ソロ20周年記念アルバム『ONENESS M』文筆業/ライター、吉留大貴氏レビュー公開

2017.10.20 TOPICS

SUGIZOソロ20周年、その麗しい宇宙に寄せて

 誰にも真似の出来ない生き方、SUGIZOという音楽家の日々はその一言に集約される。
事実LUNA SEAとX JAPANを兼務して、マディソン・スクエア・ガーデンとウェンブリー・アリーナの大舞台に立ったギタリストは現時点では彼しかいない。比類なき才能と存在感を世界レベルで提示可能な日本人ギタリストと言うのに何ら躊躇いなどない。

 しかし「自分の本質は仕事場のMacで作曲して、音源のデータ編集している姿だ」と語るSUGIZOが、もはや先入観やパブリック・イメージだけでは語れない程、現在も膨張を続ける音楽性と複雑な内面で形成される魅力的なパーソナリティを併せ持ったソロアーティストとして、今年ソロ活動20周年を迎えた事により大きな意義を見い出す人も少なくないと言い切れる。今年待望の再発となる1st『TRUTH?』の衝撃を経て、昨年発表したキャリア最大の問題作にして大傑作アルバム『音』にまで貫かれている方法論、即ち彼がその時々で志向する電子音楽、ブラック・ミュージック、オルタナティヴ、クラシックなどの様々な要素を混然一体とした上で最良のポップミュージックを生み出す発想が進化する過程(ある種インタビュー等も含めて)までもがオリジナリティとなる稀有なスタイルである。故にこの20年は確立には必要不可欠な時間だったのかもしれない

 今年発表するSUGIZOソロ20周年記念アルバム『ONENESS M』は久々のボーカル・アルバム、しかも彼の音楽人生で出逢った「音楽的にも、人間的にもリスペクト出来る人達」と語る多彩な面々はその期待を飛躍的に高めた。「シンガー像の原点」RYUICHI、「純粋無垢」川上洋平、「奇跡の男」京、「反骨精神」K Dub Shine、「ポジティヴな光」TERU、「国宝級の歌声」Toshl、「男も惚れる」TOSHI-LOW、「言葉の魔術師」辻仁成、「同世代のシンパシー」清春、「最上の知性」MORRIEといったシンガーに対して、SUGIZOの尊敬と感謝を込めた至上の楽曲が美しい星座のように連なり聴く者の胸を圧倒するのは必至。同時に音楽を通して、一途に自らの才能と英知と情熱を注ぎ続けてきた彼にしか成し得なかった宇宙そのものに、更なる光よあれ!