アメリカでリリースされた7作のアルバムに焦点を当てたアナログ盤ボックス・セット『ザ・ビートルズ:1964 U.S.アルバムズ・イン・MONO』が11月22日にリリース決定!
ザ・ビートルズ
『ザ・ビートルズ:1964 U.S.アルバムズ・イン・MONO』
11月22日(金)世界同時発売
世界的なビートルズ旋風の60周年を記念して、主に1964年にアメリカでリリースされたザ・ビートルズのアルバム群がモノ・ミックスの新たなアナログ盤として蘇る。7作品(8LP)すべてを収録したボックス・セットのほか、6作品は各アルバム単体でも発売。
『ザ・ビートルズ:1964 U.S.アルバムズ・イン・MONO』は、1964年1月から1965年3月までのあいだにアメリカでリリースされた7作のアルバムに焦点を当てたボックス・セット。
オリジナル・モノ・マスターからカッティングした180グラム仕様。
1964年1月から1965年3月にかけて、米国でのリリースのために編集された7作品がオリジナル・モノ・マスター・テープから180グラムの高音質アナログ盤にカッティングされ、11月22日に世界各国で発売される。これらのアルバムは1995年以降、アナログ盤では廃盤となっていたが、『ザ・ビートルズ:1964 U.S.アルバムズ・イン・MONO』と題された計8LPの新たなボックス・セットの予約が本日よりスタート。このボックスには全7作のアルバムがモノ・ミックスで収録されるほか、うち6作のアルバムは単体でも発売される。
これらの7作のアルバム――『ミート・ザ・ビートルズ』、『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』、『ハード・デイズ・ナイト(オリジナル・モーション・ピクチャー・サウンドトラック)』、『サムシング・ニュー』、『ザ・ビートルズ・ストーリー(ビートルズ物語)』(2LP)、『ビートルズ ‘65』、『アーリー・ビートルズ』――にはいずれも、オリジナルを忠実に再現したアートワークを使用。さらに、今回新たに付属する二つ折りのインサートには、米国のビートルズ研究家/作家のブルース・スパイザーによるエッセイが掲載される。また、ラッカー盤のカッティングは、ケヴィン・リーヴスがナッシュヴィルにあるイースト・アイリス・スタジオで新たに手がけた。
『ザ・ビートルズ:1964 U.S.アルバムズ・イン・MONO』8LPボックス・セットと単体LPの購入予約はこちらから:https://umusic.jp/4nUuRPE6
予告映像
【商品詳細】
『ザ・ビートルズ:1964 U.S.アルバムズ・イン・MONO』(8LPボックス・セット)
直輸入盤仕様/完全生産限定盤
品番;UIJY-75300/7
価格:52,800円税込
【ボックスに収録アルバム】
① 『ミート・ザ・ビートルズ』
(キャピトル・レコード、1964年1月20日リリース、11週1位獲得)
② 『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』
(キャピトル・レコード、1964年4月10日リリース、5週1位獲得)
③ 『ハード・デイズ・ナイト(オリジナル・モーション・ピクチャー・サウンドトラック)』
(ユナイテッド・アーティスツ、1964年6月26日リリース、14週1位獲得)
④ 『サムシング・ニュー』
(キャピトル・レコード、1964年7月20日リリース、9週2位獲得)
⑤ 『ザ・ビートルズ・ストーリー(ビートルズ物語)』(2LP)*ボックスのみに収録
(キャピトル・レコード、1964年11月23日リリース、最高位7位)
⑥ 『ビートルズ ‘65』
(キャピトル・レコード、1964年12月15日リリース、9週1位獲得)
⑦ 『アーリー・ビートルズ』
(キャピトル・レコード、1965年3月22日リリース、最高位43位)
マスタリング・ノーツ
これらのアルバムはオリジナル・マスター・テープを使用し、アナログ盤にカッティングされている。またその際、アナログの信号経路のみを使用し、オリジナル・アルバムの最初期のプレスの音を常に参照しながら作業を進めていった。今回のアナログ盤は、マスター・レコーダーにアナログ・プレビュー/プログラム・パスの機能を備えたスチューダー・A80を、カッティング・マシンには1971年にキャピトル・スタジオに設置されたノイマン・VMS70を使用して制作された。こうしてカッティングの全工程をアナログ機材により進めることで、オリジナル・テープに記録された音域とダイナミクスを忠実に表現することが可能となっている。
<日本盤のみ>
日本盤LP初回帯デザインを再現した帯を封入
(*『ビートルズ’65』のみ『ビートルズ・フォー・セール』の意匠をモチーフにした帯)
