BIOGRAPHY
The Naked And Famous / ザ・ネイキッド・アンド・フェイマス
David Beadle - Bass
Thom Powers - Vocals/Guitars
Aaron Short - Keys
Jesse Wood - Drums
Alisa Xayalith - Vocals/Keys
最高の音楽というものは頭の中に入り込むと、勢いよく弾けるその3分の間に、聴いた者を同時に幸福と悲しみの両極端へと引きずり込む。そして不可能が存在しない領域へと一時的に連れていってくれる。その錯覚の世界へと導いてくれるバンドの一つとして、ニュージーランドのThe
Naked And Famousの名を挙げることができる。
オークランド出身の若い5人のメンバーは、トップレベルのエレクトロ・ポップ・バンドから期待できる目が回るような楽しさと容赦ないフックを好きなように楽々と捉える才能を持っており、同時に更にスケールが大きく陰気で雰囲気のあるサウンドを目指し奮闘している。そんな彼らのユニークな才能が評価され、母国では成功を手に入れ(共に自らのレーベルSomewhat
Damagedからリリースされたシングル「Young Blood」と最新アルバム『Passive Me, Aggressive
You』はニュージーランドのチャートでデビューと同時にトップを飾った)、その魅力を母国だけに収めることが不可能になってきている。
2010年を代表する正真正銘のオーガニック・サウンドを奏でるバンドの一つとして、彼らは殆どの誇大広告されたバンドを見劣りさせるような成果をすでに見せている。対蹠地で暮らす彼らは、この6ヶ月間で突如その素晴らしい宝石を披露し、温められたナイフがバターを切るようにブロゴスフィアにすんなりと浸透し、世界的にそのポップ色で知られる他ならぬレーベルNeon
Gold(Marina And The DiamondsやEllie Goulding等)から「Young
Blood」がリリースされその人気が頂点に達し、その後Fiction
Recordsと契約を結んだ。そしてニュージーランドとオーストラリアを征服した今、『Passive Me, Aggressive
You』が海外へのリリースに向けて完成され、メンバーたちの視野は遠くへと更に広がっていく。その啓発的な音楽の力と同じように、彼らなら何でも可能にしてくれるだろう...
ThomとAlisaは2008年に音楽学校で知り合い、共に曲作りを始め、それが後にThe Naked And
Famousの原点となる。Thomの高校時代の知人で同じ大学に通うAaronは、2人が大学内のスタジオやベッドルームで遊び半分で何時間もかけて作られレコーディングされた曲のプロダクションを手掛けるようになる。これは後にThe
Naked And Famousの初期のEP『No Light』と『This Machine』としてリリースされた。
ThomとAlisaにとってライヴを行うことは、スタジオでの作業に続いて大切なこと。試しにバック・ミュージシャンと共にライヴを行った後、2人はAaronにライヴ・サウンドエンジニアからステージ上でエレクトロニックのつまみをひねる役割を任せ、最終的には高校時代の友人JesseとDavidもバンドに加わり、完璧なバンドが形を成した。がむしゃらにライヴ用の曲と多数のデモを制作した2009年、The
Naked And
Famousはそのサウンドを新たな発展へと導き、豪華な変化や映画のようなムードを取り入れるようになることで彼らの現在のサウンドを確立した。
「最高のポップミュージックって、ものすごく印象深い思い出や強い感情に入り込むものが多いって思うの」とAlisaは言う。「楽しくて盛り上がる音楽だからって、難しい内容や胸を締め付けるようなものに触れてはいけないって決まりはないでしょ?」地元ラジオでの人気や、海外でのカルト的なファンが雪だるま式に増大していくと、Empire
Of The Sun、MGMT、そして進化し続けるLCD
Soundsystemなど映画のようなおとぎ話のようなダンスポップを奏でるバンドと同類であることが明らかになってきた。
The Naked And Famousのデビュー作品『Passive Me, Aggressive
You』は、オークランドの様々な小さなスタジオにて制作された。自らも認めている”仕切り屋”のThomが全体の作業をまとめ、Aaronが曲の色づけを行い、Alisaのユニークなメロディーに常に導かれながらアルバムのプロデュースをAaronとThomの2人が手掛けた。
数年前にMGMTがシンセ・トラック「Time To
Pretend」や「Kids」を通じてニュー・サイケデリアというジャンルにもたらした成果を、シングル「Young
Blood」と「Punching In A Dream」も同じように成し遂げられるだろう。アルバムに収録されている空虚感のある「No
Way」や心に響きながら上昇していく「Eyes」などは、奇妙な感じで聴いた者に魔法をかける。「Jilted
Lovers」はメンバーたちが影響を受け共にファンだと認めるNine Inch
Nailsのような荒れたシンセの不調和音が特徴的で、「A Wolf In Geek’s
Clothing」はそれと同じように荒れた情熱と共にブルドーザーのように勢いよく迫ってくる。つかの間のサウンドスケープである「The
Source」から、急上昇する不調とファズの効いたリフレインが特徴的な「Spank」まで、The Naked And
Famousは普通のインディーズバンドが好む安全地帯の境目を躊躇なく破壊していく。その場しのぎのシングルが多くリリースされるこの時代に、彼らのその純粋なアルバムは堂々とした態度を保っている。
スタジオが生息地と自ら言うThe Naked And
Famousのメンバーだが、ステージへと上がり曲を通じて観客に素晴らしい経験を与えてくれる様子を見た者なら、アルバムの最終トラック「Girls
Like You」も同じように最高の気持ちにさせてくれると証言するだろう。おそらくThe Naked And
Famousが夢を実現する瞬間とは、心を奪うフックラインと広がっていく別世界のサウンドが完璧に衝突する時なのかも知れない。彼らは確実に2011年の音楽界に火山の噴火のように勢いよく現れるだろう。歪んだサウンドを売りにする彼らが、命懸けでハラハラと興奮しながらも、ポップチャートにランクインされることは間違いないだろう。彼らの作品に心と魂を注ぎ込む価値はあると断言する。