レイザーライト・ヒストリー
RAZORLIGHT JAPAN TOUR2009
1.23(金) 東京 SHIBUYA-AX
1.25(日) 名古屋 CLUB Diamond Hall
1.26(月) 大阪 心斎橋CLUB QUATTRO
レイザーライトの歴史をひもとく場合、フロントマンにしてソングライティングの中心人物、ジョニー・ボーレル(Vo&G)のバックグラウンドから知っていったほうが面白い。
名門高校に通っていたジョニーは、17歳のころからバンドをはじめロンドンのカムデン・シーンなどで活動。リバティーンズのサポートなどでも活動する中
で、02年にビョルン・アグレン(G)、カール・ダレイモ(B)、そしてクリスチャン・スミス(Dr:04年に現ドラマーのアンディ・バロウズに交替)と
レイザーライトを結成した。
’03年8月にシングル”Rock’N’Roll
Lies”でデビュー。時あたかもロックンロール・リヴァイバルの炎がロンドンで燃え始めた頃というのもあり、自信と刹那と勢いの三拍子をそろえたレイ
ザーライトは瞬く間に人気に。そしてデビュー作『Up All Night』(’04年。全英3位)リリース直前に発表した”Golden
Touch”で、勢いだけでなく深淵なソウルをもそのソングライティングに内包するさまを提示、全英クラスの人気者へと羽ばたいた。
続いてリリースした2nd『レイザーライト』(’06年)では、その歌心が炸裂。全英1位はもちろん、結果的にこのご時勢にUKだけで
150万枚をも売り上げた。ライヴはもはやアリーナ・クラス。カムデン・シーンの「末っ子」だったレイザーライトは、押しも押されぬUKのトップ・バンド
に成長した。
そして満を持してリリースされるのが、3rdアルバム『スリップウェイ・ファイヤーズ』となる。
『スリップウェイ・ファイヤーズ』の聴きどころ
この『スリップウェイ・ファイヤーズ』は、ユース・カルチャーとしてのロックを超えて普遍としての音楽の「美」を、レイザーライトが徹
底的に追及した作品と言えそうだ。前作『レイザーライト』の成功によって、実は同時に疲弊もしていた4人。なんでも2007年末からそれぞれがリフレッ
シュすべく休養に入ったと聞くが、それが素晴らしい形で功を奏した。ことに、スコットランドの離島でコテージを借りて一人で過ごしたというジョニーは、お
そらく自分の内なるものを見つめた結果、流行に左右されることのない普遍の美を求める重要さに表現者として辿り着いたのだろう。
だから、この『スリップウェイ・ファイヤーズ』はいたずらな初期衝動や、今の流行をなぞるようなスタイルとは、正反対の場所から曲たち
が紡がれている。シンプルでトライバルなビートが先導する”ユー・アンド・ザ・レスト”、トラディショナル・ミュージック風のメロディーと現代人ならでの
生活を描く歌詞とがハイブリッドされた”ノース・ロンドン・トラッシュ”におけるストーリー・テリングの手法をはじめ、繰り返し聴くことで曲の奥行を実感
させる曲ばかりだ。また、”ブラッド・フォー・ワイルド・ブラッド”に代表される、ジョニーのヴォーカリストとしての神がかったかのような表現力に鳥肌の
立つ曲もある。 確かに”ゴールデン・タッチ”から”アメリカ”へと続いた、ソウルもブルースもトラディショナルも飲み込むかのような黄金のソングライ
ティング力をこれまでのレイザーライトも持ち得ていた。が、それを無自覚で作るのと、自覚して、求めながら到達することとは、全く違う。今のレイザーライ
トはまごうことなく後者であり、それゆえの力強さと説得力が、このアルバムの曲たちからは届く。最高じゃないか。
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