ドイツ・グラモフォンがヴァイオリン奏者マリ・サムエルセンとの専属契約を発表!

2019.01.15 TOPICS

北欧から始まる叛逆

マリ・サムエルセン、ドイツ・グラモフォンよりデビュー

 

2019年1月ベルリン発、ドイツ・グラモフォンはノルウェーのヴァイオリン奏者マリ・サムエルセンとの専属契約を発表した。デビュー・シングルマックス・リヒター作曲《ノヴェンバー》1月11日に世界同時リリースされ、あわせて昨年10月に故宮(紫禁城)で開催されたドイツ・グラモフォン創立120周年記念コンサートの彼女の見事な演奏がARTEで放送される。
 マリ・サムエルセンのDGデビュー・アルバムは、ジョナサン・ストックハンマー指揮ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団との共演で録音された。バッハ《シャコンヌ ニ短調》のほか、マックス・リヒター、ブライアン・イーノ、ヨハン・ヨハンソン、ピーター・グレッグソンなど、現代をリードする作曲家の管弦楽曲を収録。アルバムは2019年初夏にリリースが予定されている。
 オリジナリティ溢れるプログラミングと演奏で知られるマリ・サムエルセンは、現代で最も独創的かつ訴求力のあるヴァイオリン奏者の一人である。その演奏スタイルは、超絶技巧と魅惑溢れる洗練された音楽性を併せ持つ。ソリストとしては、カーネギー・ホール、ハリウッドボウル、バービカン・センター、ベルリン・コンツェルトハウス、パリ・フィルハーモニー、シャンゼリゼ劇場など、世界一流の演奏会場に出演を果たしている。
 サムエルセンは語る。「DGファミリーの一員となり、すごくハッピーです! クリエイティヴなスタッフ、コンポーザー、エレクトロニック・アーティスト、プロデューサーから構成される完璧なベスト・チームと一緒に、ヴァイオリン音楽を探求する旅を続けながら、その録音を世界で最も有名なクラシック・レーベルからリリースできるなんて、本当に興奮しています。私はこれまでも、ヴァイオリン奏者に伝統的に求められるレパートリーに従おうとは思ってきませんでした。私の目的は、ジャンルにとらわれず、音楽ファンのために斬新なプログラムを作り出していくことなんです。リリース予定のアルバムにどんな作品を選曲したか、早くお聴かせしたくてたまりません」
 DGのニュー・レパートリー・ディレクター、クリスチャン・バズーラが付け加える。「数年前、サムエルセンが演奏するバッハの《シャコンヌ》を聴き、明晰なアーティキュレーションと素晴らしい音色に大きな感銘を受けました。バッハの名曲だけでアルバムを作ることも可能でしたが、彼女が持つアーティスティックなヴィジョンの広がりも示したかったのです。有名な作品とフレッシュな新作がミックスされたデビュー・アルバムは、誰もがその虜になるでしょう」。
 マックス・リヒターの作品は、サムエルセン個人のプレイリストの中心でもあり、同時に彼女の演奏レパートリーの中心にもなっている、2012年にDGがリリースした『25%のヴィヴァルディ』にすぐさま魅了された彼女は、それ以来、リヒターと《ヴィヴァルディ・リコンポーズド》の実演で共演を重ね、2018年12月には香港でも共演を果たした。さらに2人は《メモリーハウス》も演奏しているほか、リヒターの最新アルバム『3つの世界:ウルフ・ワークス(ヴァージニア・ウルフ作品集)より』でもコラボしている。「彼女は素晴らしいヴァイオリン奏者であるだけでなく、私の作品を本能的に理解し、作曲意図を伝達出来る並外れた能力を備えているんです」とリヒターはコメントしている。
 サムエルセンは2017年モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのオープニングにリヒターと共に出演し、彼女がアーティスティック・ディレクターを務めるノルウェー・イエロー・ラウンジでは、オスロのクラシック界にクラブ体験をもたらした。これまでにジェフ・ミルズやダブファイアなどの著名なエレクトロニック・アーティストと共演し、ベルリンのマルチメディア・アーティスト、フィリップ・ガイストと先進的なプロジェクトを手がけている。トロンハイム・ソロイスツと共演したソロ・デビュー・アルバム『Nordic Noir』(訳注:「北欧ノワール」とは北欧の犯罪小説やドラマを指す用語)は2017年にデッカ・レーベルよりリリースされ、TVドラマ『THE KILLING/キリング』『THE BRIDGE/ブリッジ』『ブロードチャーチ〜殺意の町〜』で使用されたサスペンス音楽を中心に選曲されている。
 2019年前半には、マックス・リヒターとの共演(3月5日すみだ平和祈念音楽祭《メモリーハウス》公演、および5月のリヨン)のほか、クリスチャン・ヤルヴィ指揮バルト海フィルハーモニックとのツアー(6~7月)では、ペルトとヴァスクスの作品をベルリン・フィルハーモニーおよびハンブルグ・エルプフィルハーモニーで演奏する予定である。
 「マックス・リヒター作品の彼女の演奏の虜になった我々は、彼女をDGファミリーに迎えることにしました」とDG社長クレメンス・トラウトマンは語る。「彼女がいかに深く内面的かつエモーショナルに聴衆の心と繋がることが出来るか、その現場を我々は実際に見てきました。今後、彼女の革新的な録音プロジェクトを通じ、説得力あふれるプログラムを世界中のみなさまにお届けできることを楽しみにしております」。

(訳:前島秀国)

 

マックス・リヒター作曲のデビュー・シングル『ノヴェンバー』は発売中です。