英文解説翻訳付
歌詞対訳付
収録曲:下記参照
『ミート・ザ・ビートルズ』
直輸入盤仕様/完全生産限定盤
品番;UIJY-75308
価格:7,150円税込
キャピトル・レコード、1964年1月20日リリース、11週1位獲得
<日本盤のみ>
日本盤LP帯デザイン(通称国旗帯)の意匠をモチーフにした帯付
英文解説翻訳付
歌詞対訳付
収録曲:下記参照
『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』
直輸入盤仕様/完全生産限定盤
品番;UIJY-75309
価格:7,150円税込
キャピトル・レコード、1964年4月10日リリース、5週1位獲得
<日本盤のみ>
日本盤LP帯デザイン(通称国旗帯)の意匠をモチーフにした帯付
英文解説翻訳付
歌詞対訳付
収録曲:下記参照
『ハード・デイズ・ナイト(オリジナル・モーション・ピクチャー・サウンドトラック)』
直輸入盤仕様/完全生産限定盤
品番;UIJY-75310
価格:7,150円税込
ユナイテッド・アーティスツ、1964年6月26日リリース、14週1位獲得
<日本盤のみ>
日本盤LP帯デザイン(通称国旗帯)の意匠をモチーフにした帯付
英文解説翻訳付
歌詞対訳付
収録曲:下記参照
『サムシング・ニュー』
直輸入盤仕様/完全生産限定盤
品番;UIJY-75311
価格:7,150円税込
キャピトル・レコード、1964年7月20日リリース、9週2位獲得
<日本盤のみ>
日本盤LP帯デザイン(通称国旗帯)の意匠をモチーフにした帯付
英文解説翻訳付
歌詞対訳付
収録曲:下記参照
『ビートルズ ‘65』
直輸入盤仕様/完全生産限定盤
品番;UIJY-75312
価格:7,150円税込
キャピトル・レコード、1964年12月15日リリース、9週1位獲得
<日本盤のみ>
日本盤LP帯デザイン(通称国旗帯)の意匠をモチーフにした帯付
英文解説翻訳付
歌詞対訳付
収録曲:下記参照
『アーリー・ビートルズ』
直輸入盤仕様/完全生産限定盤
品番;UIJY-75313
価格:7,150円税込
キャピトル・レコード、1965年3月22日リリース、最高位43位
<日本盤のみ>
日本盤LP帯デザイン(通称国旗帯)の意匠をモチーフにした帯付
英文解説翻訳付
歌詞対訳付
収録曲:下記参照
『ミート・ザ・ビートルズ』カラーLP
THE BEATLES STORE限定商品
直輸入盤仕様/完全生産限定盤
品番;PDJT-1046
価格:7,150円税込
キャピトル・レコード、1964年1月20日リリース、11週1位獲得
<日本盤のみ>
日本盤LP帯デザインを再現した帯付
英文解説翻訳付
歌詞対訳付
収録曲:下記参照
【収録曲】
『ミート・ザ・ビートルズ』
Meet The Beatles
SIDE 1
1. 抱きしめたい
I Want to Hold Your Hand
2. アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア
I Saw Her Standing There
3. ジス・ボーイ
This Boy
4. イット・ウォント・ビー・ロング
It Won’t Be Long
5. オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ
All I’ve Got to Do
6. オール・マイ・ラヴィング
All My Loving
SIDE 2
1. ドント・バザー・ミー
Don’t Bother Me
2. リトル・チャイルド
Little Child
3. ティル・ゼア・ウォズ・ユー
Till There Was You
4. ホールド・ミー・タイト
Hold Me Tight
5. アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン
I Wanna Be Your Man
6. ナット・ア・セカンド・タイム
Not a Second
『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』
The Beatles Second Album
SIDE 1
1. ロール・オーバー・ベートーヴェン
Roll Over Beethoven
2. サンキュー・ガール
Thank You Girl
3. ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー
You Really Got A Hold On Me
4. デヴィル・イン・ハー・ハート
Devil in Her Heart
5. マネー
