BIOGRAPHY
KERI HILSON / ケリー・ヒルソン
アトランタ出身、26歳。2001年ソングライター/プロデューサーとしシーンに登場後、アッシャー、プッシーキャット・ドールズ、クリス・ブラウン、メアリー・J.ブライジ、トニ・ブラクストン、チンギー、P.ディディ、ニコールらに楽曲を提供、数曲ではバック・ヴォーカルとしても参加(最近ではブリトニー・スピアーズに大復活トラック「ギミ・モア」を提供している)、自身がフィーチャリングされたティンバランドの「ザ・ウェイ・アイ・アー」は欧米で特大ヒットを記録(ティンバランドの次のシングル「スクリーム」にもニコールとともに再びフィーチャリングされている)。また08年6月にリリースされたアッシャーの全米No.1シングル「ラヴ・イン・ディス・クラブ」に出演、Nasの新曲「ヒーロー」へ大々的にフィーチャーなど錚々たる実績を既に作ってきており、その才能が遂に花開く!クリスタル・ケイにも楽曲を提供するなど、国外でも活躍している。さらにモデル並みの美貌も常にメディアは注目!まさに才色兼備という欧米に限らず、日本でも早くもR&B系メディア、クラブ・キッズ、アパレル業界などではケリーの名前はすでに浸透するなど、ケリーのスタイルは現代女性の象徴と言ってもおかしくない。
ステージの袖に立ちながら、ケリー・ヒルソンは必死でこう祈っていた。「おねがい神様、声が潰れませんように。」このステージが始まる直前まで、めまぐるしいスケジュールをこなしていた彼女。スタジオでのレコーディング、ミュージックビデオの撮影、そしてライヴパフォーマンス。48時間ぶっつづけで、睡眠はわずか4時間。それでも彼女のライヴを待つ何千人という観客の前で今、シングル「ブレイキング・ポイント」を披露しようとしてる。場所はNYブロンクス、パラダイス・シアター。「いつもは緊張なんてしないのに」、とケリーは話す。「あまりにも眠れてないから、声が心配。」深呼吸をついて、ケリーはおちつきを取り戻し、ステージに踏み出した。
群衆がケータイカメラをかざす中、丈の高いジュセッペ・ヒールとサイハイドレス(太ももまでのミニドレス)を着こなして、ケリー・ヒルソンは歌い出した。力強く、透き通る彼女の声は、繊細さと勢いある迫力が同時に滲み出ていた。その歌声に観客は見蕩れ、息を呑んだ。なかにはこう呟く者もいた。「彼女の声、ほんとステキ。」
はじめて彼女がその才能を見せつけたのは、ソングライターとしてだった。ブリトニー・スピアーズ、シアラ、メアリー・J.ブライジ、アッシャーなどにヒット曲を提供し、後に女性ヴォーカリストとしてティンバランドやたくさんのアーティスト達とタッグを組んだ。
デビューアルバム『イン・ア・パーフェクト・ワールド…』がリリースされて2年も経たぬうちに、アルバムはゴールド認定を受け、グラミー賞Best
New Artist(新人賞)とBest Rap/Sung
Collaboration(ベスト・ラップ・ソング・コラボレーション for 「ノック・ユー・ダウン
feat.カニエ・ウェスト&Ne-Yo」)でノミネート。その間も彼女の勢いは止まらず、AVONの香水フレグランス”IMARI”やビューティーラインの代表モデルとしても活躍している。いつも頭のなかで音楽が鳴ってるという彼女、現在セカンド・アルバムをまさにレコーディング中。待望のアルバムタイトルは『ノー・ボーイズ・アラウド』(Mosley
Music/Zone 4/Interscope)、とてもパーソナルな内容で、女性にパワーを与える曲が満載だという。
『ノー・ボーイズ・アラウド』(ボーイズ立入禁止)という過激なタイトルではるが、メッセージはむしろその逆だという。「男性を度外視してるわけじゃなくて、男の人を好きになる女性の自覚について、表現してる。そろそろ男の子(ボーイズ)は卒業。次はちゃんとしたオトナの男性(メンズ)と恋するの、で、それはイケナイことじゃないんだ、っていうメッセージも込めてるわ。」
実にアルバムを通して、女性へのパワフルなメッセージが所々で聞こえてくる。たとえば、ケリーならではの詩的な楽曲「ビューティフル・ミステイク」や、現実感あふれる内容で中毒性の高いトラック「ザ・ウェイ・ユー・ラヴ・ミー」(プロデュースはノリノリのクラブ・ビートでお馴染み=ポロウ・ダ・ドン)などだ。
ファースト・シングルはティンバランドプロデュースの「ブレイキング・ポイント」。ブルース感の効いた、これも女性を奮い立たせる1曲。 ロクでなしの彼氏に、別れ話を切り出すための勇気と覚悟を与えてくれる。ケリー・ヒルソン自身のプライベートな恋愛と、そして女友達の恋愛関係をまぢかで見てきた経験が、この曲のインスピレーションになったという。歌詞の「あたしの愛にも限界があるわ」というセリフで、まさに女性陣に行動をうながしている。男に振り回されるのは「もうたくさんよ」、と。
セカンド・シングルは雰囲気をガラッと変えて、遊び心満載のガール・アンセム「プリティー・ガール・ロック」。プロデュースはNe-Yoとチャック・ハーモニー。「Ne-Yoがスタジオでね、この曲かけてくれたの」と、ケリーは話す。「聴いた瞬間、気に入ったわ!女性のみんなに理解してほしいんだけど、この曲は”生意気な私”を演じてるわけじゃない。これは女性への讃歌よ。他人の言う事に振り回されない、っていう内容。よく私たちは”他人に認めてもらおう”とするけれど、誰に何と言われようと、”自分は美しいんだ”っていう自信を持つことが大切、そんな曲よ。」
Boi1da
プロデュースで、ケリー・ヒルソン作詞の「バイユー・ミュージック」は、これまた男への基準をしっかり持つことを、女性にうながしている。「ヒモ男は我慢できない」、ケリーは話す。「彼女を働かせて、彼女に身銭を切らせてる。そんな男たちに、”人に頼ってばかりいないで、しっかりしな!”っていうメッセージを込めてるわ。でもね・・・」と、ケリーは笑いながら付け加える、「このアルバムは男性をコケにしてるわけじゃない(笑)。」
痛ましいほどに美しい楽曲「オール・ザ・ボーイズ」は、ジョン・レジェンド作詞で、それを歌うケリー・ヒルソンの素晴らしいヴォーカルが聴衆のロマンティックな胸を揺さぶる。「”いま付き合ってる恋人と出逢って、真実の愛を初めて知った”、っていう女性の素直な気持ちを歌ってるわ」と、ケリーは話す。「これは個人的にも大好きな曲よ。」
『ノー・ボーイズ・アラウド』は、従来のようにコラボレーションで固められたアルバムではない。むしろ、ケリー・ヒルソン自身の稀有なソングライティングの才能と見事なヴォーカルが輝く”ショーケース”のような一枚になっている。「女性にパワーを与える音楽をしたい」と、ケリーは言う。「ニューエイジの”ガールパワー”ね。」とは言うものの、男性にも聴いてほしいという。「たまたま私は女性の観点から曲を書いてる。で、それを男性にも聴いてもらうことで、女の子の気持ちや考えてることが、もっと身近に感じられるんじゃないかしら。」そしてそのメッセージが素敵な音楽に乗せて伝えられるとき、誰もが彼女の歌声に心を揺さぶられるだろう。