商品紹介
オリジナル・リリース/1995年10月25日
PRODUCED BY INSTANT CYTRON
『Change This World』はインディー時代にキーマンだったメンバーが脱退し、二人体制になってはじめての録音でした。突然雑踏に放り出された子犬のように右も左も判らない状況のなか、音楽に対する姿勢がガラリと変化した作品です。それまでは割と無邪気に向かっていた音楽に、明確な意思を吹き込んだ時期でもあります。知りうる限りの人々に向かって贖罪の思い、感謝の気持ち、追悼の意…言葉では表わせない心の機微を思いっきり込めた作品です。
いま聴き返してみて、わたしにとって、とてつもなく幸せで、悲しい作品です。泣けてくる程、純粋で自分勝手な作品だと思います。音楽に対する愛情や誠実さは現在も全く薄れることなくむしろ強まっているくらいですが、無軌道で行き場の無い懸命さを最も強く感じる作品になっていると思います。
あくまでも、これはわたし個人の聴こえ方です。もし、みなさんがこの作品 ―『Change This World』以外でもシトロンの音楽すべて― を聴いて頂けるならば、みなさん自身のイマジネーションで風景を思い浮かべたり、こころを震わせたりして頂ければ嬉しく思います。
珍しく饒舌になってしまいましたが、そんな気持ちです。
最後に、五郎くんの作る曲はイイです。
さらに最後にシトロンの作品にスポットを当てて下さっている各レコード会社やファンの方々、これから聴いてくださる全てのみなさまに感謝します。
それでは。- 片岡知子
この作品はカエターノ・ヴェローゾと筒美京平を合体させようとした無茶なアルバムです…というのはちょっと言い過ぎましたが、とにかく向こう見ずな青春アルバムなのは間違いありません。
さて10代の僕はテレヴィジョンが大好きなギター少年でしたが、なぜか作る曲はとてもポップでした。それからデビューまでに色んなバンドで感情と楽曲の一致を試みましたが、それもやめました。感情の起伏はメロディーに込めることにしました。収録曲はそれまでのコンセプチュアルなものを忘れて、いい曲だけを選んだので古い曲もあります。そのため当時聴いていたレコードとのギャップが生じデビュー作なのに妙な苦労をした覚えがあります。ですので最初の一文はまんざら嘘ではないのです。
このアルバムのデモセッションは福岡のスタジオで行われ「桜坂セッション」なるテープが存在します。本編はとても豪華で多彩なアレンジ、なんて言われていますが、元になっているのは全曲僕のアコギとともちゃんのハーモニーです。それが狙ったものではなく、僕はただアコギをかき鳴らしたかっただけであり、彼女がウィスパーボイス風であることなんて、彼女しか僕の曲を歌ったところを聴いたことがないものだから気にも止めていませんでした。この自覚のない「あたりまえ」が、実は僕らのスタイルだったのでしょう。しかしこれがなかなか言葉では伝わらず、当時はレコード会社の方も売るのにとても苦労したんだと思います。
『Change This World』は所謂DJネタ再発見!的なものでもないし、実はこれがシトロンのルーツよ!という訳でもありません。いつまでたっても何系ともつかないでしょう。あえて名付けるならば「素敵系」。僕はレコーディング中48トラックのレベルメーターに完全に参っていた。摩天楼にも見えたし星の瞬きにも見えた。その中で聴こえるハープやストリングスの響きといったら...やっぱり素敵だった。そんな必然のない素敵さは、みなさんの中にもきっとあるでしょう。その辺を味わってもらえたらいいと思います。
僕らはマニアックにとられがちですが(実際無謀なくらいそうかもしれませんが…)このアルバムは地元のいとこのおばさんに聴かせてもいいように作りました。それはある意味、恩返しです。「おかあさん。君のカーペンターズのレコードはこんなにも僕に影響を与えたんだよ」っていう「初めておかあさんに聴かせられる自分のレコード」でもあるのです。(どうですかお母さん。若い頃思い出しましたか?)
最後にこのアルバムを身も心もぼろぼろになりながら一緒に作った片岡知子という人にリスペクト。睡眠時間平均2時間にさせてしまったエンジニアさんにリスペクト。さみしくてレコーディング途中に福岡に帰ってしまった時にタイトル曲「Change This World」を書きました。そんな福岡の海と山、桜坂とけやき通りにリスペクトです。あっ、あと南フランスにも。そしてほんとに傷付いた心を癒してくれるこの再発。恥ずかしいので面と向かってなかなか言えませんがスタッフの方々に感謝します。- 長瀬五郎
(2001年リイシュー時のライナーノートより)
当時のシトロンに影響を与えたであろう音楽たち
* Caetano Veloso
* 筒美京平
* Flat Face
* The Band
* The Beach Boys
* NRBQ
* Curt Boetcher
内容
テレビ番組『みいつけた!』『たまこまーけっと』『スキマの国のポルタ』などの音楽で知られる作曲家・片岡知子と、稀代のメロディーメイカー長瀬五郎によるデュオ「インスタント シトロン」の全アルバムをアナログレコードでリイシューするシリーズが始まります。
インスタント シトロンの音楽は、音楽愛あふれる若き二人の膨大な音楽知識に裏打ちされた、チャーミングで色あせることのないグッドタイムミュージック。おもちゃ箱をひっくり返したような、いや、心の大事な宝箱にそっと仕舞っておきたくなるような音楽です。
いつの時代でもどんな時でも、きっと優しい幸せな気持ちにさせてくれるシトロン・ワールドをお楽しみください。
第1弾は、東芝EMI時代のメジャー・デビューアルバムにして名盤の誉れ高い『チェンジ・ディス・ワールド』とミニ・アルバム『チアフル・モンスター』の2タイトル。
曲目
● Side-A
1
Theme of CHANGE THIS WORLD
2
STILL BE SHINE
3
窓辺のPillow Talk
4
しあわせな時間
5
HEY DAY, DANDY
6
SEE FOR MILES
● Side-B
1
(Make Me Your) SPECIAL GIRLFRIEND
2
MARCHIN' IN THE RAIN
3
小さな泥棒 -La Petite Voleuse-
4
HONEY MOON, HONEY PIE
5
CHANGE THIS WORLD
別バージョン
発売日
2021.06.09
価 格
¥3,850 (税込)
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品 番
UPJY-9165