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U2 ロンドン シークレット・ルーフトップ・ライヴ レポート

2011.03.10 LIVE

  Special
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U2 AT BBC 27 FEBRUARY 2009

約5年ぶりのU2新作アルバム『ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン』のリリースにむけ、2月27日金曜日、U2がロンドンのBBCラジオ本部を占領した!
とはちょっとオーバーかもしれないが、この日1日BBCラジオはU2色1色に塗り込められた。午前朝一番でロンドンの中心部リージェント・ストリートにあ るBBCラジオのビルに到着したボノ、エッジ、アダムにラリーの4人。まずラジオ1のジョー・ワイリー・ショウに出演。短いインタビューを受けたあと、幸 運な400人のファンの前でスタジオ・ライブを行なった。ここでは「ゲット・オン・ユア・ブーツ」「ビューティフル・デイ」「ブリーズ」の3曲を披露。初 めて新作からの曲が観客の前で、生で演奏された。

そのほか彼らがこの日出演したのが、ゼーン・ロウ・ショー、ラジオ5ライブのサイモン・メヨ・ショウ(午後1時~4時)、そしてラジオ 2のクリス・エヴァンス・ショウ(午後5時~7時)。どのショウでも簡単なインタビューをうけつつ新作をオン・エアした。これに加えBBCテレビの文化娯 楽番組では、ダブリンで取材した彼らの特番も夜放送されU2づくし。しかしなんといってもこの日の大目玉は、クリス・エヴァンス・ショウ出演中にやった、 BBCラジオ・ビル屋上での特別ライブだろう。

10階建てのBBCのビル6階正面部分、時計台の脇に弧を描くような形の小さなバルコニーがあるのだが、そこに機材を設置、4人が階下 地上に詰め掛けた観衆に向かって演奏するという設定。当日に密かな情報が流れただけの極秘ライブだったが、噂を聞きかけつけた人々で序所に歩道が一杯に なっていった。時計の針が6時半を回るころ交通整理をしていた警察が、BBCラジオ・ビル前から100メートルくらいの区間ロープをはり車道を一事的に閉 鎖すると、歩道から車道へと一気に人々がなだれ込み、その場は野外ミニ・フェスティバルのような様相を呈した。

すっかり日が暮れた6時半を少しまわった頃に、クリス・エヴァンスの「レディース&ジェントルマン、ボーイズ&ガールズ」で始 まるアナウンスが入ると、地上の人々から歓声がわき4人がバルコニーに姿を表した。”ハロー・ロンドン!”とボノが挨拶、1曲目「ゲット・オン・ユア・ ブーツ」が始まる。半そでのチェックのシャツに帽子姿のエッジ以外他の3人は革ジャンやマフラーなどで冬の夜の冷え込み防備のスタイルで登場。ときにはバ ルコニーの鉄の手すりからぶら下がるようなポーズをとり、リージェント・ストリート!と掛け声を挿入しながらボノは熱演した。”長年サポートしてくれてあ りがとう”とファンにお礼。”まだまだ僕らこれから長く続けていくよ”と現役バンドとしての息込みを高らかに宣言した。

2曲目はこれまた新作からの「マグニフィセント」。ビル6階分の距離のある地上の観衆に向かい!掛け声をかけならパフォーマンスするボ ノは、スタジアム・バンドの貫禄とゆとりを感じさせた。この日2月27日が新曲披露の日であるという点、そしてBBCへの感謝の意を何度も繰り返し表すこ とも忘れなかった。

3曲目は屋上ライブにはなぜかぴったりの「ヴァーティゴ」、”何故この曲を書いたんだろうね・・・”とコメント。再び上半身を手すりか らぶら下げて歌うボノ。そんな彼にはヴァーテゴなんて言葉は通用しないようだ。そしてこの後、最後は「ビューティフル・デイ」でしめくくられた。

正確な数はわからないが、大体5000人の人が、この日の野外ライブに集まったといわれている。30歳から40歳前後のファンが中心な ものの、中には家族連れ、そこに通りかかった通勤者や観光客も加わり大混乱となった。しかし雰囲気はスタジアム・コンサートにも似た、ハッピーでリラック スしたもの。ロンドンの中心地で交通量は多いから、警察の厳重な警備と交通整理によって30分ほど目抜き通りを閉鎖しての、さすが現存する世界最大級のバ ンドU2ならではの、(計画的な?)ゲリラ・イベントだったと思う。大げさに人騒がせなところがいかにもボノエスク!!!観衆にもBBCにもロンドン警察 にも感謝の言葉を浴びせつつの心あたたまる事件と言えよう。

屋上ライブと言えば、すぐに思い浮かぶのが、1969年ザ・ビートルズがロンドンのサヴィル・ロウにあったアップル・レコードの屋上で やったライブ。これが伝説となり、以後様々なバンドが似たようなライブをいろいろな所でやっているが、U2ほどこれがもっともらしく様になるバンドもいな いだろう。何もかも200%全力投球で頑張るU2。オバマ大統領のホワイトハウス入り記念のライブ、グラミー出演、イギリスのブリッツ出演、そしてこの BBCイベントを行なったあと、アメリカでグッド・モーニング・アメリカやレターマン・ショウにも出演。新譜を引っさげてのU2活動は続く。

レポート:高野裕子