自身最大規模のジャパンツアーを行った、ジョナス・ブルー、東京ガーデンシアターでの初日の公演をレポート
約1年ぶりにジョナス・ブルーが来日。東京と大阪で公演を行った。これまでにも幾度となく来日し、単独やフェス、クラブなどさまざまなステージに立ってきた彼だが、今回は単独公演としてキャリア史上最大規模。しかも彼の楽曲にフィーチャリングされているジャック&ジャック、JPクーパー、ウィリアム・シンジもゲストで参加する。日本独自企画のニューアルバム『トゥギャザー』がリリースされたばかりで、都内ではポップアップ・イベントも開催。ファンにとってはジョナス・ブルー祭りといった様相だ。
年齢、性別、服装など、その幅広さにいつも驚かされるジョナス・ブルーのファン層だが、この日の東京公演の東京ガーデンシアターにも老若男女が勢揃い。なかには小学生ぐらいの少年や、肩車をしてもらっている幼い子どもの姿も見受けられた。
ライブは19時半ピッタリにスタート。BABY-TとTJOが事前にしっかりと温めてくれた会場が暗転すると、いよいよジョナス・ブルーの登場だ。勇ましいイントロと、左右に映し出されたJONAS BLUEの大きなロゴを背景に現れると、「Wow, Thank you so much. ありがとうございます!」と日本語で挨拶。BE:FIRSTの歌ったバージョンでもお馴染みの「ドント・ウェイク・ミー・アップ feat. ホワイ・ドント・ウィー」で始まり、サム・フェルトとのプロジェクトであるエンドレス・サマーの「クライング・オン・ザ・ダンスフロア feat. ヴァイオレット・デイズ」、コーラスで大合唱が沸き起こった「バイ・ユア・サイド feat. レイ」、アリアナ・グランデの「イエス・アンド?(Jonas Blue Remix)」などが、次々と繋がれていく。さまざまなエフェクトを掛けて、かなりの攻めモード。ピンクやオレンジ、ブルーなど鮮やかな色調の抽象的なビジュアル映像や、客席に向かってさまざまな形で投下されるライティングの効果も相まって、現実離れした非日常な別世界へと誘ってくれる。
お待ちかねのスペシャル・ゲストは、まずはJPクーパーから。その後に続いたゲストも同様だが、完全なる生歌で「パーフェクト・ストレンジャーズ」を歌ってくれた。歌い手の息遣いまでが、手に取るように伝わってくる。その高揚感は「リチュアル」(with ティエスト&リタ・オラ)へと引き継がれ、更にカルヴィン・ハリスの「フィール・ソー・クロース」がマッシュアップされてダメ押し。会場の盛り上がりは最高潮に達し、ジョナスも思わず日本語で「サイコー!」と叫んだ瞬間だった。
その後も、次々とゲストが登場。多くのファンに愛される「ママ」を熱唱したウィリアム・シンジは、想像以上に野太い、パワフルな歌声で圧倒した。再び登場したJPクーパーは、「日本版アルバム『トゥギャザー』のために特別にリリースした曲です」とのジョナスの紹介に続けて「ユー・アー・ザ・ワン」を披露。また事前予告はなかったものの、サプライズでドイツ人歌手のゾーイ・ウィーズが姿を現すと、5月にリリース予定の新曲をいち早く披露した。
終盤はレーザー光線が会場を包み込んだ「ヒア・ミー・セイ」(with レオン)、TWICEの「MOONLIGHT SUNRISE (Jonas Blue Remix)」など変化球を投げ込みつつ、エンドレス・サマー名義の「レスト・オブ・マイ・ライフ」(with セイディー・ローズ・ヴァン)、「パスト・ライフ」(with フェリックス・ジェーン)、といった比較的新しい最新アルバムからのナンバーを次々と投下。そしてアンコールでは、勿論ジャック&ジャックが登場して「ライズ」を歌ってくれた。ジョナスは「この曲は僕自身にとってスペシャルであると同時に、みんなにとっても同様ではないかと思います。日本での僕のブレイクのきっかけを作ってくれた曲です」と語り、日の丸の旗を振りながらジャック&ジャックと共演。未だ少年ぽさの残る2人が歌って踊り、コール&レスポンスで盛り上げるというラストに相応しい大団円で締め括られた。
グレイテストヒッツ的な構成のライブは、ポップ界とクラブ界の橋渡しを果たしてきたジョナス・ブルーというアーティストのキャリアの集大成と言えるもの。全てのファンが足を運んで良かったと思えるライブであったと同時に、本人も大いに楽しんでいたようだった。家族も来日し、ライブの途中で何度もオーディエンスと一緒にセルフィーを撮ったり、「最高に素晴らしい夜でした。今夜のことは決して忘れません」と最後にコメント。彼自身にとっても大きな節目となるライブだったに違いない。
(村上ひさし)