BIOGRAPHY
JAMES / ジェイムス
70年代後半に興ったパンクとニュー・ウェイヴは、まだ若かったジェイムスに”音楽が持つ可能性は人生の力だ”という思いを抱かせた。そしてパティ・スミス『ホーセス』、ジョイ・ディヴィジョン、ザ・フォールからインスピレーションを受けたジェイムスは、地元のManchester
Musicians
Collectiveを通じてさまざまなバンドのサポート・アクトとしてライヴをやるようになった。初期のライヴは、即興演奏やマルチ奏者としてのスキルでもっているようなものだったが、やがてジェイムスのライヴは最も人々の話題に上るところとなり、マンチェスターの音楽シーンの中で唯一無二のバンドとなった。多くのレーベルからアプローチを受けたが、一番熱心だったトニー・ウィルソンとロブ・グレットン率いるFactoryレーベルとサインし、83年11月にデビュー・シングルをリリースした。すぐにプレスの間で評判が広がり、2ndシングル「Hymn
From A
Village」が続いた。この曲はジェイムスのクラシック・ヒットのひとつであり、モリッシーをして”ジェイムスは世界最高のバンドだ”と言わしめ、次の年、ザ・スミスのツアーのサポート・アクトに招かれた。
Factoryを離れ、アメリカのSireレーベルとサインし、86年夏にデビュー・アルバム『スタッター』(プロデュース:レニー・ケイ)、88年に2ndアルバム『ストリップ・マイン』をリリースしたが、一時は引退も考えたというほどレーベルとの関係がうまくいかなかった。だが、ちょうどその頃、80年代が終わり90年代が始まる頃というのは、マンチェスターが盛り上がってきた時期であった。ジェイムスのライヴは次第にそれ自体がひとつの”イベント”となり、”マンチェスターのHottest
Ticket”とまで言われるようになった。”マッドチェスター・シーン”の中心であったハッピー・マンデーズやインスパイラル・カーペッツなどがジェイムスのサポート・アクトを務めていた。
89年春には自身のレーベルからライヴ・アルバム『One Man
Clapping』をリリース、インディ・チャートで初登場No.1を記録。続くFontanaからの新スタジオ・アルバム『ゴールド・マザー』はUKアルバム・チャートNo.2。ジェイムスはターニング・ポイントを迎えた。「カム・ホーム」「ハウ・ワズ・イット・フォー・ユー」などのヒット・シングルが生まれ、マンチェスターのアリーナ・コンサート会場G-MEX
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daysをソールド・アウト(この時のライヴ映像は翌年ビデオで発売され、UKビデオ・チャートでNo.1を獲得)するなど、成功の度合いがどんどんレベル・アップしていった。91年1月にはマンチェスターのピカデリー・ホテルの屋上で突然ギグを行い、約5,000人のファンが集まってシティ・センターをブロックしてしまったという、音楽業界の語り草も作った。そして90年3月にリリースしたシングル「シット・ダウン」はUKシングル・チャートNo.2を記録。このロック・アンセムは、ライヴで演奏するとオーディエンスが本当に座り込んでしまうほどの人気の曲だ。92年7月4日にはAlton
Towersで30,000人のオーディエンスを前に演奏、アルバム『セヴン』リリース、初のUSツアーが続いた。秋にはニール・ヤングのツアーのサポート・アクトを務めたが、そこで演奏されたオーガニックなアコースティック・サウンドは、ブライアン・イーノと共に6週間で48曲をレコーディングしたという次のアルバム『サイムタイムス(Laid)』に反映されることになる。このレコーディングからは、より実験的なアプローチをとった曲を集めたアルバム『WAH
WAH』も生まれている。(レディオヘッドの『キッドA』&『アムジーニアック』と同じ成り立ちですね。)『サイムタイムス(Laid)』からの1stシングル「サムタイムス」はUKシングル・チャートNo.3となり、UKだけでなくアメリカでの評価も高まった。アメリカではヘッドライナー・ツアーを行い、ウッドストック2にも出演した。当時”グランジ”一色だったアメリカで、UKのジェイムスがここまで支持を得たのは快挙である。
この後、「ツイン・ピークス」の作曲家アンジェロ・バダラメンティとのコラボレーション・アルバム『ブース&ザ・バッド・エンジェル』をリリースしたり(96)、経済的な危機により再び引退の危機に瀕したりしたが、97年には『ウィップラッシュ』を発表、1stシングル「シーズ・ア・スター」はTop
10ヒットとなった。UKではレディング・フェスティヴァルに、アメリカではKORNやオービタルと共にロラパルーザ・ツアーに出演した。98年には『ベスト・オブ・ジェイムス』リリース。ジェイムス初のUK
No.1とダブル・プラチナム・アルバムを獲得、UKアリーナ・ツアーをソールド・アウトし、名実ともにUK
No.1バンドとなった。99年秋には当時ジェイムスのキャリアで最高作といわれた『ミリオネアーズ』をリリース。12月にはUKアリーナ・ツアーをソールド・アウト。2000年冬にもUKツアーを行い、今作『プリーズド・トゥ・ミート・ユー』に収録される曲が披露されていった。
ザ・スミスを始め地元マンチェスターのバンドから、ブリット・ポップ期を経てオアシスのノエル・ギャラガーに至るまで、ジェイムスはさまざまなアーティストからリスペクトを受けている。ファンからの支持も厚い。デビューから18年間、イギリスの音楽シーンにおけるジェイムスの存在は重いのだ。
なお、ジェイムスは、次の7人のメンバーで構成されている。
ティム・ブース Tim Booth (vo)
ジム・グレニー Jim Glennie (b)
ソール・デイヴィス Saul Davies (g, violin, backing
vo)
マーク・ハンター Mark Hunter (key)
デヴィッド・ベイントン・パワー David Baynton-Power (ds)
エイドリアン・オクサール Adrian Oxaal (g)
マイケル・クラス Michael Kulas (g, backing vo)