<海外プレスリリース訳>マレイ・ペライア、ドイツ・グラモフォンと画期的な契約を結ぶ
ドイツ・グラモフォンはこの度、現在最も聴衆から愛されているピアニストの一人、マレイ・ペライアと契約いたしました。イエロー・レーベルからの最初のリリースは、バッハの《フランス組曲》で国内盤は10月26日来日記念盤として発売いたします。
海外プレスリリース訳を掲載いたします。
2016年9月
マレイ・ペライア、ドイツ・グラモフォンと画期的な契約を結ぶ
「マレイ・ペライアが大勢の忠実なファンに愛され続けているのは、彼には名声をえたアーティストにありがちな、“これ見よがし”なところが微塵もないためだ。その謙虚さは演奏にもにじみでている。彼はスタンドプレイとはまったく無縁であると同時に、そのさりげなさが崇高な美を生みだしている」(フィナンシャルタイムズ/2015年6月付)。
ドイツ・グラモフォンは、現代の巨匠マレイ・ペライアがイエロー・レーベルと契約を結んだことを、誇りをもってお伝えしたい。このアメリカ生まれのピアニストは、自らのレパートリーの中心をなす作品を録音する予定である。これらのレパートリーは、彼がデビューした1960年代なかばから、来年4月で70歳を迎える現在にいたるまで、つねに輝きを放ち続けている。ペライアは詩情豊かな表現力、多彩な音色、精神的な深みなど、多くの芸術的な側面で称賛を受けてきた。ドイツ・グラモフォンに移籍する以前はソニー・クラシカルと専属契約を結んでおり、さらにその以前には1973年以降コロンビア・マスターワークスの専属アーティストだった。
今回の重要な契約により、DGのカタログに芸術性あふれる至高の演奏がつけ加えられことになる。その第一弾として予定されているのは、今秋発売の、バッハの《フランス組曲》である。
ペライアは常々バッハの音楽に多大な親近感を感じてきた―子供の頃からバッハの作品を演奏したり、15歳の時にコンサートで聴いたパブロ・カザルスが指揮した《マタイ受難曲》に強烈な影響を受けるなど―。彼はまた、故障により演奏できない時期にこの作曲家について毎日のように研究することに慰めを見出した。《フランス組曲》は“バッハの最高峰”の作品であり、“バッハは広い意味を持たない音や、心と魂を打たない音をひとつも書かなかった”。彼の録音は、多様な雰囲気、物悲しい優美さから限りない喜びまでを極め、優雅なフレージングと表情豊かな舞曲のリズムのニュアンスを引き出している。
「ドイツ・グラモフォンとの契約で、私が心から愛している作品の録音が実現できるのを、楽しみにしています」と、マレイ・ペライアは語っている。「録音は、同じ作品にもう一度新たに取り組む機会をあたえてくれます――作品についてあらためて考え、新たな気持ちで感じとる――それを通じて、ピアノ作品の傑作を自分の成長のあらゆる段階で探求することができるのです。バッハ、ベートーヴェン、モーツァルト、ショパン、ブラームスなどの作品と新たに向き合うことは、私にとってまさに特別な体験です。永遠に枯れることのない豊かさをもつ作品は、常にインスピレーションの源泉なのです。今回ドイツ・グラモフォンと結んだすばらしい絆を通じて、世界中の音楽ファンに私の演奏をお届けできるようになるでしょう」
マレイ・ペライアは、1947年4月19日にニューヨーク市ブロンクスで生まれた。幼い頃からピアノの指導を受け、十代なかばですでにその非凡な才能を認められた。1972年にはリーズ国際ピアノ・コンクールで優勝し、ベンジャミン・ブリテン、ピーター・ピアーズ、ウラディーミル・ホロヴィッツなど錚々たる音楽家の賞賛を受けた。なかでもホロヴィッツは、ペライアのピアノ演奏に絶大な影響をあたえた。ペライアは長年ロンドンを本拠地として活動を続け、世界中の主要コンサートホールでリサイタルを開き、協奏曲のソリストとして世界各地の著名オーケストラおよび指揮者と共演してきた。録音ではグラミー賞を3回、グラモフォン賞を8回受賞しているほか、数々の名誉ある国際的な賞をあたえられた。そして2004年には、エリザベス女王より名誉大英帝国勲章が、マレイ・ペライアに授与された。2015年にはイスラエルのウルフ財団より、ウルフ賞音楽部門を受賞している。
マレイ・ペライアのように、輝かしいアーティストが深みを増した年代でドイツ・グラモフォンに加わった例は、今回が初めてではない。1980年代にはCBSマスターワークスが、それまで専属だった2人の偉大なピアニストとの契約を失った。ルドルフ・ゼルキンと、そのすぐあとにウラディーミル・ホロヴィッツである。この2人は、レコーディングアーティストとしての成熟期をイエロー・レーベルに託すことを決断し、その後伝説的な成果を残している。
ドイツ・グラモフォン社長Dr.クレメンス・トラウトマンは、マレイ・ペライアのイエロー・レーベルへの移籍を歓迎している。「マレイ・ペライアと録音計画を推進できるのは、大いに喜ばしいことです。今後何十年先にも画期的な演奏として残る録音が、実現できると確信しています。音楽家としても人間としても、ペライアの素晴らしい点の一つは、彼がつねに自分自身に挑戦し、最高の結果が出るまで決してあきらめないことです。ペライアの現在の演奏は、比類ないキャリアを開いた最初の頃の新鮮さや説得力をまったく失っていません。そしてもちろん、長年にわたり幅広い経験と鍛練を積み重ねてきた現在、彼の主要作品の演奏には、アカデミックな面でもピアニスティックな面でも、長年にわたるみずからの経験と研究の成果がにじみ出ています。ペライアはドイツ・グラモフォンに所属するアーティストにとっても、音楽ファンにとっても、豊かなインスピレーションの源泉となることでしょう」
<商品情報>
J.S.バッハ:フランス組曲
2016.10.26発売予定