9/2(水)発売 2nd Album『L&』オフィシャル・ライナーノーツ企画!
アルバムがお手元に届くまでにライナーノーツを楽しんでお待ちください♪
King & Prince 2nd Album『L&』オフィシャル・ライナーノーツ
01. Key of Heart(映画『弱虫ペダル』主題歌)
「心の鍵」と題された一曲目。この曲のメッセージを端的に表現するなら「夢や希望へとつながる扉の鍵は、あなたの心の中にある」といったところだろうか。ホーンやストリングスなどで豪華に彩られた演奏や、裏ノリの軽快なリズムによって支えられた心が弾むようなサウンドには、暗い気分も吹き飛ばす爽快な力がある。今作の幕開けにふさわしい、聴き手を明るく勇気付ける応援歌だ。そんな歌を最初に持ってきている点からも、このアルバムが“今を生きる人びとに寄り添う作品”であることが感じ取れる。
02. &LOVE
一曲目の勢いを引き継ぎつつも新しい一面を見せるのがこの二曲目。注目すべきは後半で複雑に絡み合うブラスセクションとドラムプレイである。両者にハンドクラップも加わり、さながらビッグバンドの様相を呈し始めたかと思えば、それを受けてさらに現代的なエレクトロサウンドをバックにメンバーが歌い始める。生音→電子音→歌声のこの華麗な連携にこそ、この曲の伝えたい幸福感が象徴されているように思う。デビュー前から楽曲を提供している坂室賢一、嵐をはじめとしたジャニーズ作品にゆかりの深い吉岡たく、多くのJ-POPのアレンジを務めてきた村田陽一など、制作陣からも“つながりの輪”を感じる一曲だ。
03. Break Away
前曲の金管楽器の響きがまだ記憶に鮮明なうちにこの曲は始まる。リズムも裏打ちでジャジーな雰囲気も漂わせているため、ある意味この序盤の三曲は一本の地続きの物語を描いているようだ。その中で特徴的なのが、サビで登場するロック然とした激しいギターの存在である。これにより、それまでよりも一段と力強く、エネルギッシュな印象を受ける。次曲が非常に強力なため、その橋渡し的楽曲としても重要な役目を果たすだろう。ジャニーズ流のポップネスを維持しながら、のちの“飛躍”へと流れるようにバトンを渡す一曲だ。
04. Mazy Night(日本テレビ系土曜ドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』主題歌)
それまでの彼らから大きなイメージチェンジを図ったのがこの5thシングル。スタジアム級の会場を揺らすような迫力のあるダイナミックなサウンドや、何かを模索しているような低めのボーカルワーク、英語を多用したリズミカルな歌詞など、楽曲的な部分でも大胆な変化が確認できる。この変化には、彼らが度々口にしている「海外進出」への意識が表れているのだろう。未来へと模索しながら奮闘する様子がこの曲の激しさに凝縮されている。
05. ナミウテココロ
前曲で高ぶった熱をしっとりとしたこの曲がクールダウン。泡のような質感の柔らかな音色や、ゆったりとしたリズム感には、夜の街並みを眺めているような落ち着いたムードがあり、ひと回り成長したオトナな彼らの姿を楽しめるはず。夢へと向かう途中にも、ふとした瞬間に感傷的になってしまうこの主人公像は、ステージに立ち続ける彼らが歌うからこそリアリティが増す。作詞作曲には若手バンドの中でも先鋭的なセンスを持ったAwesome City Clubのatagiがクレジット。未来に対する一抹の不安と孤独を抱えながら生きる人びとへ送る、極上のシティポップだ。
06. 泡の影
過ぎていく時間への切なさを歌った壮大なバラード曲。全体に渡って印象的な流麗なストリングス、一音ずつ確かめるようにじっくりと演奏されるバンドサウンド、季節感の感じ取れる繊細な日本語詞、流れるような美しいメロディー、メンバー全員の力強い歌唱……グループが成長し、その存在が大きくなっていくに連れて手放すものもきっとあるのだろう。そうしたある種の“痛み”のようなものが、この曲からはありありと伝わってくる。作詞作曲は関ジャニ∞「オモイダマ」でお馴染みの松原さらり×南田健吾コンビ。
07. ORESEN(※岸 優太プロデュース曲)
ここからは各メンバーによるプロデュース曲が続くが、王道のJ-POPを聴かせた後にこの曲を持ってくるあたりが面白い。岸優太がプロデュースしたこの曲は、90年代ユーロビートを彷彿とさせるアゲアゲチューンで、“ぴえん”や“エモい”など最近流行りの若者言葉を織り交ぜながら、ハイスピード&テンションMAXで一気に駆け抜けていく。プロデュースするメンバーの個性が表れているとはいえ、かなり突き抜けた一曲だ。しかし、完全なおちゃらけかと思っていると「経験値 上げながら 戦場へ駆けてく」とまさに今の彼らを表すかのような歌詞も登場する。こうしたギミックも巧い。
08. 生活(仮)(※髙橋 海人プロデュース曲)
若手人気バンド、サイダーガールのYurinが作詞作曲で参加した、髙橋海人プロデュースによる日常感あふれる明るい一曲。仕事で疲れても家に帰ればいつでも君が待っている、といった“身近な幸せ”の大切さを歌っている。そうした人肌の魅力を感じ取れる作品に仕上がっているのだが、それを彼らが歌うことで“親しみやすさ”が引き出されているのが重要なポイント。彼らの優しい歌い方や、変に男勝りすぎない特有の声質が、この曲のメッセージと絶妙にマッチしているのだ。歌い手としての彼らの魅力が存分に発揮された一曲である。
09. Laugh &… (※神宮寺 勇太プロデュース曲)
