企画・監修・選曲・解説 　金澤 寿和 ／ Toshikazu Kanazawa

10年以上前から洋楽AORを中心に展開してきたLight Mellowシリーズですが、今回は和モノ、特に“和製AOR”のニュアンスを持つ70〜80年代のシティ・ポップスをテーマに、この春から各レコード会社ごとのレーベル・コンピレーションを組んできました。いわゆるニュー・ミュージック系の楽曲の中から、ソフィスティケイトされた洋楽センスの名曲ばかりを選りすぐってきたのです。従来の編集盤は著名アーティストのヒット曲や代表曲で構成されるのが常ですが、このシリーズの選曲基準は、如何にライト＆メロウな都会的センスを発揮しているか。その編集盤の数は、間もなく10枚を越える予定です。

そしてそのネクスト・ステップとして、新たにアーティスト・シリーズをスタートさせることになりました。自ずと“Light Mellow”な楽曲が多い、キャリア豊富なアーティストが対象となりますが、そのラインアップにはビックリするような名前もあります。例えば、皆さんが歌謡曲の歌手、フォーク系の自作自演シンガーと思っていても、実際はアルバムやシングルＢ面などで洋楽ポップス的な曲を数多く歌っている、そういうケースは少なくないのです。そんな楽曲が和モノを廻すクラブDJたちによって発掘され、フロアを賑わせたり、若い世代に再評価されたりしている。エルダー層のリスナーや昔からの固定ファンには懐メロ的に映っても、当時を知らない世代にはすべてが等価値の新曲であり、ごく自然に今の感覚とリンクするサウンドなのです。そうした各アーティストの隠れた名曲、今に通じる好曲をコンパイルするのが、このLight Mellowアーティスト・シリーズです。