「レベル・ハート・ツアー」10月27日ロサンゼルス公演ライヴ・レポート

2015.10.30 TOPICS

 9月から始まったマドンナの「レベル・ハート・ツアー」、ロサンゼルス公演。2時間半に渡って計22曲で構成された一大スペクタクルは、57歳のマドンナが、今なおパフォーマーとして世界の頂点に立つ「ポップ界の女王」であることを全身全霊をかけて証明するショウだった。冒頭は日本の戦国時代を彷彿とさせる演出で始まり、マドンナらしい掟破りの修道女達のポールダンスから、闘牛士の衣装やスペインの民族衣装を身にまとっての鮮やかな踊り、フランス語のカバー曲(「バラ色の人生」)までが盛り込まれており、世界中からインスピレーションを得ている国際的スターであることを示唆する壮大なステージに、観客は最後まで総立ちで参加。最後は客席にいたケイティ・ペリーが飛び入りして女王にひれ伏すというサプライズも飛び出した。
 オープニング曲は最新作『レベル・ハート』からの「アイコニック」。檻に入ったマドンナが天井から光臨し、場内は熱狂に包まれる。赤い着物を羽織ったマドンナは、甲冑を身につけ十字の槍を持った男性ダンサー達と戦いの舞を踊りつつ熱唱。日本の戦国時代を意識したと思われる奇抜な衣装が斬新だ。10年ぶりの来日公演を控えた日本のファンにとっては、喜ばしい演出である。続く「ビッチ・アイム・マドンナ」にも、日本の影響が反映されていた。マドンナとダンサー達が赤い扇子を持って舞い、バックの巨大スクリーンに流れるビデオに「ホーム」などの日本語が組み込まれている。そして、この曲を終えての第一声が、“ありがとうございます”。なんと日本語での挨拶だった。それから彼女は、“皆、元気?”と叫んで大歓声を巻き起こした。
 意義のあるメッセージも忘れない。“これは「レベル・ハート・ツアー」。「反抗心」って、他人が通らない道を自ら切り開いたことがある人なら理解できるはず。あなた達のことよ。人生には、そんな生き方をしている人が他にもいることに気づいて、自分は一人じゃないと思える素晴らしい瞬間が訪れるわ。でも、自分と違う人を否定もしないの。それが「レベル・ハート」で一番大事な要素よ。あなたがその心の持ち主なら、拍手して!”。感動的な呼びかけに、会場中が沸いた。
 計22曲中、『レベル・ハート』からの曲が8曲という挑戦的なセットリストだったが、「ライク・ア・ヴァージン」などの往年のヒット曲もしっかり抑え、「ドレス・ユー・アップ」の曲中に「イントゥ・ザ・グルーヴ」と「ラッキー・スター」を織り込むなどの工夫がなされていたおかげで、物足りなさは全く感じない。ロサンゼルスは“故郷のように感じている”とのことで、特別に「ライク・ア・プレイヤー」まで披露してくれた。ラスト曲「アンアポロジェティック・ビッチ」の終盤では、ロサンゼルスならではのゲストも登場。小ステージに引き上げられたケイティ・ペリーは、マドンナにお尻を叩かれていた。バナナの形のフラスコ(お酒を入れる容器)というユーモアたっぷりの贈り物をもらった後は、跪いて女王にひれ伏し、ステージをあとにした。
 拍手喝采に導かれて始まったアンコール曲は「ホリデイ」。様々な国際色を取り入れたショウは、アメリカの国旗をモチーフにした衣装で締めくくられた。最後にマドンナは宙づりになり、空中で観客に向かって脱帽。一流というレベルを超越した革新的な「マドンナ流」エンターテイメントは、値をつけることが不可能なほど完璧だった。ファンでなくとも、死ぬ前に見ておきたいもののリストに入れるべきだろう。

(鈴木美穂)



Madonna Rebel Heart Tour / マドンナ レベル・ハート・ツアー
【開催日時・会場】さいたまスーパーアリーナ 
2016/2/13(土) 開場 17:00 / 開演19:00 
2016/2/14(日) 開場 17:00 / 開演19:00
【チケット料金】 SS席:¥50,000 ※限定グッズ付 / S席:¥20,000 / A席:¥15,000 / B席:¥9,000
(全席指定・税込)※未就学児入場不可/枚数制限4枚
【2/14公演一般発売日】10/31(土) 10:00~ 
http://eplus.jp/madonna2016/ 
【お問い合わせ先】マドンナ・ジャパン・ツアー2016事務局 0180-993-344(24hテープ対応)
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マドンナ来日公演スペシャル・サイト http://madonna-japantour2016.com