<レポート>7/11スペシャル・イベント

2018.07.12 TOPICS

本日から来日公演がスタートするホリー・コール。
7月11日に開催されたにスペシャル・イベントのレポートが届きました。
 
Music Voyage
Talk & Mini Live:Holly Cole

5年ぶりに来日したホリー・コール。ブルーノート東京での4日間におよぶ公演の前夜に、御茶ノ水にあるCafe104.5で、ファンを集めてのスペシャル・イベントが行われた。彼女の名前を日本で広めた名曲「コーリング・ユー」のカヴァーがヒットしたのは1992年。今から25年以上も前だけれど、観客の年齢層、特に女性客が若いことに驚く。

同時に、ステージに登場したホリー自身の美貌にも驚いた。かなり若返っている。きっと毎日ワークアウトをして、心身ともにヘルシーな生活を送っているのだろう。スリムになったし、歌えば、よく声が響く。

今回のスペシャル・イベントではパフォーマンスの前にフリーアナウンサーの住吉美紀さんの司会で、Q&Aのトークが行われる。日本の文化や食べ物では“わさび”が好きなこと。故郷カナダ・ノヴァスコシア州に古民家(1845年建設)を購入し、楽しみながらリノベーションしていること。また、音楽のバックグラウンドとして、ジャズ・シンガーのニーナ・シモン、サラ・ヴォーンらに影響を受けてきたことなどを話す。

そして、新作『ホリー』ではベテランのラス・タイトルマンにプロデュースを全面的に委ね、新旧バンドのメンバーとジャズのスタンダードをレコーディングしたことを明かす。その新作が素晴らしい。そこから「誰も奪えぬこの思い」「誰かが誰かを愛してる」「ウィヴ・ガット・ア・ワールド・ザット・スイングス」という3曲に加えて、おなじみの名曲「サムワン・トゥー・ウォッチ・オーヴァー・ミー」の合計4曲をピアニスト、アーロン・デイヴィスの伴奏で、表情豊かにまったりと歌う。この独特の陰影を帯びた、伸びやかなヴォーカルが彼女の魅力だ。そして、アンコールで再びアーロンと披露した「コーリング・ユー」ではより官能的に、よりパワフルになった歌で会場を魅了する。

話しを聞き、パフォーマンスを観ながら思ったのは、今の彼女は、音楽でもライフスタイルでも古き良きものに独自のアレンジを施し、新たな生命を吹き込むこと。OLD & NEWの融合に情熱を注いでいることだ。そんなホリー・コールが今後どんな歌を歌っていくのか、ますます楽しみになるイベントだった。

Written by 服部のり子(音楽評論家)

 
SET LIST
1. 誰も奪えぬこの思い(They Can’t Take That Away From Me) ※
2. 誰かが誰かを愛してる(Everybody Loves Somebody Sometime) ※
3. ウィヴ・ガット・ア・ワールド・ザット・スイングス(We’ve Got A World That Swings) ※
4. サムワン・トゥー・ウォッチ・オーヴァー・ミー(Someone To Watch Over Me)
【アンコール】 コーリング・ユー(Calling You)

 

(C)森 良太