商品紹介
“廓話(くるわばなし)”である。“廓”というのは“遊郭(ゆうかく)”と呼ばれる一種の男女の社交場のような場所の事であり、そこにいる遊女とお客の間の喜怒哀楽を描いた話が“廓話”と言われる。この話は品川に遊廓があった頃の話で、かつてそこの遊廓のナンバーワンだった“お染”という女がヒロインである。若い頃には人気があったが年とともに“落ち目”になってしまったお染。このままではみっともない、というので死んでしまおうと思うが、一人で死んだのではもっとみっともないから、誰かと心中しようと考える。このあたりのお染の心情を、ぼそぼそとつぶやくような芸風の可楽が演じると妙なリアリティがあって面白い。顧客名簿の中から一緒に死んでもいい奴を探し、貸本屋の金蔵という男が選ばれる。心中を持ち掛けられて一旦は承知するが、いざとなるとちゅうちょしてしまう金蔵の、揺れる気持ちとなんとか心中を成功させようとするお染。この二人の部屋でのやりとりも聞き所である。夜の品川の桟橋のシーンも鬼気迫る中になんともとぼけた味わいがある。ラストシーンでは心中に失敗して飛び込んできた金蔵を見て、博打の真っ最中の親分達が皆大騒ぎする。このドタバタぶりも爆笑を誘うところである。可楽は導入部分といわれるマクラで花魁(おいらん)の当時の様子や遊び方を丁寧に教えてくれる。この人は芸風が渋いという事もあって長く不遇時代が続いていたが、ラジオの時代になり一躍全国に売れた人で今でも隠れた人気を持っている。 (収録時間:22’43”)
曲目
1
品川心中