Biography
ペンシルベニア州ランカスターは全米にあるごくありふれた町の一つに過ぎない。脱工業化、労働階級そして時として漂う暗い雰囲気。しかし大抵の場合、本物の感動的な創造性が栄えるのもこのような比較的発展が遅くれている町なのも確かである。単調な街並みが芸術の炎によって断ち切られるのだ。FROM ASHES TO NEWはまさにその炎である。最先端のサウンドと古くさい仕事に対する熱意をふりかざした完全なモダンロックバンドだ。
ボーカルでありプログラマーで創造力の源でもあるMatt Brandyberryによってたった二年前に結成された6人組はランカスターのアンダーグラウンドシーンの精鋭で成り立っている。「昔からバンドや様々なプロジェクトで一緒に活動してきたのさ」Brandyberryは話す。「それらが行き詰まったときや、バラバラになったとき、もう少し真剣に取り組みたいと考えたやつらがFATNに引き寄せられてきた。バンドはすごく自然なかたちで始まり、俺たちは一瞬で意気投合した。これだよ!とみんな初めからこのバンドにいるべきだと感じたのさ」
特にBrandyberryにとってFATNは長い時間かけて取り組んだ自己の創造力を試す場であった。世界の流れを変えたTupacと Biggie、そして地元フィラデルフィアのヒップホップシーンに心を奪われた少年にとって韻を踏む言葉を書き出すことがもっとも充実した楽しい時間になっていた。「ハードロックへの興味がしっかりとわいたのは10代の終わりころだった」バンドのフロントマンはこう話す。「時間はかかったがSevendustなどにもしっかりハマっていたよ。それからは気持ちがどんどん大きくなっていったのさ」
やがてBrandyberryはギターにピアノそして中学時代から温存してきた自分の曲をラップに合わせることに夢中になり始めた。「とにかく自分の頭の中のあったことをすべて音楽にすることにした。これは俺のすべてとなり、スポンジのように様々なことを吸収していったよ。とにかくすべての技法と技術を習得したいと思った。そうすれば頭の中にあるアイデアを全部書き出せるし、いずれはレコードにすることもできるだろう。」
そして彼はまさにそれらアイデアをレコードにしたのだ。プロデューサーのGrant McFarlandの手助けでFATNはラップとロックのハイブリッドサウンドをそびえたつ巨大な一枚岩にする計画に取りかかったのだ。
「いつだって自分たちの曲を大きく聞かせたかった」同じくボーカルでメロディの要であるChris Musserは話す。「俺たちの野望は曲にすべてを投じ、リスナーにできる限り最大のつながりを体験させてやることだ。多くの感情、怒り、そして悩みは曲を通してはきだしているけれど、曲には中から光り輝き、創造性を持つことを常に望んでいた。」
4曲が収録された最新のEP、Downfallは輝かしい始まりの糸口となった。そして続くフルアルバムのリリースは何千もの太陽の炎で光り輝くことだろう。踏み砕かれたコンテンポラリー・コア・メタルと厳しく自己を見詰めたラップで彼らはすでにヘビー級の強さで、これまでの短いキャリアの予想を裏切ってくれた。バンドの経歴と出身で、より一層活気づけられた効果的な取り組み方だ。
「このアルバムのレコーディング中、俺たちは全員フルタイムの仕事をほかに持っていた。」とMusserは話す。「俺の仕事は飛行機の車体パネルを取り付けること。朝の6時から夕方の4時まで仕事をして、そのあとスタジオで2時まで音楽活動だ。ここ数年、俺の生活はこんな感じさ。将来性のない仕事への不満はここで浄化できていた」
「はっきり言ってこのアルバムには山ほどの“クソッタレ”が入っている。」とBrandyberry笑う。「クソみたいな(最低な)人間関係、好きなもののために頑張っているのに、それを無駄だと言われること、自分には手の届かないことだと認めないことなんかさ。俺たちはロスやニューヨーク出身のかっこいいバンドなんかじゃない。普通の町から出てきた、普通の六人組だ。でもこのことが俺たちの強みになっている。俺たちには人々の苦労が理解できるのさ」
Hollywood Undeadなどのメジャー御所とのツアー経験や商業的に人気のあるロックバンドと名を連ねるレコード契約などは、FATNを当初、想像もしていなかった巨大なステージへと向かわせているように見える。
誠実さ、品位、根性、意思の強さ、そしてもっとも重要なのが内臓をめちゃめちゃにする破壊的な音の兵器に恵まれたFROM ASHES TO NEWには世界をそして音楽シーンを覆すのに必要な材料すべてがそろっている。