現ジャズ界で「最も影響力のあるサックス・プレイヤー」の一人、マーク・ターナーが8年ぶりに新カルテット作品をECMからリリース!
マーク・ターナーが『Lathe of Heaven』(2014) 以来、8年ぶりとなる自身が率いるカルテット作品をECMからリリースする。「ナイジェリア II」が先行配信、ティーザー動画も公開となった。
『リターン・フロム・ザ・スターズ』
Return from The Stars
SHMCD 税込:¥2,860 UCCE-1191
2022年3月25日(金) リリース
<収録曲>
01. リターン・フロム・ザ・スターズ / Return From The Stars
02. ターミナス / Terminus
03. ブリッジタウン / Bridgetown
04. イッツ・ノット・オールライト・ウィズ・ミー / It’s Not Alright With Me
05. ナイジェリア II / Nigeria II
06. ウェイスト・ランド / Waste Land
07. アンアクセプタブル / Unacceptable
08. リンカーン・ハイツ / Lincoln Heights
マーク・ターナーは、ここ十数年ECMの録音に頻繁に参加し、エンリコ・ラヴァ、ビリー・ハート・カルテット、フライ・トリオ(ジェフ・バラード、ラリー・グレナディア)、ステファノ・ボラーニ、最近ではイーサン・アイヴァーソンとのデュオ作品『Temporary Kings』に彼のサックスの芸術性と音楽へのこだわりを持って参加してきた。
本作におけるターナーのメンバーへの作曲ライティングは、プレイヤーに十分なスペースを与え、爽快感と思慮深い表現の弧を描いた作品に仕上がっている。ソロはアレンジから有機的に流れ出し、ターナーのテナーとジェイソン・パルマーのトランペットのまばゆいばかりのインタープレイの下、ベーシストのジョー・マーティンとドラマーのジョナサン・ピンスンはしばしば自由に動き回っる。コード楽器がないため、音楽における会話の可能性が広く開かれており、作曲は綿密に構成されたものと、ゆるやかに導かれたものとの間で変化する。マーク・ターナーは、直感とアンサンブルの芸術的目標の共有に大きな信頼を置いており、自由と責任の並置から生じる物語の緊張を大切にしている。
「私の作曲のプロセスは、演奏している人たちのために書くということです。」
「曲については、メンバーにあまり多くを語りたくはありません。私が書いた曲を私が選んだメンバーたちが、基本的には彼ららしく演奏するとわかった上で曲を書きたいのです。むしろ、彼らが私の書いた音楽の中に自分自身を見いだすことを望んでいます。曲は、各メンバーが自分のやるべきことを選択できるように書かれています。ホーンのために書かれたパートはあります。リズム・セクションのためには、いくつかの「ヒット」と、セクションでのタイム・チェンジを除くと、それほど多くはありません。私はセクションがどのように感じるべきかというガイドラインを示し、ベースとドラムにそれをどうやるかを考えさせるだけなのです。リズム・セクションが良い音を出せるなら、何でもやってもらう、そしてその上にホーンが乗るのです。」
タイトルは、スタニスワフ・レムのSF小説から引用したもので、宇宙飛行士が探索的な宇宙ミッションから帰還すると、地球上の生活が大きく変化し、適合主義でリスクを嫌う社会の価値観と自分との間にずれが生じていることに気づくというも。ターナーのSF好きはよく知られており、彼の作品に一種の慣用的な「タイムトラベル」的な性質を見出す人もいる。ガーディアン紙は、彼の前作『Lathe of Heaven』(アーシュラ・K・ル=グィンのSF小説「天のろくろ」にちなんで命名)を、「21世紀のリズムのコンセプトの上に浮かぶ『クールの誕生』のようなサウンド」と評している。
ジャズの巨匠たちに対するターナーの深い研究が、彼のスタイル、テナー・サックスのフルレンジでの表現力、そしてその歴史を鋭く意識しながら音楽を前進させる彼の作曲の幅をどんどん広げている。
<プロフィール>
マーク・ターナー / Mark Turner
現代ジャズ・テナー・サックス界を牽引する重鎮サックス奏者の一人。
オハイオ州出身、カリフォルニア州で育ち、’90年代初頭からニューヨークのジャズ界で活躍。ジョシュア・レッドマン、カート・ローゼンウィンケル、トム・ハレルらと共演を重ねながらリーダー・アルバムも約10枚リリース。ECMでは2012年にビリー・ハート・カルテット、ザ・フライ・トリオ、イーサン・アイヴァーソンとのデュオ作品などをリリースしてきたが、2014年のカルテット作品『Lathe of Heaven』がとりわけ評判となった。ブラッド・メルドーが“暖かく、深い優しさをたたえた誘惑の味”と形容した唯一無二のサックスの音色を持つ実力派。
ジェイソン・パルマー(tp)
10年前にバンドのサイドメンとしてターナーとは初めて出会った。その後、パルマーが率いるプロジェクト(Places、Rhyme and Reason、The Concert)にターナーが参加し、レコーディングにも参加。ターナーは、パルマーの優れた資質として、「未知のゾーンに進んでいく意欲」を挙げている。二人は音楽について百科事典のような知識を共有しているそう。ボストン・フェニックス紙は、パルマーについて「確かな音色とソロの冷静な熟考で火をつける」と評している。NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)では、ターナーは「革新的な音の特徴、ある種の浮遊する半音階性、リズムへの配慮、繊細さに満ちた軽快な音色を持っている」と紹介しており、二人の相性はとても良好。ECM録音初参加。
ジョー・マーティン(b)
1995年以来ターナーと共に様々な文脈で演奏してきた。マーティン曰く、「マークと演奏するときは、可能な限り良い演奏をし、レベルを上げなければならないといつも思っている。カルテットでは、ピアノやギターの奏者がいないため、和声の空間を埋めるために、音の選択をより意識するようになった。たった1つの音の選択ですべてが変わり、音色やハーモニーを示唆するんだ」。
ジョナサン・ピンソン(ds)
イスラエルのギタリスト、ギラッド・ヘクセルマンのグループで演奏していたときにターナーに出会ったとのこと。20代前半でハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、グレッグ・オスビーらとツアーを行い、深いところから音楽の世界に飛び込んでいったのだ。また、カマシ・ワシントン、アンブローズ・アキンムシーレ、デイヴ・リーブマンなどとの共演も多い。ECM録音初参加。