『ライヴ・アラウンド・ザ・ワールド』から2018年ロンドンでの「ショウ・マスト・ゴー・オン」公演が公開!
クイーン+アダム・ランバート、初のライヴ・アルバム『ライヴ・アラウンド・ザ・ワールド』から2018年ロンドンでの「The Show Must Go On」が公開!
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<曲の来歴>
「ショウ・マスト・ゴー・オン」(原題:The Show Must Go On)は、フレディ・マーキュリーの存命中にクイーンがリリースした最後のアルバム『イニュエンドウ』(原題:Innuendo)の12曲目にして最終曲。完成したのは、フレディが当時不治の病だったAIDSとの闘いの末期にあった時だ。
ブライアン・メイはこう語る。「僕らは皆、フレディに悲劇が差し迫っていることを知っていた。にもかかわらず、『イニュエンドウ』の制作中、スタジオは創造的な雰囲気に溢れていて、僕らは楽しい時を過ごしていたんだ。フレディの病については、あまり話題にしなかった。彼はとにかく可能な限り、“いつも通り”に進めたいと考えていたんだ。とはいえ、その頃は既に、スタジオ入りして一緒に仕事ができるくらいフレディの体調が良い日は、週に1、2日しかなくてね。僕らはその貴重な時間を捉えて、最大限に活用していた。1つのアイディアとして、以前から僕は「ショウ・マスト・ゴー・オン」に取り組んでいたんだけど、このタイトルはあからさま過ぎるのではないかと迷っていた。フレディは、それを聞いて気に入ってくれて、コーラス部分やタイトルに問題があるという考えを一切否定してくれたんだ。この曲に取り組みたいと、フレディは望んでいた。
この曲の意味について、僕らは話し合ったりはしなかったけれども、AIDSと勇猛果敢に闘うフレディのその闘いぶりは、僕ら全員の中に、そしてフレディの中にすら、ある感情を引き起こし、この曲がそれを言い表そうという試みであることは、そんな背景の中では言うまでもなく明らかだった。彼には、自分で曲作りするだけの体力がなかったんだ。でも、ある日、苦痛を化粧で隠している道化師について描いたこの曲がまだ初期段階にあった頃、第1ヴァースの歌詞を固めようと、僕は彼と一緒に取り組んで、それは忘れられない特別な午後となった。そのあと彼は次の治療を受けるため、再びスタジオを抜けた。この午後のおかげで、後々最終的な2つのヴァースに発展させる歌詞の素材が、十分にでき上がったんだ。 僕は曲の全体像をまとめ、とある深夜になぜだかふと思い浮かんだ“蝶の羽”という部分を加えて、僕が歌う形で“デモ”を作った。そして次にフレディがスタジオ入りした時に、それを聴かせたんだ。この曲の歌メロには相当な高音が要求されるから、僕はその“デモ”ではファルセットでしか歌えなくてね。僕はフレディに、「体調を考えて、無理はしないで欲しい。これを張った声で朗々と歌い上げるのは、きっと簡単なことではないから……たとえ君であってもね!」と言った。すると彼は、「心配はいらないよ。僕は完璧にやってのけるからね、ダーリン!」と答えたんだ。そしてお気に入りのウォッカを数杯飲み干し、ミキシング・デスクにもたれ掛かりながら……生涯最高の驚くべきパフォーマンスを披露してくれた。「ショウ・マスト・ゴー・オン」のファイナル・ミックスで、最後の、“続けていくんだ、このショウを” という一節に達した時、リスナーは、自身の最高傑作を生み出すために全てを超越した一人の男の声を聴くことになる」。
フレディの死後、「ショウ・マスト・ゴー・オン」は、必然的に新たな意味を持つようになった。AIDSがもたらした悲劇により、クイーンのライヴで彼がこの曲を披露する機会は永遠に失われたが、1992年4月23日、数多くのスターが勢揃いし、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで開催された<フレディ・マーキュリー追悼コンサート>のステージで、この曲は素晴らしいライヴ・デビューを果たした。この時、リード・ヴォーカルを務めたのはエルトン・ジョン、そしてブラック・サバスのトニー・アイオミがギターで参加している。
またクイーンの歴史において、この曲が強い感動を呼ぶ機会が後に再び訪れた。
ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンの3人が揃ってこの曲を生演奏したのは、わずか2回。その2度目が、パリで行われたモーリス・ベジャールの『バレエ・フォー・ライフ』の初演であった。伝説の振付師モーリス・ベジャールがジャンニ・ヴェルサーチ(*衣装担当)と共同で制作した舞台『バレエ・フォー・ライフ』は、フレディ・マーキュリーと、ベジャールの元プリンシパル・ダンサーで、同じくAIDSにより亡くなったジョルジュ・ドンの生涯と作品を讃えたもの。クイーンとモーツァルトの楽曲を用いたこのバレエ作品は、1997年1月17日、パリのシャイヨー劇場で初演された。同公演のフィナーレとして、クイーンの存命のメンバー3人が、エルトン・ジョンと共に「ショウ・マスト・ゴー・オン」を披露。これがジョン・ディーコンにとって最後のライヴ・パフォーマンスとなった。
新ライヴ・ヴァージョン
「ショウ・マスト・ゴー・オン」は、『ライヴ・アラウンド・ザ・ワールド』収録の感動的なテイクで明らかにされている通り、クイーン+アダム・ランバートのライヴにおいても、今の時代性を色濃く反映した重要部分を担っている。アダム・ランバートは次のように語る。「”ショウ・マスト・ゴー・オン”は、とても深い共鳴を呼び起こすメッセージを持った曲なんだ。人生において、勝算がないと感じたり、険しい登り坂に直面する瞬間は、誰しもが経験することだと思う。この曲を歌っていると、いつも観客全体が大きなカタルシスを得ているように感じるんだ。フレディにとっても、この曲が彼の人生の旅路の中で大きな意味を持っていたことは、皆分かっていると思う。彼は命懸けで闘っていたんだよ」。
今回の本曲のパフォーマンスは、2018年7月、英ロンドンのO2アリーナでバンドが2夜にわたって行った壮大なコンサートのうち、2日目を収めたもの。どちらの公演も幅広い絶賛を受け、「数多くのファンが感激を胸にアリーナを後にし、これまでで一番気に入ったギグの1つだと口々に語り合っていた」と評されたほか、「この上ないほど最高に素晴らしいライヴ・ショウ」であると断言されている。
「ショウ・マスト・ゴー・オン」の本ヴァージョンは、単にそれを裏付けているに留まらない。深みのある、紛れもない感情が込められているこの曲は、アダム・ランバートの唯一無二の才能が完璧に示されている好例だ。ランバートは、これまでに何度も「フレディ・マーキュリーの代わりはいないし、僕も彼に取って代わるつもりはない」と明言しているが、「ショウ・マスト・ゴー・オン」におけるランバートの大胆かつ堂々としたパフォーマンスは、事情を全く知らない人の耳でさえ、一聴で捉えるのに十分だ。ある高名な評論家が言ったように、「彼は独立した存在で、独自のスタイルや、アイデンティティ、そしてニュアンスを楽曲にもたらして」おり、この「ショウ・マスト・ゴー・オン」では、そのことが他の曲以上に発揮されている。
「ショウ・マスト・ゴー・オン」は、健康状態が悪化に向かっていた時ですら、生への渇望を失っていなかったフレディ・マーキュリーに捧げる曲としてクイーンが制作したものだ。しかし、地球規模でソーシャル・ディスタンシングが行われている2020年の世界にあって、この「ショウ・マスト・ゴー・オン」は、恐らくこれまで以上に、時代に合致したアンセムのように感じられてならない。
ブライアン・メイおよびアダム・ランバートと共に、21世紀のロックの先導者的地位を占めているドラマー、ロジャー・テイラーの言葉を借りれば、「この曲は全てを物語っている」のだ。
『ライヴ・アラウンド・ザ・ワールド』 - CD、DVD / Blu-ray
クイーン+アダム・ランバート初のライヴ・アルバム『ライヴ・アラウンド・ザ・ワールド』(原題:Live Around The World)は、ロジャー・テイラー、ブライアン・メイ、アダム・ランバートの3人が、世界各地のコンサートの中から個人的にセレクトしたハイライトを収録したコンピレーションだ。 収録曲は、彼らがこれまでに行ってきた200公演以上のライヴから厳選されており、中には、今回初公開となる音源・映像も。<ロック・イン・リオ&リスボン>や、イギリスの<ワイト島フェスティバル>、日本の<サマーソニック>といったフェス出演時の模様や、さらにはイギリス・北米ツアーのコンサートから選んだ曲が含まれている。 また、クイーン史に残る1985年の<ライブ・エイド>のセットリストを再現した、2020年2月開催の慈善コンサート<ファイア・ファイト・オーストラリア>のステージを、全フォーマットに丸ごと収録。本アルバムは、10月2日発売。