Money (That’s What I Want)
6. ユー・キャント・ドゥ・ザット
You Can’t Do That
SIDE 2
1. ロング・トール・サリー
Long Tall Sally
2. アイ・コール・ユア・ネーム
I Call Your Name
3. プリーズ・ミスター・ポストマン
Please Mister Postman
4. アイル・ゲット・ユー
I’ll Get You
5. シー・ラヴズ・ユー
She Loves You
『ハード・デイズ・ナイト(オリジナル・モーション・ピクチャー・サウンドトラック)』
A Hard Days Night (Original Motion Picture Soundtrack
SIDE 1
1. ア・ハード・デイズ・ナイト
A Hard Day’s Night
2. テル・ミー・ホワイ
Tell Me Why
3. ぼくが泣く
I’ll Cry Instead
4. 恋する二人(インストゥルメンタル)
I Should Have Known Better (Instrumental)
5. すてきなダンス
I’m Happy Just To Dance With You
6. アンド・アイ・ラヴ・ハー(インストゥルメンタル)
And I Love Her (Instrumental)
SIDE 2
1. 恋する二人
I Should Have Known Better
2. 恋におちたら
If I Fell
3. アンド・アイ・ラヴ・ハー
And I Love Her
4. リンゴのテーマ(インストゥルメンタル)
Ringo’s Theme (This Boy) (Instrumental)
5. キャント・バイ・ミー・ラヴ
Can’t Buy Me Love
6. ア・ハード・デイズ・ナイト(インストゥルメンタル)
A Hard Day’s Night (Instrumental)
『サムシング・ニュー』
Something New
SIDE 1
1. ぼくが泣く
I’ll Cry Instead
2. 今日の誓い
Things We Said Today
3. エニイ・タイム・アット・オール
Any Time At All
4. 家に帰れば
When I Get Home
5. スロウ・ダウン
Slow Down
6. マッチボックス
Matchbox
SIDE 2
1. テル・ミー・ホワイ
Tell Me Why
2. アンド・アイ・ラヴ・ハー
And I Love Her
3. すてきなダンス
I’m Happy Just To Dance With You
4. 恋におちたら
If I Fell
5. 抱きしめたい(ドイツ語)
Komm, Gib Mir Deine Hand)
『ザ・ビートルズ・ストーリー(ビートルズ物語)』
The Beatles Story
LP1 – SIDE 1
1. ビートルズ登場
On Stage With The Beatles
2. ビートルズマニア誕生
How Beatlemania Began
3. 熱狂のビートルズマニア
Beatlemania In Action
4. ビートルズを動かす男―ブライアン・エプスタイン
Man Behind The Beatles - Brian Epstein
5. ジョン・レノンのすべて
John Lennon
6. 億万長者は誰か
Who’s a Millionaire?
LP1 – SIDE 2
1. 永遠のスター、ビートルズ
Beatles Will Be Beatles
2. ビートルズ・サウンド陰の男
Man Behind the Music - George Martin
3. ジョージ・ハリスンのすべて
George Harrison
LP2 – SIDE 1
1. ビートルズ映画第一弾―ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!
A Hard Day’s Night - Their First Movie
2. ポール・マッカートニーのすべて
Paul McCartney
3. ビートルズ・カット誕生―ポールについてもう一言
Sneaky Haircuts And More About Paul
LP2 – SIDE 2
1. ビートルズの人生観
The Beatles Look At Life
2. ビートルズマニアの犠牲者たち
“Victims” of Beatlemania
3. ビートル・メドレー
Beatle Medley
4. リンゴ・スターのすべて
Ringo Starr
5. 世界のリヴァプール
Liverpool and All the World!
