海外ライヴ・レポート

2018.12.06 TOPICS

ソールドアウト続出の海外ライヴのレポート記事。1月の初来日公演が楽しみですね!


◆2018年11月30日 ニューヨークTerminal 5公演 (rockin’on.com)

https://rockinon.com/blog/nakamura/182197

◆2018年6月24日 ロサンゼルスJohn Anson Ford Amphitheatre公演
https://www.universal-music.co.jp/greta-van-fleet/news/2018-07-05/

◆2018年4月5日 ロンドンO2 Academy Islington公演
グレダ・ヴァン・フリートの音楽に出会った時、とんでもないエキサイトメントにのみこまれた。物凄いものを発見した時に感じる、とてつもない高揚感 ――こんなにもゾクゾクと背すじに電撃が走るような感覚を覚えたのは、もう何年もなかった。
ロックに求められるカッコよさの全てが塊になって流れだしているような音楽だ。ロックの真髄を極めたようなサウンド、パワー、グルーヴが、彼らの音楽の中に息づき、力強く脈打っている。ロックが革新的であった時代の、ピュアなロック魂とでもいうべきものが宿っている。
しかも、この音楽をたたき出しているのは、20歳前後の4人組だ。ワォ!!! けれど、彼らの凄さは、その若さではない。彼らの本当の凄さは、彼らの音楽がノスタルジックな物真似でも、焼き直しでもなく、時代を、音楽を変えた時代のロックに、新しい血と生命を与え、この時代の、自分達の音楽としてたたき出しているところにある。それがGVFを最高にエキサイティングなバンドにしている。
物心ついた頃から、ロック、ブルース、ジャズにいたるまで、息をするのと同じくらい自然に音楽を呼吸してきた彼らの血の中には、ピュアな音楽が流れている。彼らが音楽の中に自分達の情熱を見つけたのは、ごく自然なことのように思える。ナチュラル・ボーン・ロッカーである彼らの血が、彼らを音楽に向かわせている。
4月4〜5日の2日間に渡ってロンドンで行われたライヴは、両日共、完全にソールド・アウト。彼らが今、勢いにのっているバンドであることを明確に物語っていた。9時を少しまわった頃、GVFがステージに登場した。1曲目は“Highway Tune”、パーフェクトなオープニングだ!この1曲で、会場の熱気とテンションは最高潮に達した。ライヴが始まったばかりだというのに、メチャクチャ熱い!
ヴォーカルのジョシュは、この夜のリーダーだった。バンドだけでなく、会場をうめつくしたオーディエンスをひっぱっていく。
GVFを“レッド・ツェッペリンの再来”と称する人は多い。確かにジョシュのヴォーカルはプラントを彷彿とさせる。万華鏡のようなバリエーションと、何層にもわたるヴォーカル・レイヤー。当のプラント自身も「素晴らしい声をしているよ。気に入らないね!(笑)」と最高の称賛を送っている。ステージ上のジョシュを観ていて、正直、初めのうちは彼にプラントを重ねあわせてしまっていたが、2曲目の“Edge of Darkness”が終わる頃には、プラントの影はすっかりどこかに消えていた。
目の前にいるのは、GVFの4人、それ以外の何者でもなかった。彼らが本物だからこそ成り得る圧倒的な存在感。ジョシュだけでなく、変幻自在でエッジーなギターをかき鳴らすジェイク、ベース/キーボードをあやつったサムのグルーヴ、パワフルでタイトなダニーのドラム、彼らのミュージシャンシップは、素晴らしいものがあった。
約束通りのポーズやアクションやカッコづけのないパフォーマンスは、GVFの音楽に対する敬意や愛情の深さ、熱情が、彼ら自身の内側からあふれでてきているものだということを説明しているようで、それがとても新鮮だった。
もちろん荒削りなところもあるライヴだったが、だからこそ私はこのバンドが開拓していくであろう未来に、無限の可能性を感じずにはいられなかった。
このバンドは、必ずビッグになる。すごいスケールのバンドになると断言できる。
アンコールを含め全12曲、“Safari Song”で幕を閉じたこの日のライヴは、GVFがこのジェネレーションのグレイテスト・バンドのひとつになることを確信させてくれた。彼らが影響をうけ、インスピレーションとなったバンド/ミュージシャンのように、彼らもまた音楽史上に名を残すバンドになることは間違いない。
これから先、彼らがどれだけスケールを広げていくか、私のエキサイトメントはとどまることを知らないように、ふくらみ続けている。
狼煙はあがった。音楽に向かうピュアな熱情とエキサイトメントが、ミュージック・シーンに戻ってくる。GVFがその道を切り開いていく。
GVFに続け!
追記:コーチェラ・フェスティバルでGVFをチェックしたジャスティン・ビーバーも“お気に入り!”と大絶賛した。
(April 2018, Midori Tsukagoshi)

◆2017年8月24日 ニューヨークMercury Lounge公演 (rockin’on.com)
https://rockinon.com/blog/nakamura/166273