商品紹介
やきもちの話である。それも女性のやきもちの話。登場人物は旦那とその本妻とお妾さん。お妾さんというのは本妻以外の女性の事で二号さんなどともいい、今で言う愛人の事である。この三人の行動を冷静に見つめ時には鋭く分析などする男が“権助”である。権助というのは名前ではなく飯炊き専門に雇われた使用人の総称であり、田舎から出てきた不器用で気がきかない男である。気はきかないが、時には的を射る鋭い言葉を浴びせて周囲をびっくりさせる、与太郎と並んで落語の世界では貴重なキャラクターである。二人の女性の間をウロウロする旦那さんに遠慮なく浴びせる鋭い分析も聞き所である。普通は外にいわゆる“女”がいると家庭はもめるものだが、ここはいつでも円満。なぜなら、お互いにやきもちをやかないからである。本当に焼かないのか、それとも、究極のやきもちはこんな形なのか?聞いてみて判断して下さい。本妻さんは物分かりがよく優しい。またお妾さんの方も本妻をたてる。ある夜、風が強いので火事を心配した本妻さんが“お妾さんの方に行ってやりなさい”と言うので、旦那はお供の権助に提灯を持たせてお妾さんの方へゆく。すると、お妾さんが“本妻の方に行ってやってくれ”本宅に戻ると“あちらに行ってやって”。夜中に二人で本宅と妾宅を行ったり来たり。やがて、フランス小話のような洒落たオチが。結構、シビアで生々しいテーマだが四代目円遊の持つ飄飄とした味わいで聞くとなんとも軽くて後味のいい話になっている。 (収録時間:16’05”)
曲目
1
権助提灯