10周年盤が発売となるデビュー・アルバムをサム本人が写真で振り返る
8月2日に発売となるサム・スミスのデビュー・アルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー [10周年記念エディション]』の発売を記念して、YouTubeにてサム自身が当時の想い出を写真とともに振り返る動画が公開されました。
この動画の日本語訳を写真とともに掲載します。
(椅子がバタン!って倒れたりして(笑))
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こんにちは。サム・スミスです。
デビュー作『In the Lonely Hour』の10周年を記念して、皆さんと一緒にいくつかの写真と共に当時を振り返りたいと思います。
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最初の写真は、自分は写っていなくて、ルーベン・ジェームスがピアノを弾き、ジミー・ネイプスとゼイン・ロウが写っている1枚。カメラに背中を向けているのがゼイン・ロウのはず。RAKスタジオでレコーディングの終盤に撮った写真だと思う。実はあまり知られていないんだけど、ゼイン・ロウはアルバムに収録されている「Restart」を自分と共作しているんだ。これは、その時に撮った写真。ルーベンがピアノを弾いて、ジミーが自分の隣でピアノの横に立っている。お馴染みの風景だ。レコーディングの時は、彼らがいてくれるだけで安心できる。
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次は、アルバム・ジャケットの写真を撮ったステファニー・ショーン・スミスの写真。自分にとって人生初のジャケット撮影で、その時の使い捨てカメラを持った彼女の写真。あの撮影以来、彼女と一緒に仕事をする機会がなかったので、今日、あの21歳の時と同じ服を着て、同じポーズで彼女とまた写真を撮ることができたのは本当に嬉しかった。彼女は凄く魅力的な人で、デビュー作のジャケットを彼女に撮ってもらうことができた本当によかったと感じている。撮影まで、何週間もあれこれと考え過ぎていたんだ。「そもそもジャケットはイラストにしたかった」とか言ったりしてね。で、当日になって、いろいろ試した後、残り時間5分のところで、ステファニーが使い捨てカメラを取り出して、例のポーズの写真を撮って、結果的にそれがジャケットになった。何の衒いもない。あのジャケットに関しては何一つ後悔していない。ステファニー、心からありがとう。
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アルバムのジャケット。色彩豊かで喜びに溢れてる(笑)
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撮影当日にいろいろ試したと言ったけど、こんなこともしてみたんだ。(笑)まるで「真夜中のミサ」だ。アルバム・タイトルもそうしようと思っていたんだ。
冗談だよ。
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これは凄くいい写真だ。ディスクロージャーのハワードの写真で、撮った時のことをよく覚えている。初めてコーチェラ・フェスのステージに上がる直前に楽屋のトレーラーで撮った。ディスクロージャーのステージで「Latch」を歌ったんだ。確か初日はメアリー・J.ブライジも登場したはず。初めてのコーチェラの記憶は、とにかくドキドキ緊張したこと。まだ21歳で、音楽フェスに行くこと自体初めてだった。キラキラした人たちばかりに囲まれて、怖かったし、不安だった。ステージに上がったら、ケイティ・ペリーが見ていて、思わず漏らしそうになったのを覚えている。観客も大勢いて、恐怖しかなかった。コーチェラは正直自分にとっては怖いところなんだ。
でもこれは素敵なハワードの素敵な写真。
次のも最高。
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ぶっちゃけ、デビューしてからの3年間の自分を象徴する写真。確か、地方のラジオ局に取材で行った時の写真だと思う。マンチェスターの郊外だったかな。ブルーノ・マーズの曲のカバーを歌ったはず。当時の自分がどれだけ疲れていたかがわかる。あの3年間ほどいっぱい働いたことはなかった。声をダメにしてしまったくらいだ。喉に支障をきたすくらい働き詰めだった。休むことなく、取材と移動の繰り返しだった。それに加えて祝杯もあげた。デビュー作が思いもしない結果を招いてくれたのもあって、デビュー後3年間は目が回る毎日だった。
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これも素敵な写真。バンドのドラマーのジャミールとベーシストのブレンダンと一緒に撮った一枚。バンドと連んでいた懐かしい日々を思い出す。ミュージシャンとして充実した、大事な時期だった。全員同じバスに乗って移動した。ツアーバスに乗るのも初めてだった。最初の頃は、ホテルの部屋も相部屋で、低予算で、せいぜい500人キャパの会場でライヴをやっていた。まだほんの駆け出しだったけど特別な時代だ。自分にとっては大学時代のようなもの。大学には行かず、学校を出て、バーや通信社でバイトをした後ロンドンに出ていった。だから、バンドのみんなと過ごしたこの時期は、大学時代のような青春そのものだた。本当に楽しかった。
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これは、「Stay With Me」のビデオ撮影の日の写真。ここから近い、イースト・ロンドンで撮影した。着ているこのジャケットのこともよく覚えているよ。写っているのは監督のジェイミー。素晴らしい日で、特別な思い出だ。ビデオに関して覚えているのは、当時ロンドン南部のOvalに住んでいて、そこにFentiman Roadという通りがあって、そこで後々「Love Me More」のビデオを撮影するんだけど、「Stay With Me」も実はそこで撮影したいと思っていたんだ。当時住んでいた家からVauxhall(訳注:LGBTQのナイトクラブがたくさんエリア)に行くのによく歩いた通りだったんだ。夜遊びした帰りに必ず通る、いい思い出も悪い思い出も両方詰まった場所だ。それをイースト・ロンドンで再現したのがこのビデオ。天気も良くて全てが順調だった。
