<ライヴ・レポート>サラが海を越え、イタリアの聴衆をも魅了!

2019.05.22 TOPICS

2019年5月12日、イタリアの大作曲家ジュゼッペ・ヴェルディ出身の地、ミラノ近郊のブッセート(Busseto)にある、19世紀に建てられた馬蹄形の美しいオペラ劇場、その名も「Teatro Verdi(ヴェルディ劇場)」にて、記念すべきサラ・オレイン初の海外公演が行われた。
この公演は日本の耐熱ガラスのトップ・メーカー、HARIO株式会社の協賛を得て、在ミラノ日本国総領事館後援行事として行われ、雨宮雄治 在ミラノ総領事も鑑賞された。

 
客席は8割がイタリア人、残りが日本人他といった様子で超満員。サラは日伊親善の想いを込めて、イタリア、日本、そして自身の出身国オーストラリアにちなんだ曲やメドレーを含む全17曲あまりを披露した。

コンサートの幕開けは、イタリアが舞台のシェイクスピアの名作であり、映画『ロメオとジュリエット』から〈A Time For Us〉。まさしくジュリエットさながらにバルコニーのBOX席に現れアカペラで美声を披露したサラに、観客の目は釘付けとなった。ステージに移動しヴァイオリンも披露しながらドラマティックに歌い上げ、コンサート冒頭からイタリアの聴衆のハートを鷲掴みに。ブッセート市のコンティーニ市長も駆けつけ、メッセージと記念品の贈呈が行われた。
サラはイタリア語で聴衆に挨拶。その後のトークは終始イタリア語で行われ、観客とのダイレクトなコミュニケーションを交えながら、温かな雰囲気の中コンサートは進行した。
〈ニュー・シネマ・パラダイス〉〈カルーソー〉とイタリアの名曲が続き、ヴァイオリン曲へ。もう一人のイタリアの大作曲家ヴィヴァルディの《四季》~〈夏〉で超絶技巧を聴かせた後は、サラ作曲のオリジナル曲〈Animus〉。ピアニストのクリヤ・マコト、パーカッションのアレックス・バッティーニ・デ・バレイロ、ベースのフランチェスコ・アンジゥリが息の合った演奏でサラを盛り立てる。
イタリアが誇る世界的テノールでサラも日本でデュエットした、アンドレア・ボチェッリの大ヒット曲〈大いなる世界(Canto Della Terra)〉でパワフルな歌唱を聴かせ、〈カッチーニのアヴェ・マリア〉でしっとりと前半が締めくくられた。

後半は、日本・アジアの世界からスタート。
着物をまとったサラの登場に観客は息をのみ、思わずカメラを構えてしまったお客様も多数いたほど。「令和」時代の到来を紹介すると共にアカペラで〈君が代〉、美しいメロディが秀逸の〈蘇州夜曲〉、日本が誇るアニメからの名曲〈君をのせて〉と続いた。
着物から白いミニ・ドレスに衣裳チェンジの後は、サラのルーツであるオーストラリアから。オーストラリアが生んだ人気バンド、クラウディッド・ハウス(Crowded House)の1986年の大ヒット曲で(サラが生まれた年!)、イタリアでも〈Alta Marea〉としてカバーされた〈Don’t Dream It’s Over〉をピアノ弾き語りで披露。
日本でも大好評だったクイーン・メドレーにはイタリアの聴衆も大興奮。〈We Will Rock You〉でのドラムを叩きながらの熱唱でコンサートの盛り上がりも頂点に。
ミニドレスからロング・スカートに早変わりした後は一転、日本とイタリアの〝心″を観客と共有。日本の原風景を思い起こさせる〈故郷〉、そしてイタリアでは小学校で習うなど誰もが知り「イタリアの第二の国歌」とまで呼ばれる、ヴェルディの代表作 歌劇《ナブッコ》~〈行け、わが想いよ黄金の翼に乗って〉。聴衆と共に感動的な大合唱が沸き起こった。
「あなたの人生を悔いなく歩んで」とのメッセージが込められた〈マイ・ウェイ〉では、劇場はさらにあたたかな空気に包まれた。
熱狂的なアンコールに応えてサラが再び登場。
超絶技巧が求められるヴァイオリン楽曲〈チャールダッシュ〉で再び客席は大興奮。続く〈Con Te Partirò(Time To Say Goodbye〉)でスタンディングオベーションの大喝采。
聴衆から惜しみない拍手が贈られ、イタリアでの再会を約束して約2時間の感動の舞台は幕を下ろした。

 
【2019年5月12日(日)ミラノ近郊ブッセート、ヴェルディ劇場でのセットリスト】
1. A Time For Us(映画『ロメオとジュリエット』より)
2. ニュー・シネマ・パラダイス より
3. カルーソー
4. ヴィヴァルディ:《四季》~〈夏〉
5. Animus
6. Canto Della Terra(大いなる世界)
7. アヴェ・マリア(カッチーニ)
8. 君が代
9. 蘇州夜曲
10. 君をのせて(映画『天空の城ラピュタ』より)
11. Don’t Dream It’s Over (Alta Marea)
12. Queenメドレー
13. 故郷
14. 行け、わが想いよ黄金の翼に乗って(ヴェルディ:歌劇《ナブッコ》より)
15. マイ・ウェイ
〈アンコール〉
16. モンティ:チャールダッシュ
17. Con Te Partirò(君と旅立とう Time To Say Goodbye)