BIOGRAPHY
Juan Diego Flórez フアン・ディエゴ・フローレス (テノール)
“その正確さに魅了されながら、音の美しさに圧倒されるだろう。フローレスは話すように自然に歌うことができる”
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フアン・ディエゴ・フローレスは1973年に生まれ、故郷のリマとフィラデルフィアのカーティス音楽院で音楽を学んできた。1996年、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティバルで歌った“マティルデ・ディ・シャブラン”が彼の初オペラ・デビュー作品となり、情感豊かな歌声と素晴らしい敏しょう性は彼を一夜にしてスターとした。そして同年、若干23歳でスカラ座にもデビュー。それ以降、フローレスはメトロポリタン、コヴェント・ガーデン、ウィーン国立歌劇場、パリ・オペラ座、バイエルン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、マドリード王立劇場、バルセロナのリセウ劇場、シカゴのリリック・オペラやザルツブルグ音楽祭など世界中の有名なオペラ・ハウスで、ロベルト・アバド、リッカルド・シャイー、チョン・ミョンフン、グスターボ・ドゥダメル、サー・ジョン・エリオット・ガーディナー、ダニエレ・ガッティ、ジェイムス・レヴァイン、ヘスス・ロペス=コボス、サー・ネヴィル・マリナー、リッカルド・ムーティ、アントニオ・パッパーノ、カルロ・リッジ、クリストフ・ルセやマルチェロ・ヴィオッティなど著名な指揮者の元で公演を行っている。
現代のテノール・ベルカントとしてフローレスはロッシーニ(セビリャの理髪師、シンデレラ、アルジェのイタリア女、セミラーミデ、オテロ、オリー伯爵、ランスへの旅、湖上の美人、ブルスキーノ氏)やドニゼッティ(ドン・パスクァーレ、愛の媚薬、連隊の娘、マリア・ストゥアルダ、エリザベッタ、グラナダのアラホール)、ベッリーニ(夢遊病の娘、清教徒)やヴェルディ(リゴレット、ファルスタッフ)、プッチーニ(ジャンニ・スキッキ)、グルック(アルミード)、モーツァルト(ミトリダーテ)、ニーノ・ロータ(フィレンツェの麦藁帽子)などのオペラ作品で主役テノールを歌い、高い評価を得てきた。2007年にはドニゼッティ作《連隊の娘》のアリア「友よ今日は何と楽しい日」でアンコールも含め9回もハイCで歌い、スカラ座75年の歴史を覆した。ニューヨークのメトロポリタンでも同じような偉業を2008年に成し遂げた。フローレスはロッシーニの“スターバト・マーテル”などを含んだ作品でのリサイタルやコンサートアーティストとしても幅広く活動している。
2009年に注目されたパフォーマンスにはサンフランシスコでの《連隊の娘》、コヴェント・ガーデンとロサンゼルスでの《セビリャの理髪師》、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティバルでの“ゼルミーラ”ほか、欧州各国やザルツブルグ音楽祭でのリサイタルがある。2010年にはメトロポリタン、コヴェント・ガーデンとバルセロナで《連隊の娘》、ウィーン国立歌劇場で“夢遊病の女”、また同じくウィーン国立歌劇場とチューリッヒ・オペラでは“愛の媚薬”、ミラノ・スカラ座では《セビリャの理髪師》、パリ・オペラで“湖上の美人”の公演が予定されている。そのほかパリ、ベルリン、ロンドン、ウィーンとミュンヘンでの演奏会も開催される。
フアン・ディエゴ・フローレスは2001年よりデッカと独占的に契約しており、数多くのソロ・アルバムやオペラ作品をCDやDVDでリリースし、それらの多くはドイツのエコー賞やカンヌ・クラシカル・アワードなども受賞している。最近の作品ではチェチーリア・バルトリとのベッリーニ:歌劇《夢遊病の女》(2010年度日本レコード・アカデミー賞大賞受賞作品)、アイノア・ガルメンディアとのグルック:歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》、2008年度ディアパソン金賞とル・モンド紙別冊賞を受賞し2010年度グラミー賞のベスト・クラシカル・ヴォーカル・パフォーマンスにノミネートされた「人知れぬ涙~究極のベル・カント」がある。そしてジョイス・ディドナートとのロッシーニ:歌劇《チェネレントラ》のDVDもリリースしている。このペルー人テノール歌手は他にも国際的な賞を数多く受賞し、ペルー政府からもっとも高い栄誉賞を授与されている。