『ビートルズ ‘65』
Beatles ‘65
SIDE 1
1. ノー・リプライ
No Reply
2. アイム・ア・ルーザー
I’m A Loser
3. ベイビーズ・イン・ブラック
Baby’s In Black
4. ロック・アンド・ロール・ミュージック
Rock And Roll Music
5. アイル・フォロー・ザ・サン
I’ll Follow The Sun
6. ミスター・ムーンライト
Mr. Moonlight
SIDE 2
1. ハニー・ドント
Honey Don’t
2. アイル・ビー・バック
I’ll Be Back
3. シーズ・ア・ウーマン
She’s A Woman
4. アイ・フィール・ファイン
I Feel Fine
5. みんないい娘
Everybody’s Trying to Be My Baby
『アーリー・ビートルズ』
The Early Beatles
SIDE 1
1. ラヴ・ミー・ドゥ
Love Me Do
2. ツイスト・アンド・シャウト
Twist and Shout
3. アンナ
Anna (Go To Him)
4. チェインズ
Chains
5. ボーイズ
Boys
6. アスク・ミー・ホワイ
Ask Me Why
SIDE 2
1. プリーズ・プリーズ・ミー
Please Please Me
2. P.S.アイ・ラヴ・ユー
P.S. I Love You
3. ベイビー・イッツ・ユー
Baby It’s You
4. 蜜の味
A Taste Of Honey
5. ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット
Do You Want To Know A Secret
1964年2月7日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港には叫び声を上げる熱狂的なファンが多数詰め掛けた。この日はザ・ビートルズが初めてアメリカの地に降り立つ記念すべき日で、ファンたちはジョン、ポール、ジョージ、リンゴの姿を一目見るために集まったのだ。また、その2日後の2月9日の晩、7,300万人のアメリカの視聴者や数百万人のカナダの視聴者はCBSにチャンネルを合わせ、ザ・ビートルズが”エド・サリヴァン・ショー”で米国のテレビに初出演するのを見届けた。そしてビートルズの面々が生放送で5曲を演奏したこの夜は、アメリカ文化の一つの分岐点となった。母国イギリスではすでに”ビートルマニア”の熱狂が最高潮に達していたが、その熱はアメリカにも波及しつつあった。その興奮が、この日をきっかけにアメリカをはじめとする世界各国で一気に爆発したのである。かくしてブリティッシュ・インヴェイジョンは始まったのだった。
ビートルズの面々がこの歴史的な訪米を果たす少し前、キャピトル・レコードはEMIと契約を交わし、グループの楽曲のアメリカでの独占リリース権を獲得していた。そして長い歴史を持ち、すでに象徴的なレコード・レーベルとして知られていた同社は、1964年1月20日にすぐさま『ミート・ザ・ビートルズ』をリリース。全12曲のこのアルバムの収録曲の多くは、英国で発表された『ウィズ・ザ・ビートルズ』(1963年11月22日リリース)から取られていた。一方、グループの楽曲の独創性に焦点を当てたいと考えたキャピトルは、英国盤から5つのカヴァー曲を外し、代わりに3つのオリジナル曲(キャピトルからのビートルズの最初のシングルとなった「抱きしめたい/アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」の両曲と、英国での最新シングルのB面曲だった「ジス・ボーイ」)を収録。このアルバムは米国のチャートの首位に達し、11週に亘りその座に君臨し続けた。この作品を皮切りに、キャピトルがアメリカ市場向けに編集し、タイトルを付け、パッケージングしたビートルズのアルバムは、次々にヒットを記録していくのだった。
4月の前半までに、『ミート・ザ・ビートルズ』は360万枚以上の売上をマーク。シングルに関しては、4月4日にビートルズの作品がビルボード・ホット100のトップ5を独占するという、現在でも破られていない驚異的なチャート記録が生まれた。そんな中でキャピトルは、4月10日に『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』を発売。全11曲のこの作品には、『ミート・ザ・ビートルズ』から外された5つのカヴァー曲や、それ以前に米国でスワン・レコードやヴィージェイ・レコードからリリースされていた3つの楽曲、米国盤シングル「キャント・バイ・ミー・ラヴ」のB面に収録されていた「ユー・キャント・ドゥ・ザット」、そして公開が近かった彼らの映画デビュー作『ア・ハ―ド・デイズ・ナイト(ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!)』に向けて行われたセッションで3月に制作された2つの新曲(「アイ・コール・ユア・ネーム」とリトル・リチャードのカヴァー「ロング・トール・サリー」)が収められた。この『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』は発売されてすぐ、ビルボードのアルバム・チャートで『ミート・ザ・ビートルズ』と入れ替わる形で1位になり、5週間に亘ってトップに立った。