今だったら絶対に着ない服のチョイスもね。
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この写真もいい。「I’m Not The Only One」のビデオを撮影した時のもの。数え切れないくらいビデオは撮ってきたけど、この「I’m Not The Only One」のビデオが一番好き。それは今後も変わらないと思う。曲は知り合いの夫婦のことを歌っている。ビデオで何を描きたかったか、明確にあったのを覚えている。自分で監督をしたのに近い。今でも一緒に仕事をするルーク・モナハンが監督してくれたんだけど、撮影当日はずっと映像チェックばかりして彼の頭痛の種になっていた。ビデオでダイアナが演じる女性の心の傷をきちんと描くことが本当に大事だった。夫の浮気を知っていた自分の知り合いの視点で書いた曲だったから、彼女を強い女性として描くことに凄くこだわったんだ。強いけど、傷つきやすいところもある人。ビデオでは傷つきながらも彼女の強さをしっかり描けたと思う。大好きなビデオだよ。
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これはダイアナと撮った写真。もう最高。大好きな写真。このビデオの撮影日は凄く二日酔いだったのを覚えている。初めてLAに行った時で、LAのゲイバー・シーンが本当に刺激的でワクワクして毎日ついつい飲みすぎていた。ダイアナとも本当に楽しい時間をたくさん過ごした。二人が遊び過ぎて疲れているのを物語っている写真だと思う。
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これも大好きな写真で、ビデオ撮影で使った家の中で、彼女が燃やした夫の服を見つめているところ。素晴らしい一枚。「タバコを吸って!」と言ったのを覚えている。本当に美しく撮れている。
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これもいい写真で、マディソン・スクエア・ガーデンの外でディスクロージャーのハワードとガイと一緒に撮った写真。デビュー・アルバムを出してから1年か1年半経った時だった。マディソン・スクエア・ガーデンを完売にして、彼らが来てくれて、「Latch」を共演したんだ。この日はとにかくライヴ前不安で不安でしょうがなくて、満員のアリーナのお客さんの前で歌うのなんて無理だと思ったのを覚えている。デビュー・アルバムを出したばかりの21歳で、信じられなかった。でも、おかげさまで上手くいって、素晴らしい夜になった。ルーベンのビアノが壊れるというハプニングがあったのも覚えている。
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これは、みんなに自分がイケてるアーティストじゃないのがバレる前の写真。NYのROUGH TRADEというエッジの効いたイケてる場所の前に飾られたんだ。今はもうやってもらえないと思う。(笑)当時は「尖ってる」と思われるのが本当に嬉しかったのを覚えている。
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これは、エイサップ・ロッキーと一緒に撮った写真。「I’m Not The Only One」に彼が参加してくれてね。いい思い出だ。ロンドンのRoundhouseで行なわれた確かiTunesフェスティバルだったと思うけど、飛び入り参加してくれたんだ。その時に彼の優しさと人としての魅力に触れて感動したのを覚えている。彼が自分の曲に参加してくれたことがとにかく嬉しかった。ラッパーとの共演は少なかったから。彼のラップ・パートも凄く気に入っている。
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最後にこれは、グラミー賞を受賞した時の写真。信じられない、不思議な夜だった。ぶっ飛んだ夜だったけど、人生で一番感動した夜でもあった。まだ若かったし、信じられなくて、家族もみんないて、特別な夜だった。今でもはっきり覚えているのは、最前列に座っていて、確かガンズ・アンド・ローゼズだったと思うんだけど(註:実際はガンズではなくAC/DC)、授賞式のオープニングを飾って、火柱や火薬が演出でたくさん使われて、最前列に座っていたもんだから、火が間近まできて、「酒さ」(訳注:顔に生じる皮膚疾患の一つ。強い刺激で顔が赤くなる)持ちだから、頬が赤くなってしまったんだ。そしたら最初に発表された賞が最優秀新人賞で、受賞することになった。受賞の瞬間は自分の顔が赤いことばかり気になっていたのを覚えている。というのが、あの夜の思い出。
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『In the Lonely Hour』からちょうど10年が経ち、曲や思い出について語り、当時撮った写真を再現したりして、シンガー・ソングライターになって初めて自分のキャリアを振り返ってみて、本当によかったです。多くのアーティストが共感してくれると思うけど、自分の仕事は、常に目の前のことに意識を向け、前進し続けることではあるけど、こうして振り返ることで、自分や自分の音楽がどれだけ変わったか、そして変わらない部分もあるということを再確認できたのは大きかったです。今回、改めて当時を振り返ることができて本当によかった。みんなにも楽しんでもらえることを願います。この『In the Lonely Hour』の10周年のお祝いが、みんなで思い出を分かち合い、一緒に歩んできた者同士で支え合うきっかけになればいいと思います。
『イン・ザ・ロンリー・アワー(10周年記念エディション)』
2024年8月2日発売
CD: UICY-16231/2/3,960円(税込)/日本盤のみSHM-CD仕様
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