商品紹介
80年代前半にリリースされた音源から選曲されたラブソング集。ラブソングという大枠はあるものの、さまざまな点から多彩な1枚。たとえば81年『Bye Bye』からの「POOR BOY'S BLUES」と83年『HEAVY GAUGE』からの「僕だけのメリークリスマス」は、作詞が松井五郎。当時の松井は、安全地帯「ワインレッドの心」を手がけ、一躍有名作詞家となった頃(最近は平原綾香にも詞を提供)。ただし、松井もポップコン出身であるため、長渕とは旧知の仲であった可能性も高い。 84年『HOLD YOUR LAST CHANCE』からは「TIME GOES AROUND」「COME BACK TO MY HEART」「スローダウン」を選抜。このアルバムはLAでのミックス。グレッグ・ラダニーがミキサー。70年代からジャクソン・ブラウンのレコーディングで腕を振るい、82年にはTOTO『聖なる剣』でグラミー賞ベストレコーディングエンジニア賞受賞、マドンナから渋いところではジョー・コッカーまでを手がける大御所。その点では、洋楽テイストな音像と言えるだろう。 85年のシングル「勇次」のカップリング曲「LONG LONG TIME AGO」もこれがアルバム初収録。また、「僕のギターにはいつもHEAVY GAUGE」など、ラブソングというキーワードとは直線的に結びつかない曲も収録するなど、さまざまな切り口においてバラエティに富んだ1枚である。 ちなみに「DON'T CRY MY LOVE」と「POOR BOY'S BLUES」の2曲は、このアルバムのためにボーカルを新たに録音し直している。フォークシンガー的歌唱法の70年代から、80年代に入るとロック的表現方法を吸収し、長渕独特のボーカルスタイルを構築している頃だったせいだろうか。そうした点も踏まえ、ボーカルに注目すると、本作のもうひとつの多彩さが浮き彫りになる。