪する表現はなんとも秀逸だ。
ライヴでは、天馬の暴走するエロネタに、「耳が腐るー!!!!」と叫びながら凛とした少女性を貫く浜崎。彼らの描く少女の夢と絶望、天国と地獄に、セーラー服を着て旗を振りながら、エールを送るオーディエンスたち。シアトリカルなファンタジーを楽しみながらも、そこには常にちくりとした痛みを伴う覚醒感がある。
「たまたま時代とリンクしてるのかわからないですけど、だんだん無修正というかずる剥けというか、そういう時代になってきたと思うんですよ。『日本ってなんとなく今やばいよねー』とか、『なんとなく元気ないよねー』とか、『年取ってきたよねー』って言われていたのが、震災が起こったことによって全部べろーんって骨まで剥き出しになっちゃった。今までやんわり絶望してたのが、リアルに生々しく絶望する時代になった時に、図らずも僕らの中でそれに対しての希望を描くようになってきたなあって感じる部分があるんです」「僕は国とか家族とかいった共同体をあんまり信用してないので、人は死ぬ時はひとりだし、孤独なものだと思うんです。最終的には自分で決定してかなきゃいけないし、今だって結局、みんな自分で判断して動いて下さいって感じじゃないですか? それがあからさまになった時に、アーバンギャルドっていうバンドは、すごく個人的なことを描くことによって、結果的に共感を呼んでしまうのかもしれない。でもこの共同体をキープする必要は別にないんですよ。それはいつでも切り替わるものだし、僕ら自身が共同体のあり方を常に否定してかなきゃいけないと思ってるんで。それはだって幻想ですから。だからやっぱり孤独っていう価値観を僕はすごく尊重したいですね」(松永談)
孤独のまま希望を歌うアーバンギャルド――彼らは、ポップ・ミュージックの本質と役割について誰よりも自覚的だ。そんな彼らが、この、何もかも丸裸にされた日本という場所でどんな音楽を鳴らし、どんなコミュニケーションを繋いでいくのか?これからが楽しみでしかたない。

ROCKIN’ ON JAPAN 井上貴子