福山雅治、5年ぶり11作目のオリジナルアルバム『HUMAN』試聴会レポート!!
4月2日に、約5年ぶり通算11作目となるオリジナル・フルアルバム『HUMAN』をリリースする、福山雅治。そのリリースに先がけて東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の5カ所でJFN全国38局リスナーを招いた試聴会が、3月21日に同時開催された。
「いい音で楽しんでいただきたい」という福山本人の希望のもと、東京では実際にレコーディングで使われたことがあるというスタジオでの試聴会。厳正な抽選のもと選ばれたわずか20名ほどのリスナーの静かな熱気に包まれるなか、作品の全貌は明かされた。
「クスノキ」からスタートする2枚組アルバム。Disc1は、書き下ろしの新曲ばかりを収録している。
厚みと勢いのあるギター・リフが気分を高揚させ、またストイックな自身の音楽スピリットを表現したかのようなタイトル・チューン「HUMAN」。ドラマティックなサウンドで描いたバラード「暁」といった、ラジオやCM等でもOAになっている楽曲の他に、休日の午後にまったり聴きたくなるアコースティック・レゲエ、ホーンを駆使したファンキーなグルーヴと歌謡曲っぽいメロディが融合したスリリングなナンバー、ギターで甘く妖艶な世界を描くロック、さらにはノスタルジックな気分にさせるミディアム・フォークなど、多様なサウンドを駆使し彼自身の音楽性の幅広さを感じさせながらも、彼の声や表情がストレートに耳に響いてくる仕上がり。音響のいいスタジオで聴いていると、耳元で歌っていると思えるほどの臨場感を味わえたほどだ。
また歌詞も、ストレートに愛を綴る楽曲もあれば、また普段着でリラックスしているような姿が浮かぶ内容もあるなど、彼の飾らない「人間味」を感じさせるものになっている。
いっぽうのDisc2では、2011年以降にリリースしたシングル曲を、再度ミックス、マスタリングをして収録。冒頭を飾る「家族になろうよ」に代表されるバラードでは、より歌の持つ美しさを強調。「GAME」といったアグレッシヴなナンバーは、ギターをはじめ音の粒だちがさらにくっきりとし、ライヴ感が上昇。そして「生きてる生きてく」など、グルーヴが印象的なナンバーはよりそれを強調させたものへと深化。どれも濃厚な仕上がりになっている。また、ラストにはKOH+で発表した「恋の魔力」をセルフカバー。オリジナルのポップ感を残しながらも、よりロックな世界に仕上げている。これら収録曲はシングル・ヴァージョンと聴き比べると、より面白さが伝わりそうだ。
全18曲、約80分におよぶボリュームがありながらも、さまざまな音で構成されているせいか、あっという間に聴き終えてしまう作品。そこからは(自身の脳内画像をアルバム・ジャケットにしたことからもわかるように)福山雅治の人間像に迫れると同時に、ギタリスト(演奏者)としてのポテンシャルの高さも感じられる。実は、本作Disc1のギターパートはほぼ全て自身のみで演奏、時には恍惚とさせる圧巻のテクニックを駆使するなど、全曲をより聴きごたえのあるものに昇華させている。
つまりアルバム『HUMAN』は、人間としてミュージシャンとし進化し続ける福山雅治の現在を余すところなくとらえた内容といえよう。
取材・文 松永尚久