Biography
Kandace Springs / キャンディス・スプリングス
ナッシュビル出身、現在29歳のシンガー・ソングライター/ピアニスト。
ビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルド、ニーナ・シモン、ロバータ・フラック、ノラ・ジョーンズなどに影響を受ける。
キャンディスが最も音楽的に影響を受けたのは、彼女の父親でナッシュビルでは有名なセッション・シンガーのスキャット・スプリングスからだった。彼のお陰で、キャンディスは音楽に囲まれて育ち、彼女が10歳の時にピアノ・レッスンを受けるように進めたのも彼だった。しかし、少女時代のキャンディスは、同じようにビジュアル・アートや、意外にも自動車に興味をしめした。「父からマッチ箱で作った車をもらい、母からはバービー人形をもらったわ。バービーには髭をかいて、それから一度も遊ぶことはなかったけど、今でもマッチ箱の車は持っているのよ。」と彼女は言う。(今でも彼女は車を愛しており、コレクションすると同時に、手を加えて、売りに出すこともあるという。)
そんな彼女の中で、2002年にブルーノートから発売されたノラ・ジョーンズのデビュー・アルバム『ノラ・ジョーンズ(原題:Come Away With Me)』を聴いたときに、何かが動いた。「アルバムの最後に収録されている「ザ・ニアネス・オヴ・ユー」という曲にインスパイアされて、ピアノと歌を勉強したいって思ったの。とてもソウルフルで、無駄がなくて、心を動かされたわ。その時に、私がやりたいことはこれだ!ってわかったの。」
キャンディスはナッシュビルで活動を始め、そのうち、初期に制作したデモがエヴァン・ロジャースとカール・スターケンの耳に止まった。彼らはシャキーラ、クリスティーナ・アギレラ、ケリー・クラークソンなどに楽曲を提供してきた大ヒット・プロダクション・チームで、特に、まだティーネイジャーだった頃のリアーナを発掘し、自らのプロダクション会社であるSRPと契約を結んだことで知られている。エヴァンはナッシュビルに飛び、キャンディスに契約のオファーをした。まだ17歳だった彼女は、家族とも相談し、レコーディング・アーティストとしてキャリアをスタートするにはまだ早いという結論を出し、ナッシュビルのダウンタウンにあるホテルの駐車場スタッフとして働き始め、夜にはラウンジでピアノを演奏するという生活を始めた。
数年後、キャンディスは自動車のデザイン学校に行きたいと母に伝えたところ、彼女からエヴァンとカールに連絡してみたらどうかとアドバイスを受けた。しかし、彼女は連絡をすることはなく、ニューヨークに拠点を移し、新曲とデモのレコーディングに真剣に取り組むようになった。そんな中、ロサンゼルスのキャピトル・レコーズ・タワーで行われたブルーノートの社長であるドン・ウォズ主催のオーディションに参加する機会が巡ってきた。そこで披露したボニー・レイットの「アイ・キャント・メイク・ユー・ラヴ・ミー」(邦題:「夕映えの恋人たち」)のカヴァーで、キャンディスはドンの心を掴んだ。(たまたまだが、同楽曲のオリジナル・ヴァージョンのプロデュースを手掛けたのもドンだった。)見事にBlue Noteとの契約を結ぶこととなり、2014年にEP「Kandace Springs」でデビュー。
デビュー後、レターマン、キンメル・アンド・ファロンなどの人気テレビ番組やアフロパンクやボナルーなど大きなフェスティバルにも出演した。
また、キャンディスが歌ったサム・スミス「ステイ・ウィズ・ミー」のカヴァーを聴いたプリンスは、『パープル・レイン』発売30周年を記念して2014年に開催されたペイズリー・パークでのライヴに彼女を招待し、ステージで共演、その後彼女の音楽の師となった。また、ダリル・ホールも早くからキャンディスの才能を見出し、彼のテレビ番組Live from Daryl’s House(ライヴ・フロム・ダリルズ・ハウス)にゲストとして招くなどヴェテラン・ミュージシャンからも多くの熱い支持を得られていった。
2016年7月1日にデビュー・アルバム『ソウル・アイズ』をリリース。
既に成熟したアーティスティックな歌声が、ソウルとポップの両方をおさえつつも、ジャズやナッシュビル育ちという要素も織り交ぜられた充実の内容となっていた。音楽サイトMOJO は「無駄を一切省きつつもエレガントなアレンジがきいた五感に訴えかけてくるヴォーカル」とアルバムを絶賛。ザ・ガーディアン紙も「彼女には生まれ持った才能がある。それは自然の流れの中で、昔ながらのソウル・サウンドを生み出す力だ」とレビューに掲載している。人気音楽サイトOkayplayerは「キャンディスはパワーを持つヴォーカリストとして覚えておきたい存在だ」とし、Afropunkも「多才で活気のあるアーティスト」と評している。
キャンディスがこれからキャリアを更に築いていく中で、もっと沢山の心を掴んでいくことは間違いないだろう。「私は、ジャズやソウルを活気のある音楽として生かし続けている若い世代のアーティストとして名を残したいの。私は、ジャズとソウルのとてもリアルなところが大好きなの。」と彼女は言う。