L.I.T.特別インタビュー第3弾として、1月に来日してくれたレイザーライトのインタビューをお届けします。今回答えてくれたのはスウェーデ
ン出身の2人、ギター担当のビヨルンとベース担当のカール。スウェーデンで音楽活動をしていた2人が、どのようにしてロンドンに移住しレイザーライトを結
成したのか。終始なごやかなムードで思う存分に語ってくれました。
<インタビュー:青山晃大(Wonderkind)>
――今日は2人の音楽ヒストリーについて教えてもらおうと思います。
カール:ヒストリーはいいね。
ビヨルン:そう、オレたちはヒストリーが大好きなんだ(笑)
――2人はスウェーデン出身で、ロンドンに来る前にも音楽活動をしてたという事ですが、その当時はどんなバンドをやってたんですか?
ビヨルン:数え切れないくらいのバンドをやってたけど、正直そんなに特別なバンドは一つもなかったね。全部軽いグランジみたいな感じで…。
カール:オレはアメリカの音楽にインスパイアされたインディ・バンドをやってた。
ビヨルン:カールのバンドは町でナンバー1のバンドだったんだ(笑)そうそう、一回だけ一緒にギグをやったことあるよ。
――それは別のバンド同士で対バンしたって事?
カール:いや、一回オレのバンドのドラマーが仕事の都合でギグに来れないことになっちゃって、それでビヨルンにドラムを叩いてもらったんだ。
ビヨルン:そう、カールのバンドを邪魔してやったんだ!(爆笑)
カール:ははは、そうだそうだ!5曲くらいで中断しちゃって…、このクソ野郎!(笑)
――スウェーデンからロンドンに移ってきたとき、ロンドンの印象はどうでした?
ビヨルン:う~ん、そんなに正確には覚えてないけど、でもすごくホームな感じがしたよ。ロンドンは例えば東京なんかとは違って、超高層ビルが立ち並んでるっていうよりは低いビルがものすごく広いエリアに広がってて…、言ってみれば馬鹿でかい村って感じかな(笑)
落ち着いた雰囲気のスウェーデンとは違って、何か起こるか分からない所があって、すごくエキサイティングに感じたのを覚えてるよ。
――2人は同時期にスウェーデンから移住してきたの?
ビヨルン:いや、オレが先だよ。2001年の9月に越してきたんだ。
カール:オレがロンドンに来たのは2002年の8月だったと思うな。それで9月の初めにはレイザーライトとして最初のリハーサルをして、4回くらい一緒にライヴをやってから正式にバンドに加入したんだ。
ビヨルン:そう、その時はちょうどダークネスのサポートをやってて、「オー・マイ・ゴッド!何だこりゃ?こういうバンド、スウェーデンにもいっぱいいたぞ」って思ってたのを覚えてるよ(笑)
――レイザーライトの結成のいきさつをもう少し詳しく教えてもらえますか?
カール:ビヨルンがジョニーと出会ったのが確か2002年6月で…、その数ヶ月後にオレがバンドに入って、そのさらに1ヵ月後に前のドラマーのクリスが加入してレイザーライトになった。
ビヨルン:そう、オレとジョニーが出会ったのはジョニーがNMEに広告を出したのがきっかけなんだ。あっ、NMEじゃなくて、とある音楽誌って言っておこうかな(笑)
当時ジョニーはソロ・プロジェクトをやってたんだけど、一緒にやってたギタリストが下手クソだったから代わりを探してて。「ギタリスト、求む。ヴェル
ヴェット・アンダーグラウンドやストゥージズのようなギター、ソロなし」みたいな感じの広告を出してたんだけど、それを見てオレはパーフェクトだと思った
んだよね。それで、実際会って話してみたら、やりたい事が全く同じだと感じたんだ。
それで、ジョニーのボブ・ディランみたいな曲にもっとオルタナティヴ・ロックなテイストを付け加えようって。クールなギターを入れることでね。
で、スウェーデンにいた頃からカールとは仲良かったから、ずっと一緒にバンドやりたいと思ってたんだ。でもカールはギターをやってて、当時の彼のバンドは既にパーフェクトなバンドにいて…。
カール:その時はオレはまだスウェーデンにいたんだ。
ビヨルン:そう、オレがカールをスウェーデンから引き抜いてきたんだよ(笑)
――最初にジョニーと会ったときの印象はどうだった?