6月26日、ユナイテッド・アーティスツは『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』の米国でのサウンドトラック盤となる『ハード・デイズ・ナイト(オリジナル・モーション・ピクチャー・サウンドトラック)』を急ぎリリース。映画自体は8月に全国公開される予定になっていた。このアルバムには軽快なタイトル・トラックのほか、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」、「アンド・アイ・ラヴ・ハー」などを収録。ほかにもビートルズの5つのオリジナル曲と、ジョージ・マーティンがオーケストラ・アレンジを手がけたビートルズの楽曲のインストゥルメンタル・ヴァージョンが4つ収められていた。同サントラ盤はビルボードのアルバム・チャートにて14週連続で1位を獲得。さらには計51週ものあいだチャートに留まり続けた。また、キャピトルは「ア・ハード・デイズ・ナイト」をシングルとしてもリリース。こちらもビルボードのホット100チャートを制し、短期間で100万枚以上を売り上げた。
続いて7月20日、キャピトルは『サムシング・ニュー』を発表。こちらには映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』に使用された5曲と、「今日の誓い」や「エニイ・タイム・アット・オール」を含むアメリカでの初収録曲6曲が収められた。この『サムシング・ニュー』は上述のサントラ盤を抜いての首位獲得こそならなかったが、ビルボードのアルバム・チャートで9週に亘り2位を記録した。
そののち8月に米国で公開された映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』は興行面で大ヒットとなっただけでなく、批評家からも高い評価を受けて米アカデミー賞でも2部門にノミネートされた。そして映画の公開から数日後にザ・ビートルズの面々は北米を再訪。8月19日から9月20日までの約1ヶ月間、アメリカとカナダで32公演を行う過密日程を駆け抜けた。
キャピトルが次にビートルズのアルバムをリリースしたのは11月23日のこと。その『ザ・ビートルズ・ストーリー(ビートルズ物語)』のジャケットには、”2LPで描くビートルマニアの物語と音楽の伝記”と記されていた。同作は、メンバーたちのインタビューでの発言や、ビートルズの楽曲の断片、ホリーリッジ・ストリングスの演奏によるグループの楽曲のインストゥルメンタル・ヴァージョン、ジョン・バブコックらによるナレーションやビートルズの歴史に関する語りなど、雑多な音声素材を詰め込んだ魅力的な一作。見開きジャケットのLP2枚組という構成ではあったが、その再生時間はレコードの4面合計で約50分と比較的短かった。
そのあとキャピトルは1964年の締めくくりとして、先見の明が光る『ビートルズ ‘65』をリリース。前作からほとんど期間を空けず12月15日に発売された同作のジャケットには”ジョン、ポール、ジョージ、リンゴによる素晴らしい新たなヒット曲が満載”と謳われていた。このアルバムの収録曲のうち8曲は、イギリスで1位を記録した『ビートルズ・フォー・セール』(12月4日リリース)から取られたもの。残る3曲は「アイル・ビー・バック」と英国での最新シングル(「アイ・フィール・ファイン/シーズ・ア・ウーマン」)の両面で、いずれもアメリカでは初収録となる楽曲だった。ホリデー・シーズンに合わせて発売された『ビートルズ ‘65』は最初の2週間だけで200万枚近くを売り上げ、9週に亘りビルボードのアルバム・チャートの1位に君臨。同チャートには合計で71週もランクインした。
1964年は”ポップ界のトップ(toppermost of the poppermost)”を目指していたビートルズの面々にとっても、米国での(そして世界中での)当たり年といえる一年だった。グループはこの年に17作のシングルを全米トップ40に送り込み、そのうち6作は1位に輝いた。アルバムについても6作が全米トップ10入りを果たし、うち4作でチャートの首位を獲得。その上、主演映画も大ヒットとなったのである。そうしてキャピトルは、新たな年を迎えるまでにビートルズのレコードを1,500万枚以上も売り上げていた。
1965年3月22日、キャピトルは『アーリー・ビートルズ』を発表。同作はアメリカでヴィージェイ・レコードからリリースされていた11のトラックから成るアルバムだった。その収録曲は、ヴィージェイが1963年2月に発売したシングル「プリーズ・プリーズ・ミー/アスク・ミー・ホワイ」の2曲のほか、1964年1月に同社からリリースされたアルバム『イントロデューシング・ザ・ビートルズ』に収められていたもの。なおヴィージェイは、1964年の前半に同アルバムの3つの収録曲(「ツイスト・アンド・シャウト」、「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」、「ラヴ・ミー・ドゥ」)を米国でシングル・カットし、ヒットさせてもいた。それらの楽曲に対するキャピトルの米国での独占リリース権は、ヴィージェイとの合意によって1964年10月に発効。『アーリー・ビートルズ』は、それらの楽曲をキャピトルとして初めて扱った作品だったのである。
それから60年が経ったいまも、”ビートルマニア”の熱狂は薄らいでいない。新たな世代の人びとが彼らの音楽との嬉しい出会いを果たしてきたことや、ミュージシャン、映画監督、作家など様々な分野で活躍するファンがグループの音楽や文化への影響をそれぞれの独創的な方法で探求してきたことによって、ザ・ビートルズは消えることのない光を放ち続けてきたのである。