ABOUT THE FILM

映画『ECMレコード‐サウンズ&サイレンス』

キース・ジャレット『ケルン・コンサート』をはじめ
チック・コリア、パット・メセニーなどの名盤を生み出してきた
ECM レコードの秘密に迫る

監督:ペーター・グイヤー+ノルベルト・ヴィドメール
出演:マンフレート・アイヒャー
アルヴォ・ペルト、アヌアル・ブラヒム、エレニ・カラインドルー
ディノ・サルーシ、アンニャ・レヒナー、ジャンルイジ・トロヴェシ
ニック・ベルチュ、マリリン・マズール
ヤン・ガルバレク、キム・カシュカシャン ほか

原題『sounds and silence unterwegs mit Manfred Eicher』
配給:EASTWORLD ENTERTAINMENT 2009年/スイス/87分
©2009 suissimage / Recycled TV AG / Biograph Film

音楽に全ての情熱を捧げる男“マンフレート・アイヒャー”のロード・ムービー

ドイツのECMレコード創立者であり、現代音楽を代表するプロデューサー“マンフレート・アイヒャー”。
彼が世界のさまざまな場所で音楽を作り出すその瞬間を、彼と共に巡っていく。『サウンズ&サイレンス』は、音楽に情熱の全てを捧げたマンフレート・アイヒャーを追ったロード・ムービーである。
レコーディング・スタジオ、コンサート会場、舞台裏や街の片隅。そこで出会う、音楽家、作曲家、さまざまな人々。そして、それぞれの物語、それぞれの街と景色、ぶつかり合いと抱擁、静寂と喧騒、失望と喜び・・・
観る者は、世界を旅しながらマンフレート・アイヒャーと共に彼の周りで起こる様々な出来事を体験し、
ジャズのみならず、クラシック、コンテンポラリー、トラッド、アンビエント、ワールド・ミュージック・・・などさまざまな音楽が生まれる現場を垣間見ることができる作品。

ECMレコード

〈創設〉1969年
〈創設者〉マンフレート・アイヒャー
〈創設地〉ミュンヘン
〈主要アーティスト〉キース・ジャレット、アルヴォ・ぺルト、ヤン・ガルバレク、ヴィジェイ・アイヤー、ジョン・スコフィールドほか

1969年に稀代のカリスマ・プロデューサー=マンフレート・アイヒャーがドイツのミュンヘンに創設したヨーロッパを代表するジャズ・レーベル、ECM(「Edition of Contemporary Music」の略)。レーベル創設時のコンセプトは 静寂の次に美しい音楽” 。他のレーベルとは一線を画す、その透明感のあるサウンドと澄んだ音質、洗練された美しいジャケット・デザインなどが世界の多くのファンを魅了してきている。
これまでリリースしてきたアルバムは2,000枚を超え、キース・ジャレット『ケルン・コンサート 』(’72年)やチック・コリア 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(’72 年) 、パット・メセニー 『ブライト・サイズ・ライフ 』(’76年) など数多くのジャズの名盤を輩出している。

マンフレート・アイヒャーとECMの歴史

ドイツのリンダウで生まれたマンフレート・アイヒャーは、ベルリンでコントラバスを学んだ。やがてビル・エヴァンス、ポール・ブレイ、マイルス・デイヴィス、そして彼のベーシストであるポール・チェンバースといったアーティストの音楽が大好きになり、ジャズに夢中になった。ドイツ・グラモフォンのプロダクション・アシスタントとして、彼はクラシック音楽の録音において最高水準を目指すとはどういうことかを学んだ。そして彼は同じ精度と集中力で即興音楽を録音し始めた。1969年、26歳の時にミュンヘンにてECMを創立。

ECM は「Edition of Contemporary Music」の略。透明感のあるサウンドと澄んだ音質、洗練された美しいジャケット・デザインが特徴的で、レーベルのカラーとなっている。記念すべき初の作品はマル・ウォルドロンの 『フリー・アット・ラスト』。このレーベルから数々の人気作、名作が生まれているが、別格の人気を誇ったのがキース・ジャレットとチック・コリアである。チックのフュージョン作品『リターン・トゥ・フォーエヴァー』 (72 年)、キースのソロ・ピアノ作品 『ケルン・コンサート』(‘75年)は世界的なヒットを記録し、日本でも社会現象といえるほどの爆発的な人気を博した。 70 年代はソロ・ピアノのブームが起こったが、キースやチックの ECM におけるソロ・ピアノ作品の人気が影響を与えている。また、パット・メセニーが 10 年近く在籍し、 『ブライト・サイズ・ライフ』、『80/81』、『ファースト・サークル』 など初期の代表作を残したのもこのレーベルである。この他、アメリカのミュージシャンでは、ジャック・ディジョネット、ゲイリー・バートン、ポール・ブレイ、デイヴ・ホランド、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ、オレゴンなど、欧州のミュージシャンではヤン・ガルバレク、エバーハルト・ウェーバー、エンリコ・ラヴァ、テリエ・リビダル、ボボ・ステンソンなどが代表アーティスト。また、 1984年にはジャンルを広げ、現代音楽にスポットを当てる「ECM New Series」を開始。アルヴォ・ペルト、ギドン・クレーメル、ハインツ・ホリガーらが新作を発表しクラシック界にも進出。昨年80歳を迎えたアイヒャーは、今なお録音し続け、年間20作以上もの新譜をリリースしている最も活発なレーベルの一つ。今年は創立55周年、そしてECM New Seriesは設立40周年を迎えた。