INI VIVA AT JAZZ CAFE HMV ”Next Big
Thing”tour
エイミー・ワインハウスの大成功以後,彼女に続けと多くの才能ある若手がデビュー、女性シンガーへの関心が異常に高まっているイギリ
ス。これに刺激されてか、ポップ系ガール・グループの動きも活発で、中でもガールズ・アラウドが圧倒的な人気を誇っている。特にメンバーのひとり、テレビ
のタレント番組の審査員を務めるシェリル・コールの人気と、ソロとしての成功もすさまじい。一向に衰えないこのガール・パワー(ちょっと古いが・・)・
シーンの先端に躍り出たのが、ミニ・ヴィヴァ。色白でブルーネットのブリット・ラヴ(20歳)と、ブロンドのカーリー・ヘアーに抜群のプロポーションのフ
ランキー・コンロイ(19歳)の二人組みだ。
今注目の彼女たちの貴重なライブをロンドンのジャズ・カフェで目撃した。この日のライブは、HMVレコード・ショップが企画した注目新人紹介のための特別
企画ライブ”Next Big
Thing”で、彼女たちのほかにも2つの新人若手ガール・グループが出演した。ミニ・ヴィヴァ以外はまだデビュー前で、開場は満員とまではいかなかった
が、それでも家族やら友達やら、またガール・グループ好きのカップルやなどで、開場はフレンドリーな雰囲気が流れていた。
時間どおりにステージに登場したブリットとフランキー。ブリットはサイケデリックでカラフルなレギングに白のコルセット風なデザインのトップをまといセク
シーでキュート。フランキーはジーン素材の袖なしミニ・ジャケットに、ロウ・ハングのファッション・ジーンズ、短いミニ・ジーン・ジャケットの下には流行
のレース地のボディーを重ねた着こなし。二人とも個性の光るファッションでステージに現れた。
去年”LEFT MY HERART IN
TOKYO”でデビューしたふたり。そもそもはオーディションで出会った。ブリットはニューカッスルの、そしてフランキーはマンチェスターの出身。二人と
もイギリスの北部の出身ということで、会ってすぐに意気投合したらしい。オーディションを主催していたのは、ゼーノマニア(ZENOMANIA)というプ
ロダクション。これは10年ほど前にブライアン・ヒギンズとミランダ・クーパーによって設立されたプロダクションで、過去にシュガーベイブス、ガールズ・
アラウド、カイリー・ミノーグ、ペット・ショップ・ボーイズ、ソフィー・エリス・バクスターなどの曲をプロデュースしている。特に大ヒットとなったシェー
ルの’アイ・ビリーヴ’、また最近リリースされたガールズ・アラウドのアルバムの成功などでヒット・メイカーとしての地位を確立した。
モータウン感覚のシンプルでダンサブルなメロディーをエレクトロニックでポップに仕込むところなど、80年代のヒットメイカー、ストック・アトキン・
ウォータマンの再来を彷彿させるチームだが、ストック・アトキン・ウォータマンに比べるとロック嗜好に傾いている、とサウンド作りの主導権を握るブライア
ン・ヒギンズは語る。彼はバズコックスやセックス・ピストルズ、ニュー・オーダーなどを影響を受けたアーチストにあげているほどだ。実際最近はどはフラン
ツ・ファーデナンとの共作を試みたりもしているが、こちらは実りがなかったようだ。
そしてこの今最も注目されているイギリスのヒット・メイカーのゼーノマニアによって見出された才能ある二人のシンガーがミニ・ヴィヴァということになる。
マネージメントはあのスパイス・ガールズのマネージャーだったサイモン・フラーというから怖いものなし?
この夜のライブ、半年ほど見たショウ・ケースと変わらず、バック・バンドなし、プログラムされた音楽に合わせて生で歌うというものだった。オープニングは
ファースト・シングルの”LEFT MY HERART IN
TOKYO”彼女たちがステージに姿を現すと、ファンが前方に集まりカメラを向け始めた。二人とも10センチ以上もあるヒールを履いているせいか、ダンス
するというよりは、二人一緒にステージを右へ左へ移動しながら、上半身のアクションで決める、といった感じだ。1曲目が終わるとざっとこのデビュー・シン
グルについての説明とファンに向けて応援ありがとう、の挨拶をした。2曲目は最新シングルの”WISH”。シェールの”ビリーブ”風の打ち込みサウンド、
と一度聞いたら忘れられないコーラスが特徴、彼女たちのヴォーカルを引き立てるようなポップ・チューンだ。
3曲めは夏にリリースされる予定のデビュー・アルバム”Colloquial
Obsession”からの曲。ゲイリー・ニューマンのチューブウエイ・アーミー風の音感のあるシンセサイザー・サウンドが特徴のミッド・テンポの甘い
ポップ・ソング。そしてこの後に続くのが、次のシングルとなる”Do you want candy?”
この曲はこれまでの曲とは違い、アップ・テンポでヘビーなビートが入ったテクノ食の強いサウンドが特徴だ。そこに少々ラップ風のヴォーカルをブリットがつ
ける。その歌い方もダンスの振り付けもどこかマドンナのシングル’ヴォーグ’を彷彿させた。またエレクトロ・サウンドを壁のように作りこんだ手法は、これ
また80年代のエレクトロ風、音作りにうるさいダンス・ファンの耳を刺激するもの。ペット・ショップ・ボーイズやニュー・オーダーが競作に関心を示した、
というのもうなずける。そうえば開場にはちらりとゲイ・カップルの姿も見受けられ、ひょっとしたらミニヴィヴァは若いポップ・ファンを魅了するだけでな
く、カイリーやマドンナのようなゲイ・アイコン的な存在になる潜在性もありか?またアイドル・バンドを毛嫌いするNMEやQといったイギリスの音楽雑誌も
彼女のデビュー・シングルを随分気にっていたようだから、ミニヴィヴァは単なるアイドル的な人気だけではおさまらないはず。夏にリリースされるアルバム、
要注意だ。
リポート:高野裕子
text by Yuko Takano
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