アルバム『恋愛小説2~若葉のころ』リリースツアー・ファイナル公演レポート
今年5月にリリースした邦楽カヴァー・アルバム『恋愛小説2~若葉のころ』がロング・ヒット中の原田知世。大阪・名古屋・東京にて計4公演で開催されたアルバム発売記念ツアー「恋愛小説2 -若葉のころ リリースツアー-」も、全公演が即日ソールドアウトとなった。そのツアー・ファイナルが、11月19日(土)にブルーノート東京にて行われた。その1stステージの模様をレポートする。
開演時間定刻に、バンマスを務めるギタリスト/プロデューサーの伊藤ゴローとともにバンド・メンバーがステージに登場。バンドは、ここ3年間レコーディングやライヴで活動を共にしている、原田自身も絶大な信頼を寄せるメンバーばかり。この日はさらに伊藤彩率いるストリング・カルテットが加わり、総勢12名がステージに立った。
1曲目は竹内まりやのカヴァー「September」。原田知世は新作のジャケットやミュージックビデオでも着用したpetite robe noire/YOSHIYOのワンピースとアクセサリーを身に着け、軽やかなステップを踏む。その透き通るような優しい歌声とナチュラルな笑顔に、会場内は柔らかな空気に包まれた。
前半は「やさしさに包まれたなら」、「秘密の花園」と、アルバムの曲順通りに進行。
最初のMCでは、新作がオリコン週間アルバムランキングで初登場4位にランクインしたことに触れ、「自分の作品がトップ10に入るのは約20年ぶりだったので驚きました。女優と並行して歌手としての活動もずっと続けてきましたが、今回みなさんのおかげでご褒美をいただけたようで、本当に嬉しかったです」と、ファンへの感謝の気持ちを語った。
続けて、大好きな曲で“子供のころ最も歌った”という久保田早紀の「異邦人」、そして前々作『noon moon』からオリジナル曲「うたかたの恋」を披露。どちらも切なさあふれるナンバーだが、原田は情感をたたえた歌唱で見事に表現した。
それに続くMCでは、主演を務めたNHKドラマ10「運命に、似た恋」に触れ、「脚本家の北川悦吏子さんは執筆にあたって、役者のことを熱心に取材されるのですが、今回は『恋愛小説2~若葉のころ』を何度も聴いて脚本を書いてくださったそうです。私としては、音楽と女優の仕事が繋がったようで、とてもいい経験をさせていただきました」と、ドラマとアルバムとの意外な接点を語った。
その後に披露したのは、「木綿のハンカチーフ」。歌詞に登場する、遠距離で心がしだいに離れていく恋人たちを、原田は演じるかのように歌う。その表現はまるで映画のシーンのようで、本公演のハイライトと呼べる感動的なパフォーマンスとなった。
コンサートの終盤では、「年下の男の子」をなんと振り付きで披露。動画サイトでキャンディーズの当時の振り付けをチェックし練習したそうで、嬉しいサプライズに場内は大いに盛り上がった。
アンコールは、まずはバンドのみでしっとりとしたインスト・ナンバーを披露した。演奏はそのまま「SWEET MEMORIES」のイントロに繋がったのだが、イントロの途中で突然終了。原田知世本人も何が起こったのか不思議がっているのもつかの間、バンドは「ハッピー・バースデー」を演奏。ステージにはブルーノート東京のスタッフが用意した大きなバースデー・ケーキが登場し、11月28日に誕生日を迎える原田を祝福した。原田は大感激し目に涙を浮かべながら、「今年は、嬉しいことや悲しいこと、いろんなことがありましたが、学んでまた少し成長できたかなと思える実りのある一年でした。来年はデビュー35周年ですし、また歌手としても女優としても、ファンの皆さんにお返ししていける、良い年にしていきたいと思います」と真摯に語った。
それに続けて歌った「SWEETMEMORIES」は、ストリングスの美しい響きとあいまって、心に迫るパフォーマンスであった。最後には、もう一度「September」を演奏。客席からは手拍子も起こるなか、冒頭時よりもリラックスした歌声を聴かせ、ステージを締めくくった。
原田知世
恋愛小説2 -若葉のころ リリースツアー-
2016年11月19日(土) ブルーノート東京
<1stステージ セットリスト>
1. September
2. やさしさに包まれたなら
3. 秘密の花園
4. 異邦人
5. うたかたの恋
6. 木綿のハンカチーフ
7. キャンディ
8. 年下の男の子
9. ドント・ノー・ホワイ
Encore
10. Sweet Memories
11. September
原田知世(ヴォーカル)
伊藤ゴロー(ギター)
藤田淳之介(ソプラノ、テナー、バリトン・サックス)
織田祐亮(トランペット、フリューゲルホーン)
坪口昌恭(ピアノ、キーボード)
澤渡英一(ピアノ、キーボード)
鳥越啓介(ベース)
小川慶太(ドラムス)
伊藤彩(ヴァイオリン)
柳原有弥(ヴァイオリン)
三木章子(ヴィオラ)
村中俊之(チェロ)
写真:黒田隆憲