『クイーン・ザ・グレイテスト・ライヴ』一年にわたるクイーン・ライヴの祭典 “ザ・グレイテスト”シリーズが復活

2023.01.20 TOPICS


『クイーン・ザ・グレイテスト・ライヴ』
一年にわたるクイーン・ライヴの祭典“ザ・グレイテスト”シリーズが復活

クイーン・ライヴの舞台裏を50週にわたって紹介する公式YouTube企画
クイーンの象徴的パフォーマンスの様々な瞬間を取り上げ
彼らが究極のライヴ・アクトと評される理由を実証


 
クイーン・ザ・グレイテスト・ライヴ 第1回『リハーサル - パート1』
シリーズ初回は、ブライアン・メイとロジャー・テイラーがリハーサルの極意を明かす最新独占インタビュー

 
「日本で言うところの“カイゼン”というやつなんだ。つまり、ごく些細なことを現場で少しずつ色々と見直していく活動を続けていると、突然全体が改善を示す。だから、僕らのライヴは非常に良いものになるんだ。というか、良いものであってほしいと願っているよ。人々は『良い』と言ってくれているしね」 ブライアン・メイ

「僕らは普段、1曲丸々頭から通しで演奏してみて、それがライヴでうまくいきそうか確認するんだ。曲によっては、必ずしもライヴで良さが発揮されるとは限らないからね。だから、アルバム曲の中にはライヴで一度も演ったことのないものが結構あるんだけど、それには恐らくそれなりの理由があるんじゃないかな」 ロジャー・テイラー

ロンドンの有名老舗ライヴ・ハウス〈マーキー・クラブ〉で1973年に行われた数百人規模の最初期ライヴから、オーストラリアのシドニーで7万人超の観客を前に披露された近年のコンサートまで、クイーンのライヴ史において一つ不変なのは、バンドのパフォーマンスを成功に導くために彼らが最も重要だと考えている側面、つまりリハーサルに対する彼らの真剣な取り組み方だ。

そしてこの度、今年2年目を迎えるバンド公式YouTubeチャンネルの人気動画シリーズ『クイーン・ザ・グレイテスト』が、2023年1月13日(金)に復活を果たす。今回のシリーズでは、今後12ヶ月間にわたり計50本のビデオを通じて、50年に及ぶクイーンのキャリアから、貴重な蔵出しライヴ映像や、最新パフォーマンス、舞台裏を明かすインタビュー等々をファンにお届け。長年バンドと協力関係にあるマルチメディア・コラボレーターのサイモン・ラプトンが細心の注意を払い、映像素材をまとめ上げて完成した『クイーン・ザ・グレイテスト・ライヴ』は、前シリーズに続き、筋金入りのコア・ファンにとっても新たな発見のある嬉しい内容のものとなっていることは間違いない。本シリーズの復活に合わせ、「伝説のチャンピオン」を元にブライアン・メイが特別に作り上げた新たなオープニング・テーマに、そんなファンの皆さんの多くが胸を躍らせることだろう。

〈ライヴ・エイド〉から〈ロック・イン・リオ〉に至るまで、クイーンの伝説的コンサートというのは常に、何ヶ月もかけて忍耐強く入念に行ってきた準備がようやく実を結ぶヤマ場であった。今回の“エピソード1”の中でブライアンとロジャーが説明している通り、リハーサルとサウンドチェックの工程は、毎晩のステージで魔法のような瞬間を生むのに欠かせない重要な部分であり、広く知られる壮大なクイーン・サウンドを構築するのに役立つだけでなく、扱いの難しい音楽的ギアチェンジを素早く確実なものにすると同時に、めったにセットリストに登場しない曲の洗い出しにも一役買っている。「そして、もしサウンドチェックでうまくいけば、翌日の晩にはそれを入れるんだ」と、ブライアン。

この“エピソード1”では、最新インタビューに交えて、過去及び現在のクイーン・ツアーから舞台裏の映像も提供。最近の映像では、ロジャーが楽器や機材の性能を試していたり、フロントマンのアダム・ランバートがスタジアムの音響をテストしている様子が窺える。だが、同時に今回のエピソードには、ブライアンがペダルボードを弄っている一方で、フレディ・マーキュリーが誰もいない観客席に向かって「タイ・ユア・マザー・ダウン」を歌っているといった、アルバム『世界に捧ぐ』時代のサウンドチェックの様子など、懐かしの秘蔵映像も満載だ。

我々の旅路はまず、クイーン・ツアーを成功に導くために不可欠な第一の要素、つまり、リハーサルの重要性について語る、ブライアン・メイとロジャー・テイラーの独占インタビューで幕を開ける。

ブライアン・メイ :「ツアー前に行うリハーサルでは、いつもちょっとした驚きがあるんだ。どれだけ覚えているか分からないし、前と同じ感覚が得られるかどうかも分からないからね。だけど、一旦、試しにやってみ始めると、自分の中に、身体中の血管に、曲が間違いなく戻って来る。その様には驚かされるよ」。

