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~クラシックで“痛み”がスッキリ!とは。~
【①そもそも痛みを感じるとは?】
痛みには2種類あって、急性痛と慢性痛があります。原因のはっきりした急性痛であれば痛みは取りやすいのですが、やっかいなのは慢性痛です。これはかなり複雑で、大脳基底核と視床というのが脳の中にあるのですがその中身に痛みの記憶が残ってしまった例というのが非常に難しいです。
ほぼ全ての痛みというのはストレスからきており、「自律神経」が強く関わっています。痛いところを身体が防御するので、自律神経が緊張して血管を締めるということをするんです。そうすると、この痛みの物質がブラジキニンとかキニンとかいくつかあるんですが、そういった物質が循環しなくなるんですね。その状態が長く続くと神経組織の中に痛みの記憶が残ってしまう。それが慢性痛につながります。
【②音楽が痛みに効くとは?】
原因が無いのに起こってしまう痛み(慢性痛)に対してそれを「マスク(覆う)」するのが音楽。例えば美しい音楽を聴いたりコンサートに行って感動すると、痛みをすっかり忘れてしまうことがあります。これは「聴覚性痛覚消失」という、脳の現象です。美しい音楽を聴く事によって大脳皮質の他の部位が活性化して、末梢神経から脳に伝わる痛みを「マスク(覆う)」します。
脳はマルチプル(複合的)に動きますけど、同時進行できるのは多くありません。要はそこを越える情報を与えて、元々ある情報を「マスクする」という考えです。もともと痛み刺激を抑えるために、「ゲートコントロールセオリー」という理論あるんです。これは、脊髄に対していくつか感覚神経路があるんですけど、太さがいろいろあります。そして、より太い神経の方が強い刺激になるんです。例えば「温痛覚」といいますが、温かい・冷たい・痛いというのは細い神経なのです。“さする”神経とか“触る”神経というのはもっと太いんですよ。だから、お腹が痛いときに“さすってあげる”と子供は楽になりますね。これは大きな神経が、同じ支配領域にある大きな神経を動かすことによって痛みをマスクするんです。これが「ゲートに感覚神経が入るところをブロックする」というゲートコントロールセオリーという理論です。
人間の脳は、脈を動かしたり心臓を動かしたりする脳幹と、感情を表す大脳辺縁系、性欲や性欲などの視床下部によってなる「旧脳」と、その上の、思考や言語を司る大脳新皮質という「新脳」にわかれます。ある種の音楽を聴いたり、心地よい音楽を聴くと「エンドルフィン」とか「ドーパミン」という物質が新脳内に出てきます。「エンドルフィン」にはモルヒネを上回る鎮痛作用があり、「エンドルフィン」は「快」の感覚を与えるホルモン「ドーパミン」の作用を延長させる働きがあります。そして聴覚は5感の中で最も原初的な器官であり、脳に直接作用するのです。
【③痛みにクラシック音楽とは?】
クラシック音楽の長い楽曲は「あ、この後にこういうメロディが来るな」という記憶を呼び戻すメリットがあります。想定していた記憶通りのものが起こると、人間はとても「快楽」を感じます。更にクラシック音楽は複雑な構成を持っています。複雑な構成上に美しいメロディを乗せ、それに合わせて数十の楽器による和声を作る。こうした複雑な構造をしているため、メロディを覚えた後も、聴くたびに新しい発見があります。作曲家がものすごくたくさんの伏線を引いており、その発見をする感動が、神経伝達物質を活性化します。また、様々な楽器が使用されているために幅広い周波数が含まれており、音の豊かさもエンドルフィンやドーパミンを分泌することを助けます。