待望の新作リリースを前に、10年ぶりのインタヴューが実現!
今年デビュー25周年を迎えるテイク・ザット。アニヴァーサリー・イヤーのスタートは、8枚目にあたる新作のリリースになる。タイトルは『ワンダーランド』。前作から、ゲイリー・バーロウ、マーク・オーウェン、ハワード・ドナルドの3人となったテイク・ザットだが、新作でも3人のポップ性が十分に表現され、ファンの期待を裏切ることのないアルバムに仕上げられた。
テイク・ザットのファンを”Thatter”と呼ぶ。日本にも多くのThatterたちが日本公演の実現に向けて、ずっと応援し続けている。しかしテイク・ザットが日本のメディアに登場したのは、『ビューティフル・ワールド』のプロモーション来日の時が最後だった。それ以降まったく日本に向けての発信はなかった。第1期テイク・ザット時代から日本への思いは特別なものだったメンバー。しかしこの10年は、UK、ヨーロッパでの活動を中心としていた。その結果、本国UKでは国民的グループとしての位置を確固たるものとしていったのだ。
テイク・ザットが日本のメディアを留守にして10年、ようやく25周年という記念すべき年をきっかけに、メンバーは新作『ワンダーランド』を引っさげて、世界に向けた活動を行うことを宣言した。そのひとつがアメリカの人気番組ジェームズ・コーデンの「The Late Late Show」の出演だ。今回は本腰をいれてアメリカ進出するのだろう。そして日本に向けての電話インタビューもここにきて実現した。インタビューの冒頭でさっそくゲイリーが、
「長い空白が生まれた理由をぜひクリアにしておきたいんだけど、UKのレコード会社が、10年間、僕らを日本に行かせてくれなかったんだよ!(笑) だからみんな、悪いのは僕らじゃないからね! でも、近いうちに日本に行くつもりだから。……ここでそう宣言しちゃったからには、実現させないとまずいね」
といきなり嬉しい言葉が聞けた。
そして25年を振り返って、
「素晴らしい旅をしてきたよ。25年間も一緒にやってこれたなんて、僕らはものすごくラッキーだったし、今もこれまで以上に楽しんでいるよ。最初の数年間よりも、再結成後のほうがより楽しい。そしていまだにこうして活動を続けていて、ニュー・アルバムも控えているわけだから、本当にハッピーだ。『ワンダーランド』というこのアルバムの仕上がりにも、すごく満足している。だからテイク・ザットの世界では何もかもが順調だよ」とハワード。続けてマークが、「今、色んなことが起きているんだ。この間ロビーとも一緒に歌ったしね。こっちで放映されているテレビ番組(注:今年1~2月にBBCで放映された『Let It Shine』)でのパフォーマンスに、ロビーが加わったんだ。その番組で僕らは新しいグループを探していて、ミュージカルの企画を進めている。つまり、アルバムとツアーとミュージカルが今年は控えているっていうわけ。だから本当に、お祝いの1年になりそうだよ。」
アルバム『ワンダーランド』は、テイク・ザットのポップ性にさまざまなサウンドを融合させ、今までとは違うアプローチも試みている。アルバム・タイトルに込められた今回のテーマはなんだろうか?
「タイトルには、複数の要素があるんだけど、色んな意味で、僕らの生き方に由来しているんじゃないかな。テイク・ザットでの活動を通じて、僕らは世界中を旅して、日本みたいに素晴らしい場所を訪れることができた。そして旅先で触れた、その場所特有のテクスチュアを、自分たちの世界に取り入れてきた。だからアルバムを『ワンダーランド』と命名するのが、しっくり感じられたんだよ」
とマーク。ある日マークがこのタイトルにひらめきを覚え、二人に伝えたということだ。
アルバム・ジャケットもなかなか個性的なものになっている。
「これもやっぱり、今言ったテクスチュアに関係していると思う。今年は僕らがすごくエキサイトしていることがあって、1993年以来初めてアナログ盤でもアルバムをリリースするんだよ。随分久しぶりなんだ。そして、このアルバムのレコーディングの大部分は、ニューヨークにあるエレクトリック・レディ・スタジオで行なった。ここはジミ・ヘンドリックスが所有していたスタジオで、ジミが名曲の数々を作った場所でもある。そんなわけで、エレクトリック・レディ・スタジオでのレコーディング体験が、ジャケットに影響を与えたんじゃないかと感じているんだ」
と今回はマークがかなり積極的に話をしてくれた。
アルバムのオープニングを飾る「ワンダーランド」は、今までにないテイク・ザットのサウンドになっている。インドの楽器を使用し、エキゾチックな印象を与える。]
「『ワンダーランド』では、このグループを構成する全てのパーソナリティを網羅するような曲を、目指していたんだ。そして同時に、音楽的にも僕らの頭の中に広がっている世界を、人々に伝えているようなところがある。その世界には東洋のサウンドも、西洋のサウンドも、あらゆるサウンドが存在していて、それらすべてが『ワンダーランド』という1曲に凝縮されているのさ」
とゲイリー。
5月からUK&アイルランド・ツアーがスタートする。ツアーでも初めての試みがあり、アリーナ中央にステージを作り、360度どこからでも見ることができるパフォーマンスになるとのことだ。
「8週間後に始まるツアーに向けて、今まさにリハーサルを行なっているんだけど、リハーサルで得た感触が素晴らしいんだ。本当にいい感じに仕上がってきていて、ライヴを楽しみにしている」
とマーク。
2017年、25周年の年に『ワンダーランド』とともに、テイク・ザットが日本に戻ってきてくれることを願わずにはいられない。