ビヨルン:今でも一緒にやってる俺たちのマネージャーがミーティングの場を設けてくれて、パブに行ったらジョニーはまだ到着してなかったんだ。それでちょっと待ってたら勢い良くドアがバーン!って開いて、本物のロック・スターが入ってきた(笑)
その当時からジョニーはまさしくスターって感じの自信満々な奴だったんだけど、いざ10分くらい音楽の話をしたら同じような事を考えてるって分かって、「さっそく明日からセッションを始めようぜ」って話になったんだよ。
カール:オレが最初にジョニーに会ったのは、その時一緒にロンドンに住んでた姉貴の家でホーム・パーティーをした時だな。その時ビヨル
ンと一緒に来てて、いい奴だなとは思ったんだけど、その時は人がいっぱいいたからそんなに長くはしゃべらなかった。でも、その次の日に、一緒に音楽の話と
かして盛り上がったんだ。確か、オレが初めて仲良くなったイギリス人がジョニーだったと思う。
他にもクリケットのルールについても教えてくれたんだけど、全く面白くないからすぐ忘れちゃったよ(笑)まったく、クリケットなんて全然面白くないよな。
――それで、今のドラマー、アンディが入った経緯は?
カール:ファースト・アルバムのレコーディングがちょうど終わった頃に、前のドラマーのクリスが辞めるって言い出して、その2週間後にはツアーが始まるっていう重要な時期だったのに奴は「OK、オレは辞めるよ。バイバイ」って調子でさ(笑)
それで、パニックになる事も出来たんだろうけど、そうじゃなくてオレたちはすぐにオーディションをやったんだ。14人くらいと一緒にセッションしたんだけ
ど、何人かいた良いプレイヤーの中にアンディもいて、彼はパーフェクトだった。彼は今までオレが一緒にやった中でも最高のドラマーだよ。
ビヨルン:オレもそう思うよ。
カール:それで、これはまさにピッタリだと思ったんだ。
――ドラムが変わるとバンドも変わるってよく言いますけど…。
ビヨルン:そう、まさにその通りだね。
前のドラマーのクリスは、ジョニーがオレに、ドラマーとしては最高のプレイヤーだけどちょっと変な奴がいるって紹介してきて。オレとしては、ソリッドな
ロックの中にちょっと変わった要素が入るのもいいかなと思ってOKしたんだけど、いざ入ってみて分かったのが俺たち3人(ジョニー、ビヨルン、カール)が
同じ方向を向いてやってるのにクリスだけ全然別の方向を向いてたってことなんだ。
アルバムを出す前に「デビュー・アルバムはどんなアルバムにしよう」みたいな話をしてる時も、3人が「(長さは)長くても43分以下にしような」って言ってるのに、クリスだけ「2枚組にして1時間半くらいにした方がいい」とか言ってて(笑)
――バンドにとって重要なのはドラムの腕前だけではなかったと。
ビヨルン:そうだね。でも、アンディが入ってからは音楽面でも考え方の面でも、それにパーソナルな性格の面でも全てが完璧にハマったっ
て感じだったんだ。アンディがいたからこそ今のレイザーライトがあると言っても過言じゃないね。前作の名前に『レイザーライト』っていうバンド名を付けた
のも、「これが本当のレイザーライトなんだ」っていう意味なんだよ。
だから今のラインナップは、レイザーライトにとってこれ以上ない最高のメンツなんだって言えるね。
――それでは最後です。今バンドを組んで音楽をやりたいと思ってるキッズに向けて、何かアドバイスがあれば。
ビヨルン:そうだなぁ、何かを成し遂げようと思ったら大変な仕事もいっぱいあるし、すごく多くの時間を費やさないといけない。だから…
カール:何だよ、その退屈な答え(笑)オレが言いたいのは、バンドを始めるのなんてすごく簡単だってことさ。世界一のバンドになるって
いうのなら、勿論いろいろ大変なこともしなくちゃいけないけど、バンドを組んだり音楽をやりたいっていうのならまずはやってみる事だね。それがオレがこれ
までにやってきた事でもあるんだ。
ビヨルン:そう、それがベスト・アンサーだ(苦笑)
まずはやってみる事。別に高価な楽器が必要なわけでもない。必要なのはただ一つ、イマジネーションだよ。
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