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今年のアカデミー賞®では3部門にノミネートされる等、世界中の映画賞の主要部門で受賞およびノミネートを重ねている話題の映画『リコリス・ピザ』。カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンと世界三大国際映画祭を制した天才、ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作となる今作は、1973年のカリフォルニアを舞台に主人公2人の恋愛模様を中心にした、ある種のひねくれた人生賛歌とでもいうべき傑作だ。日本での公開は7月1日に決まりその公開が待ちきれないという人も多いはずだ。

映画のタイトルになっている”リコリス・ピザ”は1970年代頃に南カリフォルニアで展開していた独立系レコード・ショップ・チェーンの名称。10代の子がこのレコード・ショップで初めてレコードを買うのがある種のお決まりの行動パターン、と言われるほど、この映画の舞台であるサンフェルナンド・バレーのサブカルシーンに不可欠な存在だったそう。しかし、そのレコード・ショップは劇中では登場せず、”リコリス・ピザ”という言葉さえ発せられることもない。けれども、この映画の空気を的確にレコード・ショップ名が表現しており、そこに「70年代」という説得力を持たせられるのが、ポール・トーマス・アンダーソンが天才と評される所以であろう。

そのタイトル通り全編にわたって音楽が効果的に使用されており、それをコンパイルしたサウンドトラックが6月29日にCD発売されることが決まった。

全20曲を収録したサウンドトラックは監督自らがキュレーションを行った。この時代のカリフォルニアの街のいたるところで流れていたであろう、ポール・マッカートニー、ドアーズ等による名曲がぎっしりと詰め込まれており、スコアの制作を担当したレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドによるスコアでタイトル曲となる「リコリス・ピザ」も収録されている。この曲は”若さ溢れるノスタルジアへと誘う”とも海外メディアで評されている。なお、予告編の映像ではデイヴィッド・ボウイの「火星の生活 / Life On Mars?」も使用されている(サウンドトラックにも収録)。

音楽に関連した話としては、3姉妹バンド=ハイムの3女、アラナ・ハイムが今作の主演のひとりを務めており、彼女にとっては今作が映画初出演にして初主演作品となった。初々しいながらも圧巻の演技を見せ、映画初主演にしてサテライト賞主演女優賞を受賞するなど、こちらも高い評価を各賞で得ている。

その映画に魅了された人は必ずその映画の世界観に浸るために聴きたくなるのがこのサウンドトラックになることは間違いない。海外では2021年末にリリースされたが、一部メディアでは”今年最高のサウンドトラックの1枚”、”まさにこれこそがサウンドトラック。映画にとってのキー・プレイヤー”等と評しているメディアもあり、要注目の映画に、要注目のサウンドトラックが登場となる。