BIOGRAPHY
杉真理
1954年3月14日福岡県生まれ。
1977年、慶応義塾大学在学中に竹内まりや、安部恭弘らとマリ&レッドストライプスを結成し、
シングル「思い出の渦」でデビュー。1980年、CBS SONYへ移籍し、アルバム「SONG WRITER」をリリース。
1981年、『ナイアガラ・トライアングルVol.2』に大滝詠一、佐野元春と参加。
「バカンスはいつも雨」や「いとしのテラ」などがヒット。その後もソロ・アーティスト活動、BOX、ピカデリーサーカスなどのバンド活動と並行して、竹内まりや、松田聖子、稲垣潤一、森山良子、HI-FI SET、石川さゆり、WINK、堀ちえみ、早見優、松本伊代、榊原郁恵、須藤薫ら多くのアーティストに楽曲を提供。
「ウイスキーがお好きでしょ」の作曲を始め、多数のCMソングを手掛けている。
魔法の領域(2008年リリース時)
一度組んだバンドは死ぬまで解散しない、というのが僕の基本ポリシーなのだ。
ここに収められた作品は、ここ数年僕が組んでいる様々なユニットやバンドによりライヴ時に発表してきた曲達がほとんどである。
それぞれのメンバーの各々の曲に対しての理解度、親しみ、愛情は僕に負けないくらいで、レコーディングしてみてその凄まじいエネルギーに満ちたプレイに驚かされた。
各作品を聴いてもらえれば皆さんにも分かって頂けることと思う。
さて、音楽をやっていると、あり得ない偶然や窮地を救う不思議な展開に出くわすことがよくある。それも二度や三度じゃなく。理科系出身の僕(アインシュタインと同じ誕生日…関係ないか?)は、奇跡とか魔法という言葉でそういうものを片付けるのが嫌だった。しかし思えば、何の音楽教育も受けてない、いまだに譜面さえ、ろくに読めない男がずっと音楽を作り続けてこられたことは、僕には奇跡としか思えない。
僕らは何十年もかけて「不思議なもの、説明のつかないもの、ロマンチックなものは歌や映画や小説の中だけで、現実はそう甘くない」と信じこまされてきた。今僕は思っている、はたしてそうだろうか?
ここに収められた作品達は、遠い昔僕が誘われ足を踏み入れた「音楽」という魔法の領域で作られた。そこではどんな突飛なことも可能であり、すべてが見えない何かで繋がっている。そしてこの領域は年々広がりつつある。
いつしか世界中がこの領域に入ればいいのに、と思っている。
杉 真理
杉真理について(2008年リリース時)
杉真理と言えばヒット曲「バカンスはいつも雨」や「いとしのテラ」、それに大滝詠一、佐野元春と共に作り上げた名盤『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』などでお馴染みですが、その彼もデビューが1977年ですから、今年めでたく30周年を迎えました。
これに合わせた30周年プロジェクトは既に動き出しておりますが、その第1弾として2007年3月21日に、ビクターからのデビュー作でマリ&レッド・ストライプス名義でリリースした『Mari & Red Stripes』と、2ndアルバム『Swingy』(杉真理&レッド・ストライプス名義)が、そしてソニーからは松尾清憲や伊豆田洋之らと結成したピカデリーサーカスのアルバム『Piccadilly Circus』『Summer of Love』が、初回限定生産の紙ジャケで発売されました。
また7月25日には、ソニーに移籍後の『SONGWRITER』-『SABRINA』までの6枚のソロ・アルバムも同様にリイシューされました。さらに杉真理が大半の曲を書いた須藤薫のアルバム『CHEF’S SPECIAL』『AMAZING TOYS』など5枚と、杉真理が中心となって制作されたオムニバス・アルバム『SUMMER LOUNGE』が8月22日にリイシューされたほか、須藤薫&杉真理名義でこれまでに発表された作品を1枚にまとめたアルバム『POP ‘ROUND THE WORLD』も11月21日に発売されるなど、今年に入ってから計17タイトルがソニーとビクターからリリースされ、どれも好セールスを記録しております。特に渋谷・新宿のタワーレコードでは試聴機+看板などの大がかりな展開がなされ、80年代の杉真理をタイムリーで知らない若い世代からも好評を得ました。これらのリイシュー盤には、本人へのインタヴューを含む詳細なライナーノーツと共にボーナス・トラックとして初CD化となる貴重音源が多数プラスされており、24ビット・デジタル・リマスタリングで音質も飛躍的にアップしたことも、大きな反響を呼びました。
なお杉真理がデビューしたレッド・ストライプスと、松尾清憲らと組んだピカデリーサーカスについて考えるとき、この2つを繋ぐ重要人物の存在を忘れてはなりません。それは…竹内まりやです。ビクター時代のアルバムはレッド・ストライプスという杉真理を中心に結成されたグループ名義でありながら、実質的には杉真理のソロ的性格を持った作品なのですが、ポール・マッカートニーのウイングス的な考え方でレッド・ストライプスのメンバーとして流動的に参加していた方々の功績も忘れてはなりません。後にソロで大活躍する竹内まりや、安部恭弘をはじめ、山下達郎のセッションでお馴染みの青山純、後にRCサクセションに加入する新井田耕造、キーボーディストとして活躍するエルトン永田など錚々たるメンバーがここで初々しい演奏を聴かせてくれる、まさに70年代とその後の80年代を橋渡しする重要な作品なのです。杉真理の作品もロック寄りのものからAORやラテン・テイストまで幅広く、しかも彼お得意の美メロは当時から変わらないことがよく分かります。
そしてピカデリーサーカスですが、昨年12月リリースの竹内まりやのシングル曲「Never Cry Butterfly」が彼らの作品のカヴァー(しかもその演奏はピカデリーサーカスによるもの)であったことから、オリジナル・アルバムの再発が待たれておりましたが、3月に豪華W紙ジャケ仕様でリイシューされ、それにより杉真理への再評価も違った面から高まって参りました。ブリティッシュ・ロック/ポップスをベースに様々なエッセンスが加えられた作品は完成度の高いもので、山下達郎がDJを務める東京FM系のラジオ番組「SUNDAY SONGBOOK」でも竹内まりやがゲストの回で紹介されるなど、話題となりました。
竹内まりや、大滝詠一など様々な音楽仲間との繋がりを大切にしながら、素敵な作品を作り続けてきたこの30年、それらを1つ1つ聴き直してみると新たな発見と共に、時代を経ても色褪せない、杉真理の確固たる音楽性が見えてくるはずです。今回のニュー・アルバム『(仮)魔法の領域』も、この30周年に相応しいメンバーと共に作り上げた、まさに集大成的な作品となる予定です。
どうぞご期待下さい。