ロジャー・テイラー:「僕らは普段、1曲丸々頭から通しで演奏してみて、それがライヴでうまくいきそうか確認するんだ。中には、刺激的だったり、観客を巻き込んだり、引き付けたりするようなパフォーマンス、つまりライヴ・パフォーマンスにはあまり向かない曲もある。だから、アルバム曲の中にはライヴで一度も演ったことのないものが結構あるんだけど、それには恐らくそれなりの理由があるんじゃないかな」。

ブライアン・メイ:「僕らの場合、色んな曲を沢山試してみて、その後で『ああそうだ、これはこの前やったよね。じゃあ、あっちをやろうか』となることが結構多いんだ。そうしているうちに、あっという間にラフなセットが出来上がる。リハーサルには沢山の目的があるんだよ。サウンドについて検討したり、客席にいる人達にとって全てが準備万端に整っているかどうかを正面側から確認したりするのも含めてね。 モニターをチェックして、お互いがちゃんと聞こえるように、例えば、ロジャーの音が僕に聞こえ、僕がロジャーに聞こえるよう確かめるんだ」。

ブライアン・メイ:「照明や、全体の演出についても同様でね。だから、リハーサル期間中にやるべきことは物凄く沢山ある。それで、やり残したこと色々とある状態のまま、本番になってしまいがちなんだと思う。だから、ツアーに出た初日の晩も、まだ仕上げが済んでいない状態でステージに上がることがあるんだ。まだまだ制作進行中の作品だってことさ。でも、それがこの仕事の本質なんだよね。完璧にはなれない。完璧な着地なんて不可能なんだ。それでも肝心なのは、まず着地すること。そこから目指す場所に向かって進化していく。だから、ツアーが終わる頃には、とても良くなっているよ」。

こういった進化を、クイーン・ツアー全体を通して確実に続けていくためには、各公演当日の貴重な数時間が極めて重要な鍵となる。

ブライアン・メイ:「サウンドチェックは、ツアーにおける基本中の基本なんだ。ツアー中にサウンドチェックを行わなかったら、何の変化も起きず、死んだも同然の状態になってしまう。それが僕の感覚なんだ。ロジャーもそう感じているはずだよ」。

ロジャー・テイラー:「セットアップにしても、サウンドにしても、全ての配置を正確に把握していない限り、僕らはどうしても満足がいかない。たとえ同じ会場で数夜ライヴを行う場合であってもね。 翌日には、全てが求める通りのサウンドになっているかどうか確認しに行きたくなる。チューニングが正しいかどうか。何もかもが適切かどうかって……。前の晩、何か満足のいかないことがあったかもしれないだろ。そこを修正したくなるんだよ。それから、曲を変更したり、セットに加える新しい曲をリハーサルしたりと、とにかく色々試してみるんだ。だけど思うに、間違いなくブライアンも僕も、何の準備もせずぶっつけ本番で臨むのは好きじゃないんだよ。全てが正しい状態にあり、何もかもがうまくいくよう確かめておきたいんだ」。

ロジャー・テイラー:「サウンドチェックね。普段は午後4時に、まず僕が一番乗りする。ブライアンは間違いなく時間がかかるから、最初に行けば、僕は短時間で済ませられるだろ。そのあと、ステージを他の面々に明け渡し、彼らがリズム、ベース、キーボードなど、技術的なことやハーモニーといった諸々のおさらいをして確認する。 それからブライアンがやって来て、自分の音を出す。そのあと僕を含めた皆でユニットとして集まり、アンサンブルを演奏するんだ。そう、普段はそんな風に進めるね、うん」。

ブライアン・メイ:「僕らがサウンドチェックと呼んでいるもの、その一部は確かに音をチェックするためで、それは常に必須だ。でも、残りの部分は色んなことを試すためにある、たとえそれがほんの数小節であってもね。例えば、『昨夜は何が起きたっけ? ああ、あんなことがあったな。じゃあこれをやったらどうだろう?』とかね。そうやって、徐々に少しずつライヴを進化させていき、うまくいかなかった部分を少しずつ見つけては見直していくんだ。もしかしたら、改善出来るかもしれない。『よし、試してみよう。この曲はもう何年もやっていなかったよな。こいつをやってみるってのはどうだい?』ってね。そして、もしサウンドチェックでうまくいけば、翌日の晩にはそれを入れるんだ」。

ブライアン・メイ:「でも、(その改善点というのは)様々なタイプの、ほんの些細な、取るに足らないような、ごく小さなことである場合もある。 例えば、『もし僕がこれをやって、そう、君があれをやったら、確かに普通は矛盾するよね、それなら、もしかして、お互いに……ああ、うん、OK。それじゃ僕はこうしよう』ってね。そして、そういった些細なところを調整することで、より良いものになっていく。日本で言うところの“カイゼン”というやつなんだ。つまり、ごく些細なことを現場で少しずつ色々と見直していく活動を続けていると、突然全体が改善を示す。だから、僕らのライヴは非常に良いものになるんだ。というか、良いものであってほしいと願っているよ。人々は『良い』と言ってくれているしね」。


クイーン・ザ・グレイテスト・ライヴ 第1回 リハーサル(パート1)

 
次週:『リハーサル - パート2』:史上最大のショーへの準備

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