<イベントレポート>6/29開催「Nana デビュー・リサイタル」
2016年6月29日開催 東京 紀尾井ホール
15歳で録音したアルバム『Nana15』を4月に発売。今年になってから2回のプロモーション来日を行い、多数のテレビにも出演。大きな話題を集めた「チェロの妖精」ことNanaが、6月29日、東京・紀尾井ホールで「Nana デビュー・リサイタル」を行った。「Birthday Recital Tour in Asia」の一環で、6月15日に16歳になったばかりの台湾出身のチェリストが、ファンとともに誕生日を祝い、演奏で魅せた。
19時の定刻を3分ほど過ぎて、白のロングドレスでNanaが登場。やや緊張した面持ちで、ピアノのティエンリン・チャンと「愛の言葉」(カサド)でリサイタルをスタート。「歌の翼に作品 34-2」「無言歌 ニ長調 作品 109」(いずれもメンデルスゾーン)の演奏を終えると、ようやく少しだけ笑顔を見せ、静かな会場に「かわいい」との声も小さく聞こえた。「タランテラ 作品23」(スクヮイア)で前半を締め、ティエンリン・チャンと笑顔を互いに交わした。
会場にはクラシック音楽ファンや、普段着の音楽ファン、さらには小学生や未就学児までもが訪れ、ファン層の広さを示した。
後半は真紅のドレスに着替えて登場したNana。「涙そうそう」や「赤とんぼ」などの日本の楽曲も情感たっぷりに演奏し、客席から最大の拍手を受けた。情熱的な「リベルタンゴ」で本編を締めると、通訳を伴って再びステージに上がった。
Nanaはまずは日本語で、「みなさん、今日はデビューリサイタルに来てくれてアリガトございます。これからもがんばります。また日本でアイマショウ」とあいさつし、客席に手を振って感謝した。さらに通訳を通じ、「今日は東京での初めてのリサイタルで、緊張していたのですが、とても楽しめました。誕生日を迎えてのツアーであり、6月15日に誕生日を迎えてから9回目の公演です。今日は皆さん来てくれてありがとうございます」と心からのメッセージを伝えた。
「いまから演奏する曲は、私の年代の人はご存じないかもしれませんが、今日来ていただいた多くの方は知っている楽曲だと思います」と語ると、アンコール曲を察知した会場に小さな笑いが起きた。「私にとっては大きな意味を持つ曲です」と、アルバムのボーナストラックとして収録されている「ラヴ・イズ・オーヴァー」を演奏。鳴り止まないアンコールに、ステージに戻ったNanaとティエンリンは、久石譲メドレーとして『魔女の宅急便』『天空の城ラピュタ』の楽曲を演奏。ステージを去った後、拍手に促され、楽器を持たずにステージに戻ったNanaは本日もっとも長い時間かけて観客に向かって一礼した。頭を上げると、最後に客席に両手で手を振り、16歳らしい笑顔を見せてステージを去った。
写真:森リョータ