実験的なポップスとZ世代的なファンとの関わり方を魅せたジェレミー・ザッカー、3年ぶりの来日公演のライヴレポートと最新写真到着!
巧みなサウンドメイキングと聴き手の琴線に触れるリリックライターとしてインディ・ポップシーンや同世代を中心に世界中にファンベースを持つ米ニュージャージー州出身のシンガー・ソングライター、ジェレミー・ザッカーが約3年ぶりとなる来日公演を敢行。2度目となる今回の来日公演は前回行った東京、さらに公演地に大阪も加えた形でのジャパンツアーの開催。そんな同ツアーの東京公演のライヴレポートが到着した。
バンドメンバー2人(うち1人は実兄)と共にステージに登場したジェレミーはデビュー・アルバム『ラヴ・イズ・ノット・ダイイング』収録の「we’re fucked, it’s fine」でオープニングを飾る。ベッドルームから始まったサウンドメイキングを彷彿させる優しさに満ちたジェレミーらしいライヴスタートとなった。来日公演では、昨年発表のセカンド・アルバム『クラッシャー』を中心に先に述べたデビュー・アルバム収録曲や現在配信中のベニーとの最新シングル「I’m So Happy」などを披露し、ジェレミー・ザッカーの新旧問わない意欲作品の数々が余すことなく披露された。
何よりもパフォーマンスにおいて印象的だったのは、ソフトな曲調の楽曲たちもライヴアレンジによりロックバンドさながらの演出に昇華されていたことであろう。これを助長するジェレミーのステージ上からオーディエンスを盛り上げる激しい身振りやシャウト、絶妙なライティング演出など、あらゆる要素がアルバム音源からは想像できないような力強い空間を創り上げ、最新アルバム『クラッシャー』を織り成すポストパンク、テクノ、ハウスミュージック由来の世界観が見事に実現。「MORE NOISE !!!!」と題されたツアー名称に相応しいステージであった。
また、「気取らない親しみやすさ」がファンから愛される要素の1つであるジェレミーだが、彼のキュートさを感じる場面が多々見受けられるMCも触れずにはいられない。オープニング曲でステージに登場したジェレミーはファンから貰った猫耳付きニット帽を被った姿でステージに上がり、開始直後から会場中のファンの心を射止めた。また、観客からのリクエストで携帯電話を受け取り、アメリカを中心に人気急上昇中の写真共有アプリBeRealに投稿するための自撮り写真を合計で3人分撮影し、ファンからの要望でバンドメンバーと並び、集合写真撮影タイムも設けた。さらに、ここ日本でも大人気の曲「comethru」を披露した際は終始シンガロングが続いたが、最後の歌詞を歌う前にポーズしていたジェレミーを待てずに楽曲を歌い終えたファンに対し、「まだ僕が歌い終えてないよ!(笑)」と友達に話すように気さくに笑いかけ、最後の歌詞を歌い終えて楽曲を終えるなど、挙げればキリがないほどにファンとの気さくな関係性を感じられる瞬間が散りばめられた空間に。ファンとの距離感が非常に近いZ世代シンガーらしいステージプレゼンスを見せてくれた。
そして、ライヴ中に未発表曲「INTERNET CRUSH」と「CINDY」の2曲もサプライズ披露。「CINDY」は未発表の楽曲ということで、オーディエンスに歌詞を教えながら歌う場面もあり、微笑ましい気持ちにさせた。こうして精力的な創作活動をしていることが伺える側面も見せてくれたジェレミー・ザッカーの2度目となる来日公演は着実にレベルアップしているライヴ・パフォーマンスのクオリティ、そしてオーディエンスとの“Z世代的な”友人のようなコミュニケーションの取り方など魅力満載の90分で無事終了。現在も意欲的に楽曲制作中のジェレミーの今後の活動が大いに楽しみである。
©Sotaro Goto
©Sotaro Goto
©Sotaro Goto
©Sotaro Goto