6年ぶりの東京公演のレポートとライブ写真が到着!
最新アルバム『ルーム』を引っさげたイマジン・ドラゴンズによる単独来日公演が、2024年12月3日(火)に東京・有明アリーナで行われ、約6年11カ月ぶりとなった即完ソールドアウト公演のオフィシャルライブレポートと写真が到着した。
また、今回の公演のセットリストプレイリストも公開されている。
12月3日(火)イマジン・ドラゴンズ 東京・有明アリーナ セットリスト
(以下、ライブレポート)
実に6年ぶりとなった来日公演、会場となった有明アリーナにはより逞しく進化したバンド・サウンドを待ちきれない観客が国境を超えて多数訪れ、開演前から熱気に包まれているなか、まるでスペース・オデッセイのような壮大なサウンドと、映像をバックに登場した彼ら。会場からは割れんばかりの歓声が響く。そして、最新アルバム『ルーム』に収録の「Fire in These Hills」でステージはキックオフ。夜明けのように徐々に視界が広がっていくような展開のドラマティックなサウンドにつられるように、オーディエンスの興奮も高まっていき、さらにオープニングで早くも紙吹雪が飛ぶなど、出し惜しみのない演出は、さすがエンタテインメントの本場であるラスベガス出身のバンドだけある。以降も、稲妻のような衝撃をもたらす「Thunder」、その重厚感のあるリズムが骨までをも震わせた「Bones」、ヴォーカルのダン・レイノルズがマイク・スタンドをダンベルのように持ち上げたり、マエストロ(指揮者)のような動きをして観客を煽動させた「Hear Me」とヒット曲の数々を披露。さらに、最新作に収録の「Take Me to the Beach」ではフロアに巨大なビーチ・ボールがいくつも登場。外の肌寒く乾いた風を吹き飛ばすような開放的なムードが漂ったのだった。
一般的な日本での洋楽ライブではなかなか耳にしない大合唱が轟き続けるなか、MCでは「日本で再びライブができることがうれしい」と伝えていたダン。その後、ディスコ・チューン「Nice to Meet You」、ヒップホップ的なビートで脳を覚醒させる「Wake Up」と最新作のオープニングを飾った楽曲で、さらに観客をヒート・アップさせる。また、途中ではダンが、バルク・アップした肉体を披露。演奏よりも、その完璧な身体に圧倒されている観客の姿も多く見受けられた。さらに、その脅威のフィジカルを駆使して「Radioactive」では(残念ながら以前のように和太鼓は使用しなかったものの)サポート・プレイヤーと共に、迫力のドラム・セッションを披露。ヘッド(膜)を突き破るかと思うくらいの、エネルギーに満ちた振動に圧倒されたものの、次に披露した「Damons」ではピアノ弾き語りでパフォーマンする場面も。そのたたずまいからワイルドさを連想してしまうが、ここではダンの繊細な一面を垣間見ることができた。ただ上半身裸で演奏する姿はシュールだったが。
また、途中ではダンが観客に向けて胸を熱くさせるメッセージも披露。
「12歳の時、私は信じられないほど迷っていた。価値観もなく、神に耳を傾け、何かを探していたんだ。だが、神や何かを探し求めても、何も見つからず、自己愛もなく、方向性も見出せなくて、私は信じられないほどの喪失感を抱え、それをすべて自分の中に閉じ込めて、満面の笑みを浮かべていた。以降、10代の間はずっとそんな状態でありながらも、その状況を誰にも言いだせずにいたんだ。
そんな悶々としている日々を過ごしていたある日、実兄が家を出た。大事にしていたマイクを置いたままで。今では彼はマネージャーをしてくれているんだけれども、それを拝借して私は練習を開始したんだ。兄には<TV教育番組に出てくるキャラクターみたいな声>と茶化されたことがあって、歌うことに対して抵抗があったけれども、勇気を振り絞ったところ、自分にも<声>があることに気づいたんだ。たとえ誰にも聴いてもらえなかったとしても、そんなことはどうでもよくて、ただ自分を表現することで滝のような安堵感を得られた。自分のなかにあるものをただ受け止めて、解放することができたから。それは、自分の人生にとってとても大切な瞬間だったと思う。
現在、過去の自分と同じような感情を抱え込んでいる人がいるはず。自分を表現したくないから、殻に閉じこもっている人が。私が彼らに伝えたいのは、どうか抱え込まないでほしい。誰かに話して、友人に話して、家族に思いを話して。あなたの人生には、自分自身を表現できる手段が必ずあって、解決方法が必ず見つかるから。あなたは愛されるに値する人間だ。あなたの人生には必ず価値があります」
その感動的なスピーチに、英語がわかる人はもちろん、そうでない人もダンの熱意が伝わっていた様子で、会場からは称賛する拍手がやまなかったと同時に、さらなる一体感が生まれた。結果、最新作に収録されアニメ『Arcane』のテーマ曲に起用された楽曲「Enemy」や、メンバー全員がパーカッション(太鼓)を叩く場面もあった最新作からのリード・ソング「Eyes Closed」など、その後に披露した楽曲も、アリーナの天井を突き破るくらいの歓声に包まれる。興奮のゾーンに入った空間に、メンバー全員も感動している様子で、即興で「Tokyo」を披露したり、またダンは覚えている日本語「キミ、タノシム」を連呼(みんな、楽しんでいる?という言葉を記憶していてその意味を忘れていたと思われる)するなど、日本のオーディエンスやカルチャーへの愛を感じさせる場面もあった。
終盤には、最新作収録の「In Your Corner」、そして「Believer」の躍動感あふれるサウンドで、幕を閉じた2時間のステージ。最初から最後まで多彩な演出を施しながら、息の絶えないタフなステージを披露していた3人に、会場から割れんばかりの称賛の声と拍手が鳴り止まなかったと同時に、『ルーム』という最新アルバムが彼らの現在のタフで柔軟な音楽アティテュードを最大限に表現し、日常に光や希望を与える聴きごたえのある作品であることを改めて感じることができたパフォーマンスになったと思う。
(Written by 松永尚久)
photo by Kazumichi Kokei
photo by Kazumichi Kokei
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