商品紹介
晩婚化が進み少子化にますます拍車がかかるという傾向の今、親子や夫婦の情愛についてしみじみと考えさせる名作である。大工の熊五郎がお通夜の帰りに吉原へ行き、三日も家を空けて四日目に酔って帰ってくる所から始まる。文句を言う女房に言い訳をしているつもりが、いつの間にか昔なじみの女郎とのノロケ話になり大喧嘩。挙句の果てに女房に離縁状を叩きつける。女房は子供の亀吉を連れて家を出てゆく。この後のストーリーが巧みで涙と笑いの人情喜劇を見るように展開してゆく。女郎と一緒になったがすぐに別れてしまう熊五郎。心を入れかえて仕事に励み三年経って生活も安定してきたある日、出入りの番頭さんと仕事に行く途中、別れた子供の亀吉に偶然会う。このシーンの熊五郎と亀吉のぎこちない中にほのぼのとした親子の情が感じられる会話がなかなかいい。熊五郎は亀吉に小遣いを渡し、明日の再会を約束して別れる。亀吉を問い詰め熊五郎に会う事を知った女房が次の日、様子を見に行ったところで親子三人が再会。子供の機転で夫婦が仲直りするまでのやりとりも聞きごたえがある。可楽という人は“天狗連”と言われた当時の落語のセミプロ集団からプロになった人で苦虫をかみつぶしたような顔と鼻にかかったダミ声でぼそぼそとつぶやくような語り口調が売り物で、この“子別れ”も感情を抑さえた演じ方が笑いと共にある種の感動を呼ぶ。ちなみにオチの“かすがい”というのは木材と木材をつなぎ止める為に使うもので、つなぐ時に金槌で叩くのでオチの亀吉の台詞はその事からきている。 (収録時間:23’45”)
曲目
1
子別れ