間もなく待望の3rdアルバム『デイ&エイジ』をリリースするザ・キラーズが、彼らの才能にイチ早く目をつけた英国でさまざまなスペシャル・ギグを
行ない、何度目かのキラーズ旋風を巻き起こしている。彼らの聖地、ロイヤル・アルバート・ホールでのパフォーマンスだけでなく、そのウォーミング・アップ
を兼ねた350人収容という、アリーナ・ツアーを即日完売させた彼らにはあり得ない大きさの会場でのギグ、そしてチャリティ・イベントに突然、しかもサ
ポートのサポートでサプライズ出演するなど目が離せない。この種のイベントが開かれると、英国のメディアはよく「ニュー・アルバムのリリースをセレブレイ
ト(お祝い)して…」という言い方をするが、今のキラーズにはこの言葉がピッタリだ。メンバーもファンも、新作発表の”前夜祭”の真っ最中だ。
その祝典の中でも、やはり目玉となったのがロイヤル・アルバート・ホールでのパフォーマンスだろう。セットリストにはデビュー・アルバ
ム『ホット・ファス』から新作『デイ&エイジ』、それにコンピレーション・アルバム『ソーダスト』までがバランスよくミックスされ、新作のプレビューを兼
ねたザ・キラーズの集大成ギグとなった。「サムバディ・トールド・ミー」「リード・マイ・マインド」「ミスター・ブライトサイド」などのヒット曲の合間に
披露された新曲もこれまでの集大成という面がある一方、全く別の方向性を見せている。彼らのキャリアにおいて、今作がターニング・ポイント、もしくは標石
となるのは確かだ。
一連のギグがスタートする前インタヴューしたギタリストのデイヴィッド・キューニングは、こう話している。「新作では『サムズ・タウ
ン』の流れを引き継ぎながらも、新しい要素――これまでみんなが見たことのないキラーズを紹介したいっていう思いがあった」「みんなに俺たちの持つ別の面
を見せたかったんだ。俺たち、いつだってサクソフォンを使いたいって思ってた。それがようやく実現できたわけだ」
ポップでキャッチーなダンス・ソングとなった1stシングル「ヒューマン」や「スペースマン」が従来の彼らならば、サックスやパーカッ
ションを使い実験的なリズムを取り入れた「ジョイ・ライド」や「アイ・キャント・ステイ」がその”別の顔”なのだろう。これまで隠していた(?)面を表に
出すことになったのは、マドンナの作品で知られるプロデューサー、スチュワート・プライスとの出会いが大きく影響しているのかもしれない。デイヴィッドは
プライスを今作のプロデューサーに起用した理由をこう語っている。「彼のことはずっとリスペクトしてたんだ。『ソーダスト』で何曲かやってみて、彼と一緒
にやっていくのは正しいって実感したよ」「同じ音楽(グラム)が好きだし、年齢も同じだし、いろんなレベルで共通点があった。俺らにパーフェクトな人物
だって思ったね」「彼は俺たちがこれまでやったことがなかったようなレコーディング方法を見せてくれた。レコーディングの面でも、いい音作るという面でも
優れてた」と絶賛している。「最初のミーティングで食事に出かけた後、彼のアパートメントへ行ったんだけど、その夜、その場で”ヒューマン”が誕生したん
だ。魔法の力が働いてたよ」ともいう。
『デイ&エイジ』はいよいよ来週(11月19日)リリース。前夜祭が終わり、本格的な祭典がスタートすることになる。デイヴィッドから
日本のファンへ「俺たち、もっと日本でビッグになりたいんだ!チャンスをくれ!!」とのダイレクトなメッセージを頂戴した。どこまでビッグになれば気が済
むのかわからないが、今作がその足がかりになるのは間違いない。
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