キャリア初となるソロ・アルバムをECMからリリース!
半世紀以上にわたるキャリアを持ち、マイルス・デイヴィスやジョー・ヘンダーソンといったジャズの巨匠たちとのコラボレーションや、ジャンルを超えた多くのリーダー作で知られるジョン・スコフィールドが、初となるソロ・アルバムをECMからリリースすることが決定、「Honest I Do」が先行配信されている。
ジョン・スコフィールドのリーダー作としてのECM録音は、2020年の『スワロウ・テイルズ』に続き、本作が2枚目となる。
『ジョン・スコフィールド』John Scofield
2022年5月6日(金)リリース
SHMCD 税込:¥2,860 UCCE-1192
<収録曲>
1. コーラル/ Coral (Keith Jarrett)
2. オーネスト・アイ・ドゥ/ Honest I Do (John Scofield)
3. イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー/ It Could Happen You (Jimmy Van Heusen/Johnny Burke)
4. ダニー・ボーイ/ Danny Boy(Traditional)
5. エルダー・ダンス/ Elder Dance(John Scofield)
6. ミセス・スコフィールズ・ワルツ/ Mrs. Scofield Waltz (John Scofield)
7. ジャンコ・パートナー/ Junco Partner (Traditional)
8. ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー/ There Will Never Be Another You (Harry Warren/Mack Gordon)
9. マイ・オールド・フレイム/ My Old Flame (Arthur Johnston/Sam Coslow)
10. ノット・フェイド・アウェイ/ Not Fade Away (Buddy Holly/Norman Petty)
11. シンス・ユー・アスクト/ Since You Asked (John Scofield)
12.トランス・ドゥ・ジュール/ Trance De Jour (John Scofield)
13. ユー・ウィン・アゲイン/ You Win Again (Hank Williams)
2021年8月、ニューヨーク、カトナ、トップ・ストーリー・スタジオにて録音
数十年の経験を生かし、今日まで横断してきたスタイルとイディオムを通じ、親密に彼の歩んできた道を描いたような作品。ループ・マシンを使用し自身の味わい深いコードとリズムの伴奏に合わせてソロを演奏している。
「家で一人で演奏することで身についた繊細さがあると思う。」(ボストン・ヘラルド紙との対談)
「私はスラム・バンドというようなバンドと演奏することに慣れきってしまっていて、そしてそこはある種の音楽性があります。それがなくなってしまって、弦楽器の美しさをピンポイントで表現するような、より繊細なアプローチに取って代わられたのです。ソロで演奏するときは、その場で小さなギター・ループを作るのですが、それはまるで他の人と一緒に演奏しているみたいなのです。」
セルフ・タイトルのアルバムでは珍しいことではないが、『ジョン・スコフィールド』というアルバム名を選んだことには深い意味がある。過去を深く掘り下げ、自身のルーツや青春時代のヒーローまで遡るからだ。その結果、彼を形成した音楽と、自身が影響を与え、鍛え続けてきた音楽を結びつけ、バランスのとれた徹底したミュージシャン像ができあがった。
「子供の頃、ギターはロックンロールやポピュラー音楽の楽器で、それに興味があったのです。」
バディ・ホリーの「Not Fade Away」を難なく弾きこなし、ホリーがスコフィールドの誕生から6年後に書いたヒット曲をエッジーかつレイドバックした演奏で表現する。さらに、スコフィールドがまだ1歳だった1952年にリリースされたハンク・ウィリアムズの「You Win Again」でさらに時代を遡る。
しかし、スコフィールドが長年にわたって最も重視してきたのは、ジャズの伝統に対する深いコミットメントであり、ここでは数々のスタンダードを独自の解釈で演奏している。本作のライナーノーツでは、ケニー・ドーハムの「It Could Happen to You」がお気に入りであることを明かし、各曲に対する彼のコメントも掲載されている。スコフィールド自身のヴァージョンは、途中の軽快なキー・チェンジが印象的なスウィング感のある曲だ。また、ジェリー・マリガンとチェット・ベイカーのバックで演奏した「There Will Never Be Another You」では、初めてレコーディングに参加したときのことを回想し、軽快でコンパクトな冒険を披露している。アーサー・ジョンストンとサム・コスロウが作曲した 「My Old Flame」は特にミニマルなテイクで、ジョンはこの曲でループ・マシンを止めている。
スコフィールドはジャズ・スタンダードと同じように、時代を超えて歌い継がれるような曲調の自作曲を、多くのアルバムに収録してきた。
「私は作曲をするとき、アイデアについて考えたことはありません。インストゥルメンタル音楽は脳の別の場所に存在し、言語や視覚で説明できるようなアイデアではありません。音楽はそれ自身の場所に存在するのです。」
彼自身の作曲した楽曲群は、このアルバムのハイライトの一つである。1991年に作曲・録音した「Honest I Do」は、実験的なギターの音色でソウルフルなバラードになっている。スコフィールド夫人がタイトルを付けたという1990年にジョー・ロヴァーノと録音した「Since You Asked」は、ギタリストの言葉通り「作曲というよりフィーリング」「60年代ジャズ・ア・ラ・コルトレーンのヴァージョン」であり、彼のブルース「エルダー・ダンス」と同じ高いレベルのエネルギーを保っている。
トラッドの「Danny Boy」「Junco Partner」とともに、キース・ジャレット「Coral」の心にしみる、やや斜に構えた解釈を披露するスコフィールドのヴァージョンでは、最後の最後までこの曲のメインテーマを紹介しない。2021年8月にニューヨークのカトナで録音された、この優雅なソロの冒険を完成させている。
ジョン・スコフィールドがこれまでにECMに参加した作品には、マーク・ジョンソンのグループ、ベース・ディザイアーズのアルバム2枚(1985、1987)があり、ギタリストはビル・フリゼールとフロントラインを分担。
マーク・ジョンソンの3枚目『Shades of Jade』(2004)では、同僚だったジョー・ロヴァーノと一緒に演奏を聴くことができる。また、2枚組のライブ作品『Saudades』(2004)では、トリオ・ビヨンドのメンバーとして、ジャック・デジョネット、ラリー・ゴールディングスとともに、トニー・ウィリアムズの『Lifetime』のソングブックを再確認している。