<ライヴ・レポート>1/25 横浜アリーナ公演

2017.01.26 LIVE

1月25日(水) 横浜アリーナ

アクセル、スラッシュ、ダフの3人が再集結したGN’Rの〈奇跡という現実〉はまだまだ続く!!

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1月21日に京セラドーム大阪で開幕を迎えたガンズ・アンド・ローゼズ(以下GN’R)のジャパン・ツアーが、真冬の日本列島に極上の熱をもたらしている。大阪とは演奏曲目を一部変更/追加して行なわれた22日の神戸ワールド記念ホールでの公演を経て、バンドはいよいよ首都圏に上陸。1月25日には横浜アリーナにその雄姿を現した。

オープニング・アクトに起用されたBABYMETALの熱演を経て、GN’Rがステージに登場したのは午後7時40分を過ぎた頃のこと。ほぼ定刻である。かつては開演時刻の遅延が取り沙汰されることの多かった彼らだが、現在は違う。これまでのいずれの公演でも、開演の遅れはほとんど生じていない。

1987年発表のデビュー作、『アペタイト・フォー・ディストラクション』に収録の“イッツ・ソー・イージー”で幕を開けたショウは、“ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル”や“ノーヴェンバー・レイン”といった数々のヒット曲を網羅しつつ、スラッシュやダフが参加していない『チャイニーズ・デモクラシー』(2008年)からの楽曲も4曲ほど織り交ぜながら進行。映像を駆使した今日的演出を伴いながら繰り出される思い入れ深い楽曲たちの織り成す緩急に富んだドラマは、客席を埋め尽くしたオーディエンスの興奮を途切れさせることがなかった。

ステージ中央にアクセル・ローズ(vo)、その左右にダフ・マッケイガン(b)とスラッシュ(g)が並ぶという光景だけでも、ファンにとっては奇跡に等しい出来事といえる。なにしろこの3人がステージ上に揃うのは、日本では1993年以来24年ぶりのこと。古くからのファンがこの瞬間を待ち続けてきたばかりではなく、GN’Rが不在の時代に彼らの存在を知った世代も飢餓感を募らせてきたのだ。ただ、重要なのはそこに渦巻いていた熱狂が、懐かしさにばかり起因するものではないということだろう。GN’Rが“今”のバンドとして生き、誰も観たことのない光景を目の前に繰り広げている――そのさまにオーディエンスは興奮をおぼえていたに違いない。

アンコール最後の“パラダイス・シティ”を歌い終えたアクセル・ローズが「グッド・ファッキン・ナイト!」と叫び、それまで手にしていたマイクロフォンを客席に放り投げた頃には(これは恒例の場面でもある)、開演から2時間40分が経過していた。その後、全員で横一列に肩を組みながら観衆にお辞儀をし、手を振るメンバーたちの顔には、清々しい笑みが浮かんでいた。GN’Rの〈奇跡という現実〉はまだまだ続いていく。1月28日、29日の両日、さいたまスーパーアリーナでの二夜公演をもって、今回のジャパン・ツアーは文字通りのクライマックスを迎えることになる。かつて一度でもGN’Rに心を動かされたことのあるすべての人、ロックを愛するあらゆる人に、この機会を逸してほしくない。2017年のGN’Rと向き合うことができる機会は、『NOT IN THIS LIFETIME』という今回のツアー・タイトルが示唆する通り、二度と訪れることがないのだから。

増田勇一(音楽評論家)


<セットリスト>

IT’S SO EASY
BROWNSTONE
CHINESE DEMOCRACY
WELCOME TO THE JUNGLE
DOUBLE TALKIN’ JIVE
BETTER
ESTRANGED
LIVE & LET DIE
ROCKET QUEEN
YOU COULD BE MINE
ATTITUDE
THIS I LOVE
CIVIL WAR
COMA
GF / SWEET CHILD O’MINE
USED TO LOVE HER
MY MICHELLE
WISH YOU WERE HERE / NOVEMBER RAIN
KNOCKIN’ ON HEAVEN’S DOOR
NIGHTRAIN
***
SORRY
PATIENCE
THE SEEKER
PARADISE CITY

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Photo : 堀田芳香