アルバムのちょうど折り返し地点となるこの曲は、作詞作曲に自身も参加した神宮寺勇太のプロデュース。広大な景色を想起させる幻想的なサウンドが印象的だが、歌っているのは「世界中の誰より ただ隣の君へと」という、どこまでも聴き手に寄り添うメッセージ。成長するにしたがって感じる痛みや切なさを歌ったのが「泡の影」だとすれば、それでもいつまでも君のために笑顔を届けるよ、と歌いかけるのがこの曲。聴き手のそばに歩み寄るこうした作品をちゃんと中盤に忍ばせている点にも、彼らのファン思いな姿勢が感じ取れる。
10. No Limit Tonight(※永瀬 廉プロデュース曲)
意訳すれば「今夜は限界を超えて」と題されたこの曲は、永瀬廉によるプロデュース。「チクタク…」という緊迫感のある秒針の音が、やがて前のめりな四つ打ちへと変化するイントロ。そしてパワフルなエレクトロニックサウンドへと発展していく。入れ替わり立ち替わり歌い継ぐメンバーたちは、とにかくこちらを誘惑し、ガツガツとリードする。これまでの彼らとはまた違ったアグレッシヴな表情だ。ライブで披露されれば会場はたちまち沸点へと達するだろう。「Mazy Night」と同様に、何万という規模の観客を揺らすポテンシャルを持った一曲である。
11. Focus(※平野 紫耀プロデュース曲)
平野紫耀がプロデュースしたこの曲は、ネガティブに陥りがちな日常のあれこれをポジティブに捉え直し、“今できること”にフォーカスしようという、これからの生き方についての提案の歌だ。祝祭的なイントロの大歓声や、輝くようなキラキラしたピアノ、聴き手の背中を押すような力強い手拍子……すべての音が“平凡な日常”や“ありのまま”を肯定するように鳴り響く。ある意味、一曲目の「Key of Heart」にも通じるテーマであり、アルバム全体に通底するメッセージがこの一曲に込められていると言えよう。
12. Amazing Romance
ここまで聴き手の日常に寄り添う曲が多かったが、ここへ来てジャニーズの本流とも言うべき豪華なビッグバンド調による“ファンタジー感”にあふれた作品が登場。基本的には恋愛の歌だが、主人公の思いが強すぎて、いきなり「キスしない?」などと言ってしまう。しかし、そんな行動も許せてしまうほどのチャーミングさが彼らにはあるのだ。ミュージカルのような構成の中で、メンバーが耳元でひとりずつ「愛してる」と合計10回言ってくれるという、まさに夢見心地の気分にひたれる一曲。
13. koi-wazurai(※映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』主題歌)
デビュー曲の「シンデレラガール」から一貫した、彼ららしいストレートなラブソングの4thシングル。そして歌詞に意外とパンチフレーズが多いのもポイントである。たとえば「特別でいたいくせに 普通じゃないと不安で」なんて一節をさらっとAメロで歌ってしまう余裕さや、サビでの「キミと何万回ロマンティック」の詞乗りの気持ち良さといったらなかなかのもの。フレーズの強さもさることながら、ポップスとしてのキャッチーさも兼ね揃えているという、彼らの楽曲の質の高さを再確認できる作品だ。
14. Freak out
アルバムもそろそろ終盤に入り始めた頃、この曲の力強いビートにガツンと打ちのめされる。それもそのはず、イギリスを拠点に多くのK-POPやJ-POP作品を手掛けるカイラー・ニコが作曲に参加しているのだ。それにより、近年の海外のダンスミュージックと比べてもなんら遜色ないクオリティに仕上がっている。血湧き肉躍るようなトライバルなリズムや、ラストの不敵な笑い声など、細かいところに宿る野性的なセンスに驚かされる。彼らの楽曲の射程距離をぐんと広げた一曲だ。
15. Heart & Beat
一転してこの曲はストレートなロック調。アルバムのラストスパートを飾る、彼ららしいポップで明るいパーティーチューンである。「感じるままに」や「目と目合えばぶつかっちゃおう」「弾けるリズムに合わせて騒げ!」など、歌詞は非常に解放的。歌っている彼らも心なしか活き活きとしている。リズムも乗りやすく、合いの手も入れやすい作りで、ライブで披露されれば盛り上がること間違いなし。ずっとバッキングに徹していたギターが途中で高らかに飛翔するソロ演奏も要注目。
16. 君がいる世界
初回限定盤のラストのこの曲は、全作品の中でも圧倒的に“いま”に向けて歌った一曲。優しく語りかけるような美しいメロディーや、今野均によるブラスやストリングスのみずみずしいアレンジには、普遍的なポップスの魅力が詰まっているが、なにより「画面の中の現実 ひとり取り残されて」という歌い出しから始まるリアルタイム性の強い歌詞が、この時代を生きる我々の心に染み渡る。そんな“いま”に向けられた彼らの祈りが、“君”を超え世界全体まで広がったところで、このアルバムの幕は一旦閉じられる。
17. Bounce(通常盤のみ収録)
通常盤のみ収録のこの曲は、ビヨンセやリアーナにも楽曲を提供する若手ソングライターのプリンス・チャールズが作詞作曲に参加。無駄な音の削ぎ落とされた音作りによる、洗練されたグルーヴ感に自然と身体が動き出す。こうした感触のファンク系サウンドは昨今の世界の音楽のトレンドともリンクする。レコーディングをはじめとして、ダンスレッスンやボーカルレッスンまでもアメリカでも敢行するなど、海外を視野に活動を本格化しはじめたまさにその“第一歩”にあたる作品と呼べるだろう。アンコール的な位置付けのこの曲が、今後の彼らをにわかに予感させて、アルバムは静かに